財源断たれる不動産開発業界=国際会計基準

【ユ・ハリョン記者】 中堅の不動産開発会社A社の経営者は、ソウルの江南地区で約2000戸規模のマンション建設プロジェクトを進めている。しかし、最近事業が行き詰まる危機に直面した。国内10位圏内の大手建設会社B社が1500億ウォン(約109億円)の債務保証を立て、金融機関からプロジェクト融資を受けたが、償還期限が来月に迫ったからだ。

 問題は、B社がこれ以上債務保証には応じられないと伝えてきたことだ。債務保証がなければ、償還繰り延べは不可能となる。B社は「今年から国際財務報告基準(IFRS)が導入され、債務保証を誤って立てると、すぐに負債比率が上昇し、会社が危なくなる」と事情を説明した。

 2000年代初めから急成長した不動産開発業者は、最近存亡の危機に追い込まれている。ただでさえ不動産景気の低迷で経営難に直面する中、IFRSという伏兵の登場で、開発事業の財源を断たれたからだ。

 これまで韓国の不動産事業は、開発業者が建設会社から債務保証を受け、プロジェクト融資による資金調達を行う形で進められてきた。この場合、債務保証は建設会社の負債には計上されなかった。

 しかし、今年から導入されたIFRSでは、建設会社が債務保証を行った事業が失敗し、融資返済を肩代わりしなければならない危険性が50%を超えた時点で、債務保証分を債務として計上しなければならなくなった。大宇建設の関係者は「現在のような不動産景気低迷期に成功確率が50%を超える事業は少ない。極めて優良な事業でない限り、債務保証は不可能な状況だ」と説明した。

 実際、現代建設、サムスン物産など韓国の建設大手5社が今年新たに行ったプロジェクト融資の債務保証は1件もない。

 市中銀行もIFRS導入と貯蓄銀行の破綻を受け、プロジェクト融資の新規提供をほぼ中断している。銀行のプロジェクト融資残高は2009年3月末の55兆ウォン(約4兆円)から、今年6月末には33兆ウォン(約2兆4000億円)まで激減した。金融監督院の関係者は「確実な事業でなければ、銀行もプロジェクト融資を行っていない」と述べた。

 こうした状況から、経営に行き詰まる開発業者が続出している。07年11月以降、登録されていた建設会社2581社のうち、廃業または自主的に登録を取り消した業者はこれまでに30%に達した。韓国不動産開発協会のキム・ミングァン室長は「生き残っている業者も開店休業状態だ」と話した。

 専門家はIFRS導入により、不動産開発業者の地殻変動は避けられないとみている。フィデス建設のキム・スンベ社長は「資本力と信用度が劣る業者は市場で生き残るのが難しい状況だ」と語った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る