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臓器売買:医師夫婦ら口裏あわせ、現金授受隠す工作

 生体腎移植を巡る臓器売買事件で、逮捕された開業医の堀内利信容疑者(55)がドナー(臓器提供者)仲介役の暴力団関係者との間で現金800万円の授受があったことを隠すため「現金は堀内容疑者の母親の介護費用だったことにする」と口裏合わせをしていたことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁組織犯罪対策4課は違法性を認識していた堀内容疑者らが臓器売買の事実を隠蔽(いんぺい)しようとしたとみている。

 捜査関係者によると、口裏合わせを持ちかけたのは会社役員、江口祐子容疑者(47)。江口容疑者は、堀内容疑者にドナーの石川竜哉容疑者(21)を紹介したとされる指定暴力団住吉会系組長、坂巻松男容疑者(70)の知人で、堀内容疑者との交渉役だった。

 堀内容疑者は10年7月、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で移植手術を受けた。この直後、江口容疑者は、堀内容疑者を千葉県市川市内のファミリーレストランに呼び出し「堀内容疑者が支払う800万円は(堀内容疑者の)母の介護費用だったことにしよう」と持ち掛けた。具体的には「介護費用の支出に反対している堀内容疑者の妻則子容疑者(48)には臓器提供の見返りのための現金と説明するが、実際には堀内容疑者に返して介護費用に充てた」というストーリーだったという。

 江口容疑者はこれに沿い、7月13日の逮捕時に「お金は預かったが、返している」などと容疑を否認していたという。しかし、堀内容疑者は組対4課の調べに口裏合わせを明かし「800万円は臓器売買の見返りで、実際には1円も返してもらっていない」と供述したという。

 ◇5人を起訴

 東京地検は3日、堀内夫妻と江口、石川の両容疑者、ドナーの仲介役の一人とされる矢野勇介容疑者(30)の5人を臓器移植法違反(臓器売買の禁止)などの罪で起訴した。坂巻容疑者は健康上の理由で釈放されている。【川崎桂吾、前谷宏】

毎日新聞 2011年8月4日 2時30分

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