１７年に経常赤字国に転落＝全原発停止で悲観シナリオ―日本経済研究センター

　日本経済研究センターの岩田一政理事長（元日銀副総裁）は３日、日本の原発が全面停止すると、貿易赤字と成長率の低下で、２０１７年には経常赤字国に転落するとの悲観的な見通しをまとめ、同日開かれた政府の「経済情勢検討会合」に提出した。同会合のまとめ役で強力に原発推進を唱える与謝野馨経済財政担当相が記者会見で内容を紹介し、「ぜひ一読を」と推奨した。

　この試算は自然エネルギーや企業などの自家発電による代替は含まず、代替の主役とみられる天然ガスによる火力発電設備も現行計画以上の増設は見込んでいない。同センターは「企業や家庭の節電努力などは入れておらず、何もしなかったらこうなるというシナリオ」とし、対応策の重要性を指摘した。

　試算は、１２年初めに全原発が停止したと仮定し、２０年までの経済的影響を分析。それによると、実質ＧＤＰ（国内総生産）は通常運転時に比べ１．２％低下し、１５年まではほぼゼロ成長が続く。火力発電の増加で化石燃料の輸入費用は当面、年３兆〜４兆円、２０年までには累計で２４兆円増加すると見込んだ。