ボクシングの前WBC世界フェザー級王者・長谷川穂積(30)=真正=が1日、神戸市の所属ジムで会見し、現役続行を表明した。WBC世界バンタム級王座を10連続防衛し、国内初の飛び級2階級制覇を達成した長谷川は「本当に自分は弱いのか。その答えを見つけたい」として、己の強さを知るために戦い続けると決意表明。年内にフェザー級で再起戦を行う予定だ。
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衝撃のKO陥落から4カ月。長谷川が戦いの場に戻る覚悟を決めた。「体に異常はなく、練習もいつも通りにできた。なのに負けた。本当に自分は弱いのか。その答えを見つけるために、もう一度やることを決めた」。静かな口調で、決断した理由を明らかにした。
国内歴代2位の10連続防衛に、国内初の飛び級2階級制覇という偉業を達成。「自分の中では思った以上の結果を残せたし、もう満足だった。引退しようと思った」。4月にフェザー級王座を失い、完全に戦う理由を見失った。家族にも引退する意思を伝えた。
それでも「ボクシングが好き」という気持ちが消えず、「やりたい気持ちがあるなら、自分に正直になろうと思った」と打ち明けた。
盟友の引退に背中を押された。真正ジム創設時からの仲間、山田卓哉がドクターストップにより6月に引退した。「山田はやりたくてもできない。自分はわがままなのかな…」と思い直し、再起の道を選んだ。
ただ、戦い続ける理由は、あくまで「自分がどれだけのボクサーなのか。それを確かめるため」としている。世界王座奪還への思いは、「今はない」と言い切った。バンタム級王座陥落後に再起した際は「長谷川穂積・第2章」と銘打ったが、今回は「第3章というより『特別編』。その後に第3章につながるかもしれないけど」と語った。
“日本のエース”という肩書から解放された長谷川。30歳の元世界王者が「ファンのためでも、家族のためでもない。自分のため」に戦いの場に戻ってきた。
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