大きな事故で骨折したりすると治療が長引いたり、加害者との示談が成立するまでに時間がかかることもある。その間、割高な自由診療の医療費を立て替えるのは大変だ。自賠責によるケガの保障額はひとりあたり120万円までなので、加害者が任意保険に入っていないと、損害額が大きくなった場合に十分な補償を受けられないこともある。

 交通事故で保険診療を受ける場合は、加入している健康保険に「第三者行為による傷病届」を提出すればよい。この書類を提出すると、加害者が支払うべき医療費を、いったん健康保険が立て替えて医療機関に支払ってくれる。

 健康保険が立て替えた医療費の損害賠償請求権は、被害者である被保険者から健康保険に移ることになり、健康保険から加害者に対して直接請求される。被害者が窓口で自己負担した医療費については、被害者が自ら加害者に対して損害賠償請求を行うことになる。

 少々手間はかかるが、治療が長引いたり、加害者が十分な自動車保険に入っていないときには医療費の負担を抑える手立てとなるので、ぜひとも覚えておきたい健康保険の保障だ。

病院の都市伝説はウソだった
交通事故でも健康保険は使える!

 救急科は病院の中では不採算部門と言われている。いつ運び込まれるかわからない患者のために医師や看護師を配置し、高度な医療機材も必要なので、病院としては「割に合わない」ことが多い。仕事もハードで希望する医師も少ないため医師不足が目立つ診療科でもある。2010年度の診療報酬改定では、救急分野に対して優先的に医療費の値上げが行われたが、医師不足はまだまだ解消されていない。厚生労働省の「必要医師数実態調査」によると、救急科には現状より1.28倍の医師が必要との結果が出ている。

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早川幸子 [フリーライター]

1968年、千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、99年に独立。女性週刊誌やマネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。08年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。


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