2日発表された2011年版防衛白書で、日本は初めて中国について「高圧的」との文言を使い、日中両国が主張する領海に関する中国の見方を注視する必要があるとしている。
ただ、日本の政府当局者はこの新たな文言について、警戒感を喚起する狙いがあるとみるべきではないと強調。北澤俊美防衛相は2日の会見で、「友好的な関係の中で問題処理をしてほしい、という願望の表れ」だと述べた。
それでも、防衛白書は、中国と近隣諸国の間で同様の領海問題をめぐる緊張が高まっていることを示す。中国は、南シナ海でベトナムやフィリピンと領有権を争っている。中国政府はまた、米国が両国と合同演習を行ったことについて、訪中したマイク・マレン米統合参謀本部議長を非難した。
中国外務省は、コメント要請に応じていない。
日本の当局者は同白書に、周辺諸国に対する中国の対応が「高圧的」とも指摘されるとの文言を加えた。中国は、日本を含む「周辺諸国との利害が対立する問題をめぐって高圧的とも指摘される対応を示すなど、今後の方向性について不安を抱かせる面もある」としている。
また、白書は、為替や少数民族などをめぐる中国と他国の「摩擦」についても詳しく言及し、中国は「大国としての責任を認識し、国際的な規範を共有する」ことが重要だとしている。
以前の防衛白書では、中国の国防費などについて透明性は依然として確保されていないとしながらも、汚職、汚染、少数民族といった国内問題に最大の焦点が置かれていた。
11年版白書は、中国の急速な軍備強化を受けて焦点を従来より南西の空と海に移した昨年12月策定の「防衛計画の大綱」(新防衛大綱)に沿った内容となっている。