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阪神・北摂

伊丹、尼崎のアライグマ被害 いずれも犬の散歩中 

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アライグマが出没した現場。注意を呼びかけるチラシが掲示されている=尼崎市田能3

アライグマが出没した現場。注意を呼びかけるチラシが掲示されている=尼崎市田能3

 7月に伊丹、尼崎両市でアライグマが人を襲う事案が相次いでいる。確認されているだけでも24日までに6件報告されており、いずれも犬と散歩中だった。「凶暴な性質だが、自ら人を襲うことはまれ。ただ今回の個体は攻撃性が高い可能性がある」と専門家は解説。関係自治体は「犬の散歩の際には棒を持って。仮に犬が襲われても、決して間に入らないようにして」と注意を呼びかけている。

 県森林動物研究センター(丹波市青垣町)によると、アライグマは凶暴だが通常、人間を襲うことはないという。ただ今回は親子連れとみられる複数の個体が数回、目撃されており「犬がいることで子どもへの防御本能が働き、親が攻撃的になる可能性はある」と指摘。「アライグマにも個性がある。特に犬に反応していることから、過去に犬に恐怖を覚えた経験がある個体かもしれない」と分析する。

 アライグマは日本固有の種ではなく北米が原産。ペットが逃げ出したり、飼えなくなって放されたりした個体が野生化し、県内では神戸市北部、西部や三田市などを中心に生息域を広げつつあるという。

 県内の捕獲数は、2005年度は361匹だったが、06年度には2100匹と急増し、09年度は3281匹を数えた。尼崎市は08年から14匹、伊丹市は09年から17匹を捕獲している。

 アライグマが定着すると農作物や文化財などへの被害が懸念され、阪神間でも5市1町で、外来生物法に基づく防除計画を策定。芦屋市も策定を急いでいる。ただ基本的には夜行性であることや行動範囲の広さなどから、詳細な生息状況は把握できず、根絶に至っていないのが現状だ。

     ◇

 今回の6件は7月3〜22日、伊丹、尼崎市にまたがる約3キロ圏内で、いずれも被害者が早朝や夜間に犬を散歩中に襲われた。発生場所が藻川や幹線道路をまたいでいるため、別個体の可能性もあるが「一般的に数キロ単位で主に水辺沿いに移動する。よほど広い川でなければ渡るため、行動範囲から考えると同一個体の可能性も十分にある」と同センターはみる。

 目撃情報が寄せられているうちの多くが水路沿いだった。尼崎市には縦横に水路が走り、指定水路だけで総延長は200キロを超える。市は「移動に水路を利用している可能性があり、どこに出没してもおかしくない。離れているからといって安心せず、用心してほしい」としている。

 両市は、現場付近の計6カ所に捕獲器具を設置。尼崎市は19日には体長30センチの個体を捕獲した。「まだほかにもいると思われるので、目撃した場合は知らせてほしい」と呼びかけている。

(川口洋光)

(2011/07/25 09:15)

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