政治「原子力安全庁」は急ごしらえの「巨大規制官庁」2011.8.3 23:03

  • [PR]

[政治]ニュース

  • メッセ
  • 印刷

「原子力安全庁」は急ごしらえの「巨大規制官庁」

2011.8.3 23:03

 細野豪志原発事故担当相がまとめた試案は、菅直人首相の意向に沿って、経済産業省と原子力安全・保安院の「分離ありき」が優先した。地球温暖化のため原発を推進してきた環境省の外局として「原子力安全庁」(仮称)を新設するなど課題を多く抱えている。

 首相は東京電力福島第1原発事故の発生以来、原子力を規制する立場にある原子力安全・保安院が規制に消極的だと強い不満を持っていた。5月18日の記者会見では「原子力を進めている資源エネルギー庁とチェックする保安院が、ともに経産省にある原子力行政のあり方を根本的に見直さないといけない」と述べた。

 細野試案は、保安院のほか、内閣府にある原子力安全委員会や文部科学省の関係部局も一つの組織に統合させた。「脱原子力依存」を掲げ、原発推進より規制に重点を置きたいとする首相の強い意向を反映させた内容にもなり、巨大な規制官庁が誕生することにもなる。「安全庁」が環境省の監督下になることで、安全規制と原発事故発生の初動対応が一元化されるというメリットはある。

 だが、経産省内からは「原子力行政が、菅首相の一言だけで簡単に変えられるものか」(幹部)との批判も出ている。さらに環境省はこれまで原子力行政には直接的には関与してこなかったため、実効性を疑問視する声もある。

 民主党の政務三役経験者は「行政改革全体の中で議論すべき内容だ。規制部分だけ急にまとめても意味がない」と問題視する。輿石東参院議員会長も「急ぐべきはそういうことではない。新しい(政権の)体制に入ることが最優先すべき問題だ」と指摘したように、退陣表明した菅首相の都合だけで原子力行政の組織改編が進むのは避けなければならない。(坂本一之)

関連ニュース

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2011 The Sankei Shimbun & Sankei Digital