中国に今度は「偽IKEA」、コンセプトを丸ごと模倣
ロイター 8月1日(月)18時5分配信
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8月1日、中国雲南省の昆明市にスウェーデンの家具大手「IKEA(イケア)」のコンセプトをそのまま真似した家具店が登場。先月撮影(2011年 ロイター/Jason Lee) |
【写真】中国に今度は「偽IKEA」
偽アップルストアとは違い、問題の家具屋は店の名前こそ本家とは違う名前を掲げているが、IKEAの象徴とも言える青と黄色をコンセプトカラーに使い、実際の部屋のように家具を配した展示スペースや、メモ用の小さい鉛筆、店内の案内表示に至るまで、驚くほどIKEAに似せて作ってある。また、店内には本家同様にカフェテリア方式のレストランもあり、スウェーデン名物のミートボールやサーモンの代わりに、中国風の豚肉や卵の料理が出されている。
この「偽IKEA」は、中国で新たな海賊行為が広がっていることを象徴する存在と言えそうだ。手練手管を使う中国の違法コピー業者はもはや、高級バッグやDVDの海賊版を作るだけではなく、成功を収めた欧米小売企業のコンセプトを丸ごとコピーするようになっている。
コンサルティング会社ブーズ・アンド・カンパニーの小売業アナリスト、Adam Xu氏は「偽物商品は例によって多いが、リテール業態では今やサービス面の模倣も増えている」と述べた。
<欧米ブランドへの憧れ>
昆明市でのこうした偽店舗の存在は、欧米ブランドに対する中国人の飽くなき欲求を浮き彫りにしている。特に、まだ欧米ブランドが本格的に浸透しておらず、富裕層の多い沿岸部から離れた小規模の都市でその傾向は強い。
モニター・グループ(香港)の中国小売部門アナリスト、トルステン・ストッカー氏は「こうした偽店舗の存在は、これらブランドの商品やコンセプトへの需要があることを示している」と述べた。
模倣される側の企業にとって問題なのは、偽店舗で売られる商品がたとえ本物だとしても、顧客のブランド経験をコントロールできない点にある。
問題の「IKEAコピー店舗」で働く22歳の売り場担当者は、顧客からIKEAについて聞かれることには慣れてしまったと語る。「IKEAに似ているとよく言われる。ただそれは自分の問題じゃない。私はただ顧客の幸せを考えているだけだし、著作権のようなことは上司の問題」と意に介さない。
同家具店の経営者からのコメントは、今のところ得られていない。
一方、IKEA中国は、ロイターに対し「世界最大の家具会社の1つである当社にとって、知的所有権の保護は非常に重要」と述べ、中国国内でも知財保護に力を入れていると強調した。
IKEAは中国国内に9店舗を展開しており、その多くが比較的裕福な沿岸部や南部に集中している。昆明の「IKEAコピー店舗」で家具探しをしていた女性は、上海や北京でIKEAの店舗も訪れたことがあるとしたうえで、「本物では商品レイアウトはもっとすっきりしているし、飾りつけもきちんとしている。実際比較にはならない」とし、偽店舗で買い物する理由は近くにあるという利便性だと語った。
<ブランドイメージ>
アップルやIKEAなど、直営店とブランドイメージが直結する企業にとって、コンセプトを丸ごと模倣する店舗の存在は非常に頭の痛い問題。モニター・グループのストッカー氏は「ブランドにとって店は重要な要素であり、買い物客が偽物と気づかない方法での模倣はブランドイメージや評判を傷つける」と指摘している。
中国内陸部では、消費者にブランドが認知されるスピードは、現地進出を目指す企業が需要を読み取ろうとするスピードをはるかに上回る。ボストン・コンサルティング・グループは、世界第2位の経済大国となった中国では、中流家庭は2010年の5000万世帯から、2020年には1億3000万世帯になると予想。一方でIKEAは先に、中国では年間1─2店ペースでの新規出店方針を明らかにしている。
ブーズ・アンド・カンパニーのXu氏は「多くの海外ブランドは小規模都市の重要性を認識しているが、どう進出すべきか方法を模索している」と語る。中国の法律では、他社の「外観や雰囲気」をコピーすることは禁じられているが、海外企業はまず商標やロゴを現地登録しなくてはならず、コピー禁止法の執行状況はまだら模様だ。
一方で、「偽IKEA」店舗を観察すれば、本物のコンセプトをコピーするだけでは、必ずしも顧客全員を満足させることにはならないことも明らか。50代の女性は売り場に置かれたチェック柄のクッションカバーを指さし、「中国人が普段使う感じじゃない。かわいすぎる」と冷めた目線を向けていた。
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最終更新:8月1日(月)18時40分
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