「SMクラブ・森の猫」

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『 SM倶楽部・「森の猫」 』



PM7:30  会社脇の路地。

一人の中年男性が足早に歩いてきて、前を行く青年の肩を叩く。
「神尾くん、神尾くん、神尾くん、(小声で)どう?今夜、つきあわんか?」
「あ、常木課長。今夜も行くんですか?課長も、好きですねー、このー」
「(小声で)ばか、シーッ、シーッ!」
「はは、心配性だなー。大丈夫ですよ、普通、想像もつきませんって。(小声で)課長が、オナラフェチだなんてね。」
「(小声で)そう言う君もな」
声を殺してクックッと笑いあう神尾と常木。二人の足は、繁華街の方へと向かう。


PM8:20  汚いラーメン屋。

小さなテーブルをはさんで、ラーメンをすすりつつ話す二人。
「あの店のことなんだけどね・・」
「なんです?」
「景気悪いんだと、やっぱり。近々、閉めちゃうらしいよ・・」
「課長がもっと毎日行ってやりゃよかったんです」
「ばか。なら、若い君の方が適任だったじゃないか」
「・・・」
「・・・」
「不況ですか・・」
「不況だな・・」
「さびしくなっちゃいました」
以後、無言でラーメンをすすりつづける二人。


PM9:00  人気の無い路地裏。

ある建物の、妙に間口の狭い階段を地下へと降りていくと、そこに扉があり、扉には小さな看板が掛けてある。
看板の文字は、こう読める。『森の猫  会員制』。「森の猫」の上には、小さく「ウッド・プシー」とルビがふってある。
扉を開け、中に入る神尾と常木。


PM9:30  『森の猫』内のプレイルーム。

窓のない薄暗い部屋に、神尾が店の女の子と二人きりで、ベッドに腰掛けている。
部屋はそう大きくはない個室だが、ムチやローソク等の責め具から、手枷や足枷、縄等の緊縛具まで、SMプレイ用具は部屋内に一通り揃えられている。
小さな冷蔵庫もあり、そこから出してきたシャンパンをちびちびとやりながら話をしている、神尾と女の子。
「えッ・・・じゃ、本当に。今日でここって・・閉めるの!?」
「そうなの・・。仕方ないよ。今日だってね、お客さん、二人だもん」
「二人ってまさか・・・おれと、常木さん・・」
「ぴんぽーん。正解」
「(絶句)・・・」
「神尾さん・・・そんなに、がっかりしないで、ね?今夜はね、ウッド・プシーの最後の夜だから、特別なサービスが用意してあるよ!すっごいよ~」
「特別・・サービス?」
「なんとなんと、時間無制限延長サービスだよー!だから今夜は、ね?ずっとスウと一緒に遊べるよ」
「ほ、ほんと!?うーっ。おれ、今夜は変になりそう!さびしいやらうれしいやらで」
「もう充分ヘンだよう、オナラが好きなんて!クスクス・・」
「なんだとう、こら、スウ、こいつッ!」
スウの腰を抱え上げて、その尻を平手でピシャリと叩く神尾。
「やだ、痛あーーいい」
そう言いながらも、コロコロと笑い続けるスウ。
神尾、彼女の羽織ったガウンを脱がせにかかる。
ガウンの下から現れたのは、まだあどけなさの残る顔立ちとは裏腹な、フェロモンが匂い立つ熟れた肉体と、それを包むピチピチの黒いボンデージ。
ボンデージの背には二本の白い縦縞が入っている。
縦縞の白い線は、背中と腰の境目あたりで交差して一本につながるようになっており、ちょうどその交差した箇所に、大きな白黒のふさ毛が、尻尾のつもりで取り付けられている。
「さあ四つんばいになれっ、このスカンク娘!スカンクらしく、オナラをしてみせろっ!」
そう言って神尾、ほとんど布地がないので剥き出し状態のスウの尻を、思いきり平手で打つ。
パシーーンという快音が、部屋中に鳴り響く。
「どうした、スカンク。やれよ!このいやらしい尻が、どんなに非道い屁をたれるのか、確かめてやるから」
「いやだ、もーっ、やめなさいよバカァ!」
「何だって?それが主人に対する口のきき方かッ!?」
パシーーン!!
神尾の平手が、スウの尻を打つ。
「やだあぁ、やめて、お願い・・・」
パシーーン!!
「このできそこないの牝奴隷めが!早く、屁をたれろってのに」
「お願いです、御主人様、許して下さあい」
「なんだとーっ」
パシーーン!!
「スカンクなのになんで屁がこけない理由がある。言ってみろ!」
パシーーン!!
「あの・・・は・・恥ずかしいから・・」
「恥ずかしい?何だその理由はーっ」
パシーーン!!
パシーーン!!
「出すまでやるぞーっ」
パシーーン!!
パシーーン!!
「もっとかーっ」
「い・・嫌・・」
 プウッ!
可愛らしい音をさせて、スウの尻から生あたたかいガスが発射される。
「おっ!・・出たか、よしよし、いい音だ」
「そ、そんな・・」
「ウプッそれに、くさい!何てニオイだ、これが女のコのしていい屁かよ?」
「嫌、嫌、言わないで下さい」
「さあもう一度、その恥ずかしい気体を・・」
「あ・・・あれっ・・?ちょっと待って神尾さん、お薬が切れちゃったみたい。オナラ、出ないや」
スウ、何事もなかったかのように立ち上がり、冷蔵庫の方へと歩き出す。
「お、おおい、何だよう、イイとこなのに・・・スウちゃん、それでもプロかよう」
「ご、ごめんね・・。えっと、お薬、お薬」
そう言って、冷蔵庫内の小物入れから取り出したカプセル状の錠剤を、シャンパンと一緒に飲み下すスウ。
「これでよしっと」
「全然よくない。一気にしらけたじゃんかよう」
「アッハハ、そう言いながら、いつのまにか服、脱いでるーっ」
神尾、さっきまで着ていたスーツもシャツもズボンも全部脱ぎ捨てて、トランクス一丁になっている。
「うるさいって。この淫乱スカンク娘。お前だって乳も尻もほとんどまる出しじゃんか、えっ!?人のこと笑えんのか、この淫乱!!乳も尻も、でか過ぎなんだよっお前はっ!!」
神尾、スウの豊満な乳房を両手でわし掴みにして、揉みしだく。
「あ、あん・・・いいよ。お薬飲んだから、今度はいっぱい出してあげる」
「黙れ、この淫乱スカンク!!無駄口きくひまがあったら、オナラの一つでも出して反撃してみろーっ」
「い、嫌、お許し下さい、御主人様あ、それだけは・・・」
「オナラもしないスカンクなぞ、飛ばない鳥だっ、走らない馬だっ、立たない珍棒だっ、そんなのはみんなニセ物だーっ(暴言)」
神尾、うつぶせにしたスウに馬乗りになって、エロティックに盛り上がった尻の肉を容赦なくひねくり回す。
「役にも立たないニセ物なんぞ、こうしてやる、こうしてやる」
「いたい、いたいですう!御主人様、いたい・・・!」
「それじゃ、こうしてやる」
神尾、ボンデージの尻尾のふさ毛を使って、スウをくすぐり責めにする。
「コチョコチョ・・」
「そそ、それは、や、やめて、ほんとに、キャアアアーッ、アハハハハハ!!」
「さわさわ・・」
スウの尻の割れめを指でくすぐりまくる神尾。
「ダメ、あ、あーっ」
 ブブブウウウウウ!!
大音響と共に一気にもれ出る、スウのオナラガス。
「おう!!もっと、もっと出せ!」
「アアッ、お許しを・・恥ずかし過ぎます・・!!」
 ブスーーッ!
 ブッ!ブシュッ!
次々と放たれる、豪快なオナラの音。
「ハア・・ハア・・御主人様・・」
「くっ、臭い!なんてえげつない女だお前はっ!ハッハー!さあ、どんどん出せ、絞り出せ!!」
そう言いながら、しっとりと濡れそぼったスウの秘所を指でまさぐる神尾。
「ア・・そ、そこは・・ダメ・・」
「いやいや、じっくり堪能させてもらう。もっと激しいのがいいか?どうだ?」
神尾、スウの秘所を、ボンデージの隙間から舌を差し入れて、巧妙にねぶり始める。
「ああっ、ダメーーッ!!」
 ブウウッ!!
スウの放った濃密なガスが、神尾の鼻を直撃する。
「うっ・・これは本当にスカンクみたいだっ!苦しいぞ!なかなかのニオイだ・・・苦しい・・・あれ・・・・?」
急に目の焦点が定まらなくなり、フラフラッとして仰向けに倒れてしまう神尾。
「何だ・・・急に・・・眠い・・・」
そう言ったきり、意識を失ってしまう神尾。


PM11:30  同プレイルーム。

神尾が目を覚ます。そして、自分の体がベッドの上に仰向けのまま固定されているのに気づく。
神尾の手足は皮の拘束具でベッドの端につなぎとめられ、胴体は何本も結び合わされた縄やムチでベッドごとぐるぐる巻きにされている。
ベッドに腰掛けていたスウ、神尾が目覚めたのに気づき、その顔をのぞきこむ。
「神尾さん、よかった。起きたのね・・」
「ウ・・くそ・・・スウちゃん・・・」
「なあに?」
「おれに、何かしたろ・・・そうか、あのシャンパン・・?」
「ぴんぽん。いわゆる目薬入りってやつ?すごいよく効いたね」
「犯罪だぞ・・・。何するつもりだ、おれなんかに・・」
「ウフフ。もう一つの、特別サービス」
「サービスう?」
「そう。気に入ってもらえるといいんだけど・・・・ねえ神尾さん、聞いてくれる?ね、ここのお店って、SMクラブよね?」
「・・・?」
「なのにね、SMだっていってるのに、サドな人ばっかり来るの。ねえ、聞いてる?」
「あ・・ああ」
「知ってる?スウね、本当は女王様志望だったのよね。でも、いつのまにかマゾ役もやらなきゃならなくなってて、それからはもう毎回毎回ぶたれたりふんづけられたり、さんざん、ヒドいめにあってきたわけ。わかる?」
「え・・えーと」
「まあ、お仕事だから仕方がないし、他のコたちもみんなそうだから・・・・。
でもやっぱり、最後に、女王様をやってみたいな・・・。神尾さん。スウの最後のお願い、叶えてくれるでしょう?女王様として、一生懸命サービスするから・・ね?」
「イッ!?そ、そ、そういうこと!?いや、おれ、無理だって・・痛いのダメなんだ本当・・・ご、ごめん」
「スウは神尾さんのこと、好きだよ。だから、そんなの知ってる。痛くしないよ」
「あのね、だからねそんな気休め言ったって、おれ、Mはダメだって。嫌だって。嫌だーっ」
「大丈夫。神尾さんの大好きな、オナラで責めてあげる。どう?」
「・・・・そうなの?」
「クスクス、そうだよ。安心した?」
「いや、まあ・・・って、じゃあこの縛りは、どういう意味ッ!?」
「うーん、雰囲気かなあ」
「かんべんしてくれよ・・どっかかゆくなっても掻けないよお」
「かわりに、掻いてあげるよ。それならいい?」
「う・・うん、まあ・・・」
「だから神尾さん大好き。じゃ、いい?スウは女王様スカンクになるよ」
そう言うが早いか、スウは後ろに手を回し、ふさ毛の尻尾を取り外す。すると同時に、尻尾のギミックでとめられていたボンデージの腰の合わせ目がパラリとほどけ、あっという間にスウの下半身が丸裸になる。
「待っててね」
冷蔵庫を開いて、例のカプセル錠と、黄色い液体の入った注射器を取り出すスウ。
錠剤をまたシャンパンで飲み下し、次に注射器を手にする。注射器の先端に針はついておらず、かわりに、きちっとしたプラスチック製の栓がしてある。おもむろにその栓を抜くスウ。
そのとたん、何ともいえない悪臭が、辺り一面に漂い始める。
「神尾さん。ニセ物なんて・・って、言ってたよね?さっき」
妙に色っぽい手つきで注射器の口を自分の肛門に差し込み、黄色の液体を一滴残らず注入するスウ。うっとりとした表情。
「さあこれが本物よ。覚悟しなさい」
「わ。ちょっと待て。ま、まさかそれ、ほ、ほ、本物のスカンクのガスの、もと・・・」
「ぴんぽん」
動けない神尾の上に、シックスナインの格好で覆いかぶさるスウ。
神尾の視界いっぱいに迫る、スウの白く丸い尻。
「うわっ、バカ、スウよせっやめろーーっ!!」
「なあに?それが、女王様に対する口のきき方なの?」
神尾の目の前で、花のつぼみのようだったスウの肛門がみるみる大きく膨らんでいき、やがてそれがはじけて・・
 プウッ!
可愛らしい音をさせて、スウの尻から黄色い毒ガスが噴射される。
「反省なさい」
「ぐっ・・ぐぎゃあああーーっ!!臭い、しぬっ、死ぬうーーッ!!」
危機を察して口だけで息をしようとしていた神尾だったが、無駄な抵抗だった。
ガスの威力で獲物がのたうちまわる様子を、鼻をつまみながら観察するスウ。
「くさいくさい、くさあい!!やめろ、やめてくれえっ、く、くさいーーッ!!」
「なあに?スカンクが臭いオナラをしちゃいけない理由があるの?言ってみなさい」
「ううーーっ、畜生、うぐっ、おぼえてろよ・・ハアハア、ヒイヒイ」
「畜生?おぼえてろ?クスクス、そんな態度してると、どうなるか知ってるの?ほら、こうなっちゃうんだよ?」
スウの尻の穴が神尾の鼻先にググッと迫り、そして、
 プス・・スカーーーッ・・・
生あたたかいすかしっ屁が、神尾の顔一面に吹きかけられる。
「くさューーッ!!ひぎゃ、やめて、ヒイーーッ」
あまりの臭さに、息をするのもやっとな神尾。
「どう?それとももっとクサいめに会わせて欲しい?」
スウの柔らかな尻が神尾の顔を覆いつくすと、肛門が神尾の鼻に密着した。その恐怖に、身も世もなく泣き叫ぶ神尾。
「お願いーーッお願いでふ、助けて、やめてそれらけは、許ひてーーー!!」
「ウフフ、どうしよっか。少し、かわいそうかな」
肛門のつぼみをひくひくと伸縮させてじらし、獲物がパニックにおちいるのを楽しむスウ。
その時、神尾の必死の抵抗に屈し、左足をベッドにつなぎとめていた拘束具が、音を立ててはずれる。
突然自由になった神尾の左足は、勢いあまってスウの顔面をしたたかに蹴りつけてしまう。
「キャアッ!!」
「あ・・・!!」
「いた・・痛い・・!グスッ、ひどいよう・・・」
「いや、あのっ、これ、事故・・」
「神尾さん、嫌い!顔を蹴るなんて・・最低!!」
「ちっ、ちがう・・・ムグ・・」
スウが神尾の顔に尻を乗せて体重をかけると、彼の弁解の言葉も、たちまち尻の柔肉に埋もれてしまう。
肛門に神経を集中して、神尾の鼻の穴の位置を探るスウ。
神尾は必死に自由な左足をバタつかせるが、神尾の顔の上にいるスウには届かない。
「・・・スカンクの女王が、判決を申しわたすわ!無反省で乱暴者なオス奴隷は、ガス室送りの刑に決定っ」
そう言うが早いか、ありったけの力をこめてオナラをするスウ。
顔全体を尻で塞がれている神尾に、逃げ場はない。声もなく絶叫する神尾。
 シューッ、ブシュシューー・・ムススゥーー、プシューッ・・・
スウのオナラガスが、シュブシュブと音を立てながら、神尾の鼻に注ぎこまれていく。
スウのオナラは今や、神尾の中の全てを犯し、滅茶滅茶にかき回しつつあった。神尾の手足は痙攣し、胃腸はのたうち、理性は消しとび、五感もほぼ消失して、オナラの臭さを感じられるだけになった。
それでもまだ、スウのオナラ地獄は終わらない。
 シュブゥーーッ・・シュブ・・シューー・・・・
そのまま2分ほどが経ち、オナラの噴射は、ようやく止まった。
鼻をつまんで、ゆっくりとベッドから降りるスウ。
ベッドの上には、ヒクヒクと全身を痙攣させている神尾。白目をむいて、完全に気絶してしまっている。
スウ、冷蔵庫を開けて、1リットルパックのトマトジュースを取り出す。
パックの封を開け、中身を少し手の平にたらして、それを自分の尻の割れ目に塗りこむと、スウは、残りのトマトジュースを神尾の顔にかけはじめる。
「やりすぎちゃったかなあ・・・女王様も、結構難しいね」


AM3:30  『森の猫』前の裏路地。

トランクス姿の神尾が、地面に寝転がっている。その横には神尾の服やカバン等が、キチッと揃えて置いてある。
「ハークショイ!!」
神尾、自分のくしゃみに驚いて目を覚ます。
「ウ・・・ここは?」
神尾、自分の格好に気づき、あわてて服を着る。
ふらつく足取りで狭い階段を降り、地下の扉の前に立つ神尾。しかし、確かにそこにあったはずの、『森の猫  会員制』の看板が、見あたらなくなっている。扉を叩いてみるが、何の反応もない。
「畜生・・・・!言わせろよ・・・。さよならぐらい・・」
階段を引き返してまた裏路地に出た時、神尾は、隅の方のドラム缶の上に、常木の服やカバンが置かれているのに気づく。
神尾、ドラム缶の蔭で、ブリーフ一丁の常木がのびているのを発見する。


AM4:10  繁華街のメインストリート。

生ゴミをあさるカラスの群れと常木・神尾の二人の他に、動くものの姿はない。
互いの肩を支え合いながら、フラフラ歩いていく二人。
「課長」
「ン・・?」
「生きてます・・?」
「なんとかな・・」
「だいぶやられましたね」
「そう言う君もな」
「やっぱり、女のコにお願いされて・・?」
「いや・・うむを言わせずいきなり、強烈なガスを・・・三途の川が見えたよ・・・」
「届けますか、警察に?」
「ばか。何て言って届けるんだ」
「殺人未遂・・アッハハハ」
「オナラで、死にかけましたってか」
肩を組んで、おかしそうに笑いあう常木と神尾。二人の笑い声に驚いて飛び立つ、カラスの群れ。


AM4:50  駅のプラットホーム。

常木と別れ、駅のベンチに寝転びながら一人、始発電車を待っている神尾。
「・・・・神尾さん」
自分の名を呼ぶ声に驚いて、とび起きる神尾。
見ると、フリースのジャケットにジーパンという、カジュアルな格好のスウが、ベンチの側に立っている。
「うわッ・・ス、スウちゃん!?」
「クスクス、その名前は、お店のときだけだよう」
「な、な、な、何しにきたのっ」
「何って、お家に帰るのよ・・?」
「・・そ、そうか・・」
「・・・」
「・・・」
うつむいて押し黙る二人。
駅のアナウンスが流れ出し、遠くから列車がやってくるのが見える。
「あの計画、お店のみんなで話し合って決めたの」
「・・えっ?」
「やっぱり、ちょっとひどかったよね」
「・・・」
「神尾さん、ごめんね・・。ごめんなさい・・・」
「・・・はは・・な、何言ってんだ。おれも、じ、実は結構楽しんでたんだぜ」
「神尾さん・・・」
「元気でな・・。立派な女王様になれよ」
神尾、握手のつもりで右手を差し出す。
その手を取って神尾を抱き寄せ、耳元でささやくスウ。
「肝心なこと、まだしてなかったよね。欲求不満じゃない?」
「・・イッ!?」
「あの時間延長サービス・・まだ続いてるって言ったら、どうする?」


AM5:10  走る列車の中。

神尾とスウの他には誰もいない。遠くの車両で赤ら顔の老人が眠りこけているのが、ガラス越しに見えるだけ。
「朝だから、がらがらだね」
「ああ」
「今なら、オナラしたって恥ずかしくないね」
「だ、だめだ!!だめだめ、絶対ダメ」
「クスクス、神尾さん?オナラ好きやめちゃったの?」
「この、バカスカンク!あんなモン尻に入れたら、当分の間お前の屁は、毒ガス扱いに決まってるだろうがっ」
「でも、結構楽しんだんでしょう?クスクス・・」
「かんべんしてくれ・・・たのむからヤッてる最中に一発かましたりしないでくれよな・・」
「うーん、いいよー、そのおびえかた。ゾクゾクしちゃう」
「だめだおれ・・・もう、尻にしかれてるよ・・・ああ・・・」
二人を乗せた始発列車が、朝焼けの空の下を走っていく。
ようやく街の一日がまた、始まろうとしていた。



   終

「乳忍・成海」

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 「 乳忍・成海(にゅうにん・なるみ) 」



ここは東国の、とある城の地下牢。
薄暗くカビ臭い牢内に、うら若い娘が一人、両手を背の後ろで縛られた格好で押し込められていた。
娘の名は、なるみ。
彼女は、首領からの密命を受けてこの城に潜伏していた、くノ一(女忍者)であった。
まだあどけなさを残す美しい顔に、細い肩、うぶ毛の目立つうなじ。肩から上だけを見れば、頼りなさげな子供のようにも見える。
なるみは下を向き、自分の胸に目をやった。
羽二重の忍び装束の前が、ぷっくりと大きく二つ、鞠のように盛り上がっている。
可憐な少女のような小柄の体には似つかわしくない程の、満々と張った乳。
ほとんど妊婦のそれのような大きさだが、これでもまだ、なるみの乳房本来のサイズではなかった。
なるみの忍び装束は特別にあつらえられた物で、このように乳房を圧縮して収納できるよう、特殊な工夫がされているのである。
なぜなら・・・・・

キイーーッ!
突然、耳障りな音を立てて牢の格子が開いた。
「ふっひっひひっ」
下卑た笑い声を上げ、頭の禿げかかった牢番の小男が、手にした棘付きムチを恐ろしげに鳴らしながらやって来た。
「ひひひ・・こりゃ、ベッピンだァ。・・・牢番なんぞシケた仕事と思っとったが、こいつぁとんだ役得だぜぇ」
男はそう言うと、激しくムチを鳴らしてなるみを脅した。
「おい、女。わかっとるな?ガタガタ騒いでみやがれ。そん時ゃこのムチが、黙っちゃァいねえよ?」
ムチの棘は、赤黒く汚れていた。なるみは、牢の壁に目を走らせた。
壁には、何かが飛び散ったような黒い染みが、一面に広がっている。うっすらと香る血の匂い・・・。
この牢は、敵方の捕虜が入れば、そのまま拷問部屋としても使われるのである。
なるみがしおらしくしているのを見、男はまた、ふひっひっといやらしく笑い、にんまりと目を細めた。
「ようし・・それでいいのよ。暴れんじゃあねえぜ?おとなしくしてさえいりゃ、なァに、おめえにだってちったぁ良い夢みさせてやッからよ。楽しもうぜぇ、げひっひひひ・・」
なめ回すようになるみの体にまとわりついた男の品定めの視線が、胸のふくらみから太ももの辺りにかけてを、露骨に行き来した。
「いい体しやがって・・・ひひっ・・・・・・」

遠慮会釈もなく、男のごつごつした汚い手がなるみの乳にめり込み、揉みしだき始めた。
水のように柔らかな乳房は、その節くれ立った五本の指を、触れるそばからずぶずぶと呑み込んでいった。
「お・・おお・・」
男は、恍惚の溜息をもらした。
「こ、この感触、た、た、たまんねえ・・」
たまらず、ムチを投げ捨てて、もう一方の乳房にも手をのばす。
もはや男の視線はなるみの胸にクギづけになっており、なるみがわずかに背を反らせて、特殊な操作で忍び装束の仕掛けを作動させたことなど、その時の男には知るよしもなかった。
なるみの目が、妖しく光った。

「・・はぁン、あ・・はあぁァ・・・」
なるみの唇から吐息混じりにもれる湿った嬌声が、なまめかしい乳房の感触と相まって、男の股間に強烈に作用した。
興奮した男が、鼻息を荒くして思わず胸を揉む手に力をこめたその瞬間、なるみの服の前が、まるではじけ飛ぶようにはだけた。
ちょうど男の目の前に、白い乳肉の壁が出現した。
先程までの倍はあろうかという巨大さの、しかもたぷんたぷんに柔らかい、なるみならではの女の武器。
片方だけでも、男の頭ひとつとほぼ変わらない大きさがある。それが、すぐ目の前に、二つ。
男の視界のほとんどは、なるみの乳に塞がれてしまっていた。

なるみがわずかに体をひねると乳が左右にたゆんと揺れ、男の目は、揺れの中心にあるうす紅色の乳首へと吸い寄せられていった。
あまりにも豊かな乳肉と比べ、彼女の乳首は小さく控えめで、ふっくらと盛り上がった乳輪の中へ埋もれてしまっているように見える。
「・・・吸って・・・・」
なるみの囁きに誘われるままに男は、夢中で彼女の豊満な胸に顔を埋め、乳首にむしゃぶりついていった。
チュウチュウ、ぺチャぺチャという音、そして、なるみの甘い官能のあえぎが、しばしの間、地下牢の壁にこだましていた。

突然、音が止んだ。
男は、自分が、牢の天井を見つめていたことに気がついた。いつのまにか、仰向けで地面に倒れていたのだった。
起き上がろうとしたが、手足が痺れていていうことをきかない。筋肉という筋肉に、まるで力が入らないのだ。
「な・・・なん・・・だ・・・・・・・・・?」
「お、バ、カ、さん。ウフフフ」
「うっ・・ぐっ・・・・て・・めぇぇ・・・!?」
「えへへ・・。乳首にね、しびれ薬をたぁっぷり塗っておいたの。甘ぁいお味がしたでしょ?」
男はウンウンうなって必死でもがいたが、どうしても立ち上がることができなかった。

「それにしても簡単にひっかかってくれちゃって。おまぬけさん。気分はどう?」
ムチの棘を利用して手の縛めを解くと、仰向けに倒れた男を見下ろし、勝ち誇ったようになるみは言った。
「大丈夫よ。そのしびれはね、もうじき取れるから。でもぉその前に・・・っと」
男の頭上で身を屈めてひざまずいたなるみは、男の胸の上に覆い被さるようにして四つん這いになると、目の前の股間に手を伸ばした。
「素敵なおもてなし、大変嬉しゅうございましたわぁ。御礼に、くノ一をあまくみるとどんな目にあうか、とくと教えてさしあげましょうかしら?」
衣服を掻き分けて侵入した冷たい指が白蛇のように肉棒にまとわりつくと、男は思わず、ヒッと息を呑んだ。
「あら、ウフフフ、ちっちゃぁい・・」
男の一物は、先ほどまでの威勢は何処へやら、これから何をどうされるかわからない不安と恐怖で、小さく縮み上がっていた。

なるみの指はさらに男の下腹部をまさぐり進み、金玉のふくろを探り当てると、巻き付くようにしてそれを手中に包み込んだ。
「・・・これをこのまま、ぎゅうぅっと・・・つぶしちゃってもいいけれど・・・・さぁて、どうしようかな?あなたみたいな小物を尋問したところでどうせ何にも知らなさそうだしぃ・・」
額に冷たい汗をにじませ、男は目だけをせわしなくきょろきょろと動かした。
「うっ・・・う・・・だれ・・か・・たすけ・・・ころさ・・れ・・・ううっ・・・・!」
「フ、フ・・・・殺して欲しいの?・・それならそうしてあげてもいいけどぉ・・・・・・・・やめてほしい?」
「た・・・・たの・・む・・・みの・・が・・し・・・くれ・・・・」
「・・・・いいわ。た、だ、し・・・どっちみち、お仕置きはさせてもらうからねぇ・・?あなたには当分、ここでおとなしくしててもらわなきゃいけないもの。・・・・・・・・いくわよ」
なるみは四つん這いの姿勢のまま少し後ずさり、男の顔を挟みこむような位置に両手を突くと、そのままゆっくりと肘を曲げ、男の顔面めがけて裸の胸を近づけていった。
「な・・・・・な・・・に・・・・を・・・」
「言ったでしょ?くノ一を・・・いいえ、おんなをあまくみてるとどうなるか・・ウフフ・・・・。おんなのこわさ、教えてあげるわ・・・」
揺れる巨大な乳房が眼前に迫り、ちょうど鼻先が乳首の辺りの柔肉に沈みはじめた時、ようやく男は、自分が今まさに手酷い拷問にかけられつつある事を悟った。
「くノ一忍法、『乳くるみ』・・」

男の鼻も口も、あっという間になるみの乳房の下に埋もれてしまった。
不安と焦りで荒くなっていた呼吸を急に封じられ、男はたちまち苦しみ出した。
「ほぅらぁ・・・好きなんでしょぉ?あたしのお乳。・・・たっぷり味わえ!」
なるみはさらに男の顔の上へのしかかり、全体重を少しずつ胸にあずけていった。
柔らかい両の乳房が、男の顔全体を、一ミリの隙間もなくプニュプニュと覆い尽くしていく。
耳元までなるみの乳に埋もれた頃、かろうじて男が首を振ってもがいた。しびれが取れてきたのである。
「むっ ぷむっ! うぅーっ」
しかし、もう遅すぎた。
弱々しく首を振ったところで、しっとりと吸いついたモチ肌の柔乳を引きはがすことなど出来はしなかった。

もはや完全に呼吸の道を絶たれ、男は身も世もなく悶えはじめた。
「むーっ! んぷぅっ んぶむぅーっ! んむぉーっ!」
男の必死の叫びも、顔全体がなるみの乳房の圧倒的なボリュームで完璧に密閉されてしまっている以上、くぐもって意味不明な、蚊の鳴くような声にしかきこえなかった。
「・・どう?くるしいでしょぉ。でもぉ、股間のこの子はかえって元気になっちゃうのよね?フフフ、ほら・・」
なるみの言葉通り、男の股ぐらでは、彼の一物が先刻とはうってかわって再び大きく膨らみだしていた。
「んんっ・・・・んむーっ・・んっ」
「ウフフフ・・・殿方の体って不思議よねぇ・・・」
パンパンに張ったその股間をぎゅうっと抓り、オモチャのように突ついて弄ぶなるみ。
「こぉらっ。おまえ。こんなに元気になっちゃってぇ。でもぉ、おまえの御主人がちゃぁんと反省してくれないとぉ、今度はおまえを、うんとひどい目にあわせちゃうぞぉ?」
おかしそうに笑いながら、なるみは男の一物にむかって悪戯っぽくそう語りかけた。

「んんーっ・・・!んがっ!」
窒息の苦しみと、非力な小娘にいいように虚仮にされる怒りとで、もはや破れかぶれになった男は、大きく口を開き歯をむいて、圧迫してくる乳肉にかぶりついた。
「ウッ・・・・」
うめいたなるみの首が白い喉を見せて反り返り、つられて上体が少し浮いた。
ほんのわずか胸の谷間に隙間ができ、男はなんとか、か細い呼吸ができるようになった。
ここを先途と、男はさらに乳肉にきりきりと歯をたてた。
だがしかし、なるみの姿勢はもはやそれ以上、頑として崩れなかった。
男はしびれ薬によって、顎の力までも赤児同然にされてしまっていたのである。
その証左に、男が死力の限りを尽くして思いきり噛んだにも関わらず、乳肉からはただ一滴の出血もなかった。
おそらく、傷はおろか、小さな痣すらつけられてはいないだろう。
しびれ薬にやられた時点で既に、『乳くるみ』は完成していたのだ。

男が愕然として歯を立てるのを止めると、乳肉は何事もなかったかのように、ぷゆんと元の形を取り戻してしまった。
彼にとって幸いだったのは、それでも何とか先刻できたわずかの隙間がそのまま維持されており、しかもそれになるみの方が気付いていないらしいという事であった。
そこから細く長く呼吸を盗んでこの場をしのぎ、薬の効き目がいま少し弱まるまで、やられたふりで何とか時間を稼ぐ。そうすれば・・・・・
男は、そう考えた。それしか残された道はない。
力が戻ればこっちのものだと、男は双眸に復讐の炎をたぎらせた。
しかし、そうは問屋がおろさなかった。
一見、活路を開いたかにみえたこの抵抗の代償として、彼はあらためてくノ一のおそろしさを思い知らされることになるのである。

「ふぅっ・・・・素直に失神しちゃえば、それだけで済ませてあげようかなって、思ってたのに・・・・。そういうこと、する人はぁ、どうなっちゃうと思ってるのぉ・・・?」
ぷっと膨れ面になったなるみは、手を伸ばし、男の股ぐらのさらに奥をまさぐった。
「・・んっ・・・・っんッ!んンンンーーーーーーーッ!!!」
依然、微かに聞こえるに過ぎなかったが、男の叫びがたしかに悲鳴に変わった。
なるみが突然、男の肛門に指を突きさし、ぬるぬると潜り込ませていったのである。
くノ一は、腹中深くに存在する精液を司るツボを刺激する術で、屈強の漢すら手玉に取る事ができるという。
なるみの細い指が根元まで入り込んだ頃、牢番の男の体がぶるぶると小刻みに震えはじめた。
「どぉ?泣いちゃうぅ?・・・・でもねぇ、今から、もっと鳴かせてあげるぅ」
もう一方の手で男の着物の前を広げ、怒張しきった一物を露出させると、なるみはおもむろに自分の口元に手をやり、その掌の上にたっぷりと涎を溜めていった。
「おまえの御主人、まるで反省してなかったみたいねぇ・・・。仕方がないからぁ、約束どおり、今度はおまえの番よ・・・・。覚悟してね?・・・ウフフ」
なるみは怒張した肉棒にむかってそう言うと、天に向けて竿状に突っ立ったそれへ、粘っこく糸を引く涎で濡れそぼった五本の指を、にゅるりと絡みつかせた。

白魚のようにほっそりとして優美な指が、上へ、下へ、くちゅくちゅと淫らな音を立てて、黒光りする男の肉棒を擦りはじめた。
「んぷッ!んんッ、んんッ、んんーッ」
たったそれだけで、たちまち男の声が哀感を帯び、切羽詰まった調子へと変化していった。
それもその筈、なるみが肉棒を千摺る動作は、自慰のとき男が自分でしごく時のような単純な反復運動とは、まるで似て非なるものであった。
裏筋の方から掌全体で包むようにして竿を逆手に持ち、親指と薬指とを巻きつけ、曲げた小指の先を亀頭にあてがい、残る中指と人差し指は、二個の睾丸を各々巻き込むようにして捕らえる。
そのまま少女の五本の指は各々複雑玄妙に蠢き、はげしい上下動との連携で、あたかも肉棒の奥から男の精を汲み上げるポンプのような働きをみせていた。
「んんーっ、んーーっ!んーーっ!」
「あらもぅいくの?いっちゃうの・・?もうダメなのかしらぁ?」
なるみはくすくす笑いながら、男の腹中に残したほうの指先で、射精を司るツボを優しく撫で上げてやった。
たちまち、薬のしびれに抗うように、弱々しくではあるが男のふくらはぎの筋肉が収縮し、足の指先が反り返りだした。
その微妙な徴候を見て取ったなるみは、男の耳に口元を寄せ、そっと息を吹きかけるようにして囁いた。
「あらあら、おしまいね。それじゃ、とどめよ・・」
「んっ、んっ、んっんっ」 
「・・ひっさぁつ・・・」

「んっっ・・!んんんぁァァーーーーーーーーーッ!!!!????」
今までとはまるで比べ物にならない、電撃のような快感が男の脳を焼いた。
ひとたまりもなかった。
「ァぁーーーーーーーーぁーーーーーぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
微かに聞こえる男の絶叫と共に、ブビューッという音を立てて物凄い量の白い精液が、鉄砲水のような勢いでほとばしり散っていった。
「・・・・くノ一忍法、『筒しぼり』。・・・・思い知った?」
先刻、男がいよいよ絶頂に達しようとしたその刹那、なるみは、彼の腹中にあった指を思いきり烈しく震わせ、射精のツボを猛烈な勢いで刺激してやっていた。
しかも同時に、もう一方の手の中指と人差し指を別の生き物のようにくねらせ、睾丸を袋ごと一気にひねりあげるようにして、独特のやり方できつく揉んでやっていたのである。
これが、仕掛けられた者はみな泣き叫び骨抜きになると伝えられる、くノ一の房中術(性技)の極意、『筒しぼり』であった。

「ぁーーっ・・・ぁーーーッ・・・・ァァァッ!・・・・ァァァァァ!!!・・・・」
「フフッ。まだゆるさない・・。堕ちなさい・・・!」
なおも追い討ちをかけるようにいやらしく陰茎を扱き搾るなるみの指の動きに合わせ、男の体がビクンッ、ビクンッと痙攣した。
その度に、もはや水のように透明度を増した精液が、一物の筒先からあふれ出てきた。
あまりの快感に彼の心の臓は早鐘のように打ち、息のあがった彼の喉は酸素を求めてせわしなく喘いだ。
が、もがいてもあがいても、乳房に埋もれた彼に許された呼吸は相変わらず、一息が雀の涙ほどにも満たないわずかずつのみ。
そんな事にはお構いなしに、なるみの指がくねる度、男の筒先は液を噴出させ続けた。
もはや助かる道は無かった。
この地獄極楽一体のむごい仕打ちにより、牢番の男はついに、少女の乳房の下で狂い悶えながら、どこまでも気を失っていったのであった。

男が動かなくなったのを確認すると、なるみはようやく上体を起こし、裸の胸を男の顔の上からどかしてやった。
ぴったり密着していた肌と肌が引きはがされた時の反動で、血が上りきって真っ赤になった男の顔が、力無くぐんにゃりと横を向いた。
意識が完全にあちら側に飛んでしまったようで、半笑いの表情で白目を剥き、唇の端からは涎がたれ放題になっていた。
「ウフフ・・・・当分正気には戻れまい」
だらしなくノビた男を見下ろして、こみ上げる笑いをかみしめる。
しかし、いつまでも勝利に酔ってはいられない。
乱れた髪を整え、はだけた胸を元の通りに忍び装束の内へ収めると、猫のような軽やかさで、なるみは城内へと続く石段を疾り登っていった。

こうして、まんまと地下牢を脱出したなるみ。
目指すは、城主の間・・・





   つづく

「独り美人局」

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『独り美人局(ヒトリツツモタセ)』



わたし?
わたし、臼村奈央(うすむら なお)。
本当なら高等部1年生かな。
本当ならっていうのは、わたし、1度も学校に通った事がないから。
学校は、憧れなんだ。
でもあたしには戸籍っていうのが無いから無理なの。
お母さんが昔、よくそう言ってた。
お父さん?お父さんのことは知らない、覚えてないんだ。
お母さんは、もうずうーっと帰ってこないの。
新しいお父さんの所へいってくるって出てって、それっきり。
もう待つのつかれちゃった…。
でも、寂しくなんかないよ。
浮気性のお母さんのおかげで、弟も妹もいっぱいいるもの。
みんなで力を合わせて、生きていかないとね。

「だから、お金が要るの?」
そこで男は、少女の身の上話を質問でさえぎった。
どことなくそわそわしている。
「そうなの」
とだけ言って、ベッドの上の臼村奈央は仰向けに寝返った。
あどけない表情からは、特に何の感情も読み取れない。
自分の上に覆い被さる男の顔を、子猫のような瞳できょとんと見すえる。
「そう、大変なんだねぇ。わかるよ、わかるよ」
そう言いながら男は、鼻息荒く奈央のブラウスのボタンを外そうと指をかけた。
その指を、奈央の小さな手がそっと押しとどめた。
「まかせて。ボタン飛んじゃったらやだもん」
男は一瞬、あっけに取られた顔をしていたが、
「あ、そう、だね、そうだね」
と言いながら、今度は自分のベルトをいそいそと外しにかかった。
奈央は、男に背を向けて正座し、ゆっくりとブラウスのボタンを外している。
男は、シャツとスラックスを乱暴に脱ぎ捨て、引き千切れんばかりの勢いで下着を脱ぎにかかっていた。

「ふぅ…」
ため息をついて奈央はくたっと前のめりに倒れ、ふかふかの枕にぽふっと顔を埋めた。
指は、ブラウスのボタンにかかったままだった。
「眠くなっちゃった…」
「え…え?」
トランクスを脱ぎかけた体勢のまま、男は呆然として奈央に顔を向けた。
「ちょ、ちょっと待てよ、おいっ!」
「眠いよぉ…ぐー…」
奈央は、お尻をふるふると振って抗議した。
中途半端な丈のスカートがフリフリと揺れ動き、艶かしい太ももがチラチラと見え隠れする。
正座の状態から上半身だけを前に倒したせいで、奈央はお尻を高く上げる格好になっていた。
顔や言動の幼さとうらはらな大きめのヒップに目を吸い寄せられ、男は生唾をごくりとのみこんだ。
「…お、起きろよ。起きないと、な、何するかわかんないぞ?」
「ふみゅ…?ぐー…」
男は、また生唾をごくりとのみこんだ。
そしてそっと、スカートのすそを指でつまんで、
桃を思わせるふっくらとしたお尻の双球が露わになるまで、そろそろとそれをまくり上げた。
「お、おお…」
男は思わず、にやけ顔になっていた。
スカートの下のお尻は、それを包みこんだ、よくある白無地の地味なパンティまでも妙に色っぽく感じさせる程、
Hなフェロモンを全開に放出していた。
下手に突つけば壊れてしまいそうな程柔らかなカーブは、桃というよりは大きなプリンのようでもある。
男は手始めに、むっちりとした双球を両手で掴んでみた。
指が包みこまれるような尻肉の柔らかさと、絶妙に指を押し返すみずみずしい弾力。
男はまた、こくっと喉を鳴らし、今度は双球の合わせ目にそろりそろりと指を這わせていった。
その動きに合わせて奈央の体が、ぴくっと反応する。
いくらも経たないうちに、じわ…と、パンティに透明な液体の染みが広がり始めた。
「ん…ん…」
奈央はいやいやをするようにお尻を振った。
男は再び両手で尻肉を掴んで奈央の動きを封じると、おもむろに割れ目に唇を寄せ、
濡れた染みの上に、チュッチュッとキスの雨を降らせた。
「やぁ、ぁ…」
か細い嬌声にたまらなくなり、夢中で尻割れに顔をねじこむようにして、男は奈央の秘所を味わい続けた。

ファサッ!

「?」
お尻に顔を埋めていた男は、頭から薄い布地をすっぽりと被せられたのに気がついた。
いつのまにか後ろに回されていた奈央の指が、まくり上げられていたスカートを下ろしたらしい。
おかげで男は、ちょうどスカートの中へモロに頭を突っ込んだような格好になっていた。
少し息苦しさを感じたが、蒸れたフェロモンを肺いっぱいに吸いこむ幸せには換えられない。
男はそのままかまわず少女の割れ目に舌を這わせ続けた。

グルルルル…

「…?」
その時、どこからともなく、地鳴りのような低音が聞こえてきた。
男は一瞬ぎょっとしたが、すぐに、少女のお腹の鳴る音だと気がついた。
お腹の調子が良くないのかな?
男がそう思ったそのとたん、鼻先あたりで、パンティの布地が、ふわっ…と膨れた。

 …っっすぅぅ ぅぅう ~ 

かすかだが確かな気体の噴出音を耳にし、
お、おならかよお!?
などと一瞬あっけに取られていた男だったが、続いてパンティから生温かいガスがもわぁっと染み出してくる頃になると、
「???…ゲーッホッ!?ゲホゴホ!」
男は、思いっきりむせ始めた。
「ゲーッほっ!くぅっぅさぁぁあぃぃいいーっっ!」
叫んでのけぞり、ベッドから落ちると、男はめちゃめちゃに鼻をかきむしってカーペットの上を転げ回った。
とことん強烈な、刺激性の、鼻がへし曲がるような異臭。
だがそれほどの猛烈さにもかかわらず、そのニオイはまさしくオナラそのものだった。
極悪非道な程に濃い、極限にまで凝縮された、文字通り毒ガスのような、オナラ。
いくら鼻をつまもうと、かきむしろうと、もう後の祭りだった。
「くせぇーっくせくせ」
男は、ヒーヒーと喉を鳴らしてのたうち回った。
あどけない少女の、白桃のように無垢なお尻に隠された秘密の毒ガス砲。
蕾のようなその砲門から音も無く噴射されたガス弾の威力は、一介のサラリーマンに過ぎない男を半狂乱の目にあわせるには充分過ぎた。
永久に忘れられないほどの屁臭ショックは、一気に男の脳味噌を焼き焦がし煮えたぎらせ、
鼻腔粘膜の奥まで染みついた臭いの残滓が、さらに男を崖っぷちへと追いつめていった。

ふぁさふぁさっ
と残り香を追い払うようにして後ろ手にスカートをはたいた奈央は、う~ん!と伸びをして上半身を起こした。
ベッド下に目をやると、男が鼻を押さえて弱々しくもがいているのが見え、
「えへへ。すかしちゃいまーしたっ。ふわ…!?」
身をのり出した拍子に、漂うオナラをモロに嗅いでしまった奈央は、あわてて鼻をつまんで、ぺろっと舌を出した。
「今のは、もしかして世界一ニオッたかも…。ゴメンネ。…て、もう聞こえないよね?えへ…」
奈央はぴょこん!とベッドから降りて、倒れた男の側へてくてくとやって来た。
男は白目をむいて、ぴくりとも動かなくなっていた。
「くしゃいでしょ?まいったか☆」
じっと男を見つめていた奈央は、にぱっと笑って言った。

男の上着から財布を取り出した奈央は、わぁっと声を上げた。
「えっと、なな、はち、きゅう…。すごい!十万円もあるぅ。お兄ちゃん、おっ金持ちぃ!」
きゃはははっと奈央はとびはねた。
「これでしばらく、みんなであったかいご飯を食べれるよぉ」
財布をきちんと上着に返すと、奈央は抜き取った十万円を、自分のピンクのウエストポーチへ大切にしまい込んだ。
その時、不意に何かの気配を感じて、奈央はびくっと顔を上げた。
「うう…う…」
男の手が、力無く空中をさまよっていた。
まだ、完全に失神していたわけではなかったようだ。
男の顔を見下ろすように立った奈央は、少し困ったような顔で言った。
「お兄ちゃん、お金はもらってくね、ごめんなさい…でもこれでみんなが暮らせます」
奈央はスカートの裾を指で絡げ、腰までまくり上げた。
そしておもむろに男の顔の上をまたぐと、そのまま腰を下ろしていった。
奈央が手を離すと、スカートは重力に従ってふぁさ…と落ち、男の顔を覆い隠した。
スカートの裾がぴったりと床につくよう掌で押さえつけると、奈央は目を潤ませ、眉根を寄せてつぶやいた。
「うぅ…おなかいたいな…。無理して食べ過ぎちゃった、ニンニク…」
再びお腹がゴロゴロと鳴り出し、奈央は唇をきゅっと結ぶと、何かに集中するように目を閉じた。
「…もぅだめ、あ…もうでる…!…んっ」

 すっ   むすすぅぅー ~ 

「~~~~…!!?? ーーーーーァーーーーー…!!!!」
断末魔のような男の悲鳴が聞こえた気がしたが、奈央は心を鬼にしてスカートの裾を床に押さえつけ続けた。
そのまま一分、二分、三分。
放屁が終わってからも奈央はしばらくじっと動かずに、スカートの「ガス室」に男を閉じ込め続けた。
「ガス室」の中で狂ったように振られていた男の頭も今は動きを止め、宙をかきむしっていた手足も床の上に力無く投げ出されていた。
奈央は最後に、サービスのつもりで柔らかいお尻を男の顔にぷにぷにと押し当ててやった。
何の反応も無かったので、奈央はすくっと立ち上がって、スカートをぱんぱんっとはたいた。
もあもあとオナラの残り香がたちのぼり、奈央はうぅ~と言って眉根を寄せ、鼻をつまんだ。
「き、きょうれつ~、うぅ…ど、どうだ、まいったか☆」
見下ろすと、だらしなく開いた口元から泡を吹き、目を笑ったようなへの字にして、男が気絶していた。
男の鼻は、完全に曲がってしまっていた。
「えへ…。おしおきだよ。もう、わたしみたいな悪いコに引っかかったらダメよ?お兄ちゃん」
奈央はベッドの上にぽんと乗っかると、ベッドサイドのパネルのボタンを慣れた手つきで押しながら言った。
「目覚しタイマーかけててあげる。チェックアウトの時間までには起きれるといいね、くふふ。それじゃお先に☆」

入る時は二人だが、出る時は一人。
それがいつもの奈央のスタイルだった。
こういう所に来てこういう事をするのは、もう幾度目になるのだったか。
いつも奈央は思い出そうとするのだが、やはり思い出せなかった。
それにそれより、これからの生活の方を真剣に考えなければならなかった。
お腹を空かせた小さな弟や妹たちが待っている。
「みんな、ご飯を買って帰るからね。今夜は、あったかいご飯を食べようね…」
ピンクのウエストポーチを小さな手で握りしめ、奈央は独り、ラブホテルを後にした。

「罠」

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あまりに何も無いのもアレかと思いますので、昔々に書きましたフェチ小説を少しずつうpさせて頂きます。
お初の方には、これらから、当サークルの作品内容の傾向などを何となく読み取って頂ければ幸いです。





 「罠」



正助は吾作の後について、山へ入った。

今日は、まだ少年の正助が初めて、山での猟を父から教わる日だった。
正助の父、吾作は、かつて村一番の鉄砲名人とうたわれた猟師だった。
しかし何年も前、手入れ中の暴発で女房を失くして以来、
吾作はプッツリと鉄砲を絶ってしまい、今では鋼の罠を使って獲物を得るのを生業としていた。

小雨のそぼ降る山道を、蓑傘と山刀を身につけた親子の猟師は登っていった。
罠猟師は決して楽な稼業ではない。
どこにどう罠を仕掛けるか。罠の気配を獲物に悟らせないためにはどうするのか。
そうした学習の果てしない積み重ねも必要だし、何より、罠猟では獲物の無事は保証されない。
雨の日も風の日も山を歩いて、罠にかかった獲物を早く収穫してやる。それを怠ると、
腹を空かせた他の獣や虫や小さな目に見えないものたちが、せっかくの獲物を台無しにしてしまう。
猟師の親子は、冷たい雨の降る中を、黙々と歩き続けた。

正助は、前を行く父の背を見つめながら、昨夜の夢のことを考えていた。
不思議な夢だった。眠っている正助の側へ、何か、温かく柔らかいものが寄り添ってくるのだ。
それは、女だった。遠い記憶の中の母のようでもあり、見たこともない女のようでもあった。
女は、正助に言った。わたしを助けて、助けて下さい。わたしを解き放って、そうしたら・・・・。
「お父う・・・ウッ」
不思議な夢のことを父に話そうと正助が口を開いたその時、風にのって、異様なにおいが正助の鼻を打った。
吾作は、正助を振り返って言った。
「正助、見てみい、いたちじゃ」

正助にははじめそれが、裸の女に見えた。
それほどの大きさの白いいたちが、罠に後足をはさまれて地面に横たわっていた。
死んではいなかったが、暴れる力もすでに使い果たしたのか、正助たちが側へ寄っても、
よろよろと顔を向けるだけで、何ら抗うことはしなかった。
「見事な大きさじゃ。尾ッぽまで勘定に入れりゃ、正助の背とどっちが大きいかわからんの」
「お父う・・・臭いよ」
「いたちの最後ッ屁というやつじゃ。罠に足を咬まれて、えらく肝をつぶしたんじゃなあ」

正助は、鼻をつまみながら、長い間いたちを見つめていた。
いたちの方も、正助の顔を見ているふうに見えた。
いたちの透き通るように白い毛は、雨に濡れてなめらかに体にはりつき、確かに女の肌を思わせた。
「お父う」
「何じゃ」
「このいたち、どうするんじゃ」
「そうさな・・生きたまんま都へ運べば、見世物に高う売れるんじゃがの。
そんな支度をしに戻っとると夜になる。
それで明日になりゃこいつは、死んで山犬に食われとるかも知れんし、足を切って逃げるかも知れん。
殺してかついで行くかの」
「じゃどもお父う、そんなにせんでも、こいつはおとなしいでねえか。おらが背負って帰るき・・」
「ばかちゃりが。よく見てみい。罠の鋼がぺかぺか光っとろうが。いたちの牙のあとじゃ。
そこいらの土もどえらく堀り返されとる。おそろしい力じゃ。
それに、こんな図体のいたちにまともに最後ッ屁なんぞ食わされてみい。
そりゃあもう臭うて臭うて、正助みてえなガキは泡ふいてそっくり返って、そのまんまオダブツかも知れんでのう、ええ?」
吾作はそう言って愉快そうにカッカッと笑った。正助の顔はしかし、真剣だった。
「お父う、おら夢で見たんじゃ。きれいなおなごがおらに抱きついて、助けて、助けてと言うとった。
きっとこのいたちが、助けて、助けてと呼んどったんじゃ」

「ふうむ」
吾作は難しい顔をしてしばらく考え込んだ後、静かな笑みを浮かべ、息子の小さな肩に手を置いて言った。
「正助も、ようやく色気づいたかの」
正助は頬を赤くして、父の手を払った。
「何を言うとるんじゃ、お父う。このいたちをどうするかを、おらは言うとるんじゃ」
吾作は、少しの間何かをためらうような顔をした後、おごそかな口調で正助に言った。
「そうさな。ただのいたちには見えんで、こいつはもしや、山の神かも知れん。めったなことはできんな。
それに、正助も今日からは一人前の山の男じゃき、気の済むようにせい。この獲物、正助にあずけたぞ」
正助は目を輝かせて父に礼を言うと、白いいたちの側に恐る恐る屈み込んで、鋼の罠の歯をはずしにかかった。

いたちの体は夢の女と同じに柔らかで温かく、正助の指が触れる度に、か弱く小刻みに震えた。
正助は慎重に罠をはずし、いたちの傷ついた後足に、猟師の使う怪我の薬をつけてやった。
白いいたちはその間、まるで人の心がわかるかのように、眼を細めてじっと静かに体を横たえていた。
「これでええ」
手当てを終えて正助が立ち上がると、いたちは急に驚いたような素振りで
傷ついた足をかばいながら跳ね起き、おぼつかない足どりのまま走り始めた。
樹々の間を抜け、薄暗い茂みの前で立ち止まり、一度だけ正助と吾作の方を振り返り見た後、
大きな白いいたちは、山の奥へと姿を消した。

夕闇が山の端に迫る頃、吾作と正助はようやく家路についた。
結局その日、あの白いいたちの他は、山じゅうの罠を見回っても獲物の姿はなかった。
が、父は多くを子に教え、子はよく父に学んだ。二人が家の敷居をまたいだ時は、すでに夜もとっぷりと更けていた。
吾作は着ている物を脱いで、囲炉裏に火を起こすと、どぶろくをあおってそのまま仰向けに眠り込んでしまった。
正助は囲炉裏の火で粥をつくった。今日一日のことが、正助少年の胸にどっと去来した。
今日から自分も一人前の男だ。そう思うと、嬉しくて小躍りしたくなった。
正助は、白いいたちの事を考えた。結局、獲物はとれなかった。あのいたちを逃がしてよかったのか・・。
いや、いいのだ。正助は、いたちの柔らかな感触を思い出し、あの夢の女のことを思った。
そういえば夢の女は、あの時、最後に何と言ったのだったか。わたしを助けて、そうしたら・・・・・

不意に妖しい気配を感じ、正助が顔を上げると、そこに白い何かがいた。
吾作の上に覆いかぶさり、囲炉裏の火に照らされてゆらめく、白く大きいもの。
正助は、遠い昔に同じ光景を見ていたような気がした。
白いものには腕があり、脚があった。白いものは脚の間に、吾作の体を組み敷いていた。
白いものには黒い瞳があり、紅い唇があった。白いものは正助に向かって、微笑んだように見えた。
白いものは豊かに膨らんだふたつの乳房と、艶かしくまるい大きな尻を持っていた。
それは、透き通るような肌をした、若く美しい女だった。
女は吾作の顔に尻を近づけ、小さな円を描くように尻をふった。
するとやにわに吾作がカッと目を見開き、うめき声を上げ始めた。
「ううう、くう、く、くく、くさ、くさ・・・・」
吾作の髭や髪は、風にあおられたようにゆれうごいていた。
まるい大きな尻が円を描き続けると、吾作はついに口から鼻からぶくぶくと泡をふき、白目をむいて静かになった。

女はがっくりと力の抜けた吾作の体から降りると、正助の側へ、しずしずと歩み寄って来た。
血に濡れたような紅い唇で、女はささやいた。
「わたしはあの山で、千年を経た大いたち。助けて頂いた御恩を返しにまいりました」
「この性悪のいたちめ、お父うを殺したな」
「いいえ、決して決してそのような、めったなことは致しません。あれはただ、お気をお遣りになられただけです・・
このいたちめの屁の香りに、たまらず目を回しておられるのでございます」
「そんな馬鹿な・・・ええ、えい、ええい、近寄るな、近寄るなと言うとるのに」
「・・仕方のないおひと・・・」
女はくるりときびすを返し、尻を突き出すと、吾作の時と同じように小さく尻をふった。
スゥー、というかすかな音が鳴り、正助は、囲炉裏の明かりにゆらめくモヤのようなものが、自分めがけて、女の尻から幾筋も放たれたのを見た。
モヤは次々と正助の顔に粘っこくからみつき、たちまち辺り一帯を雲のように覆い尽くしていった。
「はひ、ひい、く、はああ、ひいいい」
息をする度に、香ばしく甘ったるくそれでいて脳天をつらぬくようにくさい濃密ないたちの屁をたっぷりと吸わされ、
非道い臭気に肺腑の奥底まで蹂躙されて、ほどなく正助は泡をふいて宙をかきむしり、その場にばったりと倒れた。
女は倒れた正助を抱き寄せると、少年の着ている物をひとつひとつ、丁寧に脱がせ始めた。

「た・・助けたのに」
息も絶え絶えにあえぎながら悔しげに正助がそうつぶやくと、女は困ったような顔をしていた。そうした顔もなお美しかった。
「どうかお許し下さい・・。夜は思いのほか、短いですゆえ・・・」
女はそう言うと紅い唇を開き、しっとりと濡れそぼった桃色の舌で、正助の鼻を愛撫しはじめた。
こそばゆさと共に、鼻を侵していたあの目もくらむような臭みがゆるりと薄らいでいくのを、正助は感じた。
女は正助のはだけた背に、人指し指を軽く這わせた。
むずがゆいような、そうでないような、奇妙な快感だった。
女の白い指は、正助のうなじ、胸、脇腹を巡って、下へとくだっていった。
正助は、自分の体が自分のものでなくなっていくような感覚を味わっていた。
女は正助を仰向けに寝かせると、脇に座したまま正助の上に身を屈め、彼の胸をそろりそろりとなめ上げた。

あくまでも白く豊かな二つの乳房が目の前いっぱいにゆれるのを見て、正助の手が何かに突き動かされるようにのび、乳房を掴んだ。
正助の指は、力を込めるそばから、次々と乳房の肉の中にのみ込まれていった。
まるで、つきたての餅に指を入れるようだった。
想像だにしなかったあまりにも柔らかな感触に衝撃を受け、正助の脈は速まり、呼吸は更に乱れて荒くなった。
女はそれを見てくすくすと笑うと、今度は正助の頭の上方へ座し、先程のように身を屈めて、正助の首をやさしく抱き締めた。
上気して真っ赤に染まった正助の顔は、たちまち二つの乳房の内へ埋もれた。
正助はまるで、罠にはさまれた獣だった。
女はその姿勢のまま手をいっぱいにのばすと、正助自身が長い年月、ただ、小便の蛇口と思っていたものを、そろりと撫ぜ上げた。
顔は乳房に埋もれたまま、正助の手はあてどもなく、ひくひくと宙をさまよった。
女の指はさらに二度三度と、正助のそれを、くすぐるようにもてあそんだ。
いままで感じたこともない途方もなく強い本能的な衝動が、女の指のあたりで生まれ、ゆっくりと自分の中を這い登ってくるのを感じて、正助は思わず背をのけぞらせた。
すると女は、正助の首を放して自由にしてやり、かわりに自分の上体を正助の足の方へのり出して、仰向けの正助の上でちょうど顔の向きまで互い違いの、四つん這いの格好になった。
正助の股ぐらは女の眼前に、そして女の股が正助の顔のすぐ上にあった。
その茂みの奥の蜜壷から漂う妖しく芳しい女の香りが、正助の衝動の高まりをいっそう加速させた。

衝動は、今にもはじけそうな程に高まっていた。
正助の腰は、あとほんのわずかの刺激を求めて、無意識に動き出した。
正助は本能の命ずるままに、自分の右手をそこへのばそうとした。あとほんのちょっと、ほんのちょっと・・・・
しかしその右手を、女の右手が制した。
左腕にも、女の左手の指がからみついた。
女のたおやかなふくらはぎが正助の首をはさみ込むと、白い小山のような女の尻は下を向き、正助の眼前に、谷間深く埋もれた菊座を露わにして見せつけた。
ふっくらとした尻たぶの間から顔を覗かせたその桃色のつぼみは、やがて正助の顔の上でひくひくと皺を収縮させ、そして、内からの圧力でぷくりと膨らんだ。
「そんな、い、いやじゃ・・」
正助がそう言うか言わぬかのうちに、ぷふ、すうううという音を鳴らしてつぼみからあふれ出た熱い気体の奔流が、一息の間に、怒涛の勢いで正助の鼻腔へと押し寄せ流れこんだ。
「へがぁ」
あまりのくささに、わけのわからない悲鳴を上げ、正助は女の手を払い退け、やっとのことで鼻をつまんだ。
しかしもはやどんなにもがいてもあがいても、まんべんなく鼻の奥まで吹きつけられたいたちの屁の猛烈な臭さは、おいそれとは消えそうになかった。

「ほほほ・・・こうするとほら、まだ大丈夫。まだまだ、夜は明けません・・」
女の指が再び正助の股ぐらをもてあそび始めた。
少し前までははちきれんばかりに張りつめていたあの衝動は今や、ひどく小さく弱々しく感じられるのみで、ただ女の指がもたらす快感だけが、前にも増して激しく正助の背骨を駆け登っていった。
女は正助の玉袋のくるみのような二つのふくらみを、交互にもてあそぶようにして唇でつまんだりそっと息を吹きかけたりしながら、濡れた舌先を使ってやさしく念入りにねぶり上げた。
ちゅ、ちゅ、ちゅぷちゅぷ、ぺろ・・
「ふわ、ふああ、ふわああ」
正助は未知の快感の波に呑まれ、意味を成さない声をのどから洩らした。
あの強い衝動がまた、彼の中で急速に高まっていった。
正助は半狂乱になって、衝動の命ずるままに、脈打つ股ぐらを無理やり女の顔にこすりつけた。

・・・ぶう
だしぬけに正助の胸の上にあった女の尻から、正助の髪をゆらす程の大きな屁が、大砲のように放たれた。
まともにそれを吸い込みひいひいとのたうち回る正助の両脚を押さえつけ、女はさらに激しく舌を這わせた。
少年の脈打つ股間に吸いつき、彼の最も敏感な場所を探り当てると、巻きつけた舌を使って情け容赦無くぐるぐるとねぶりまわした。
終わりの見えない快感の嵐とますます強くなる屁の臭いに、正助は涙を流して気も狂わんばかりに身悶えた。
目はかすみ、体も痺れて、もう鼻をつまむことさえできない正助の上へ、女はひときわ濃く長い屁をゆるゆると浴びせかけた。
ぶぶ、ぷうう、ぷすすう、ぷすう、ぷすう・・・・
たっぷりと広がった臭気の海に溺れ、気を失う一歩手前の正助の意識は、女の舌と指とが紡ぎ出す強烈な快感のつるべうちによって、なおも覚醒を強いられていた。
いっそ失神してしまえればどんなに楽か。
しかしそれも許されないまま、もはや涙も声もかれ果て、後はただがくがくと身を震わすのみで、正助は女の仕業にただただ耐えるしかなかった。
おすこともひくことも叶わぬ宙ぶらりんのまま正助は、舐められ、扱かれ、撫でまわされて、滅茶苦茶な刺激だけをどこまでも与えられ続けた。

どれほどの時が経ったろう。
そのうちにふと正助は屁の臭いが薄まったことに気づき、ようやく目の前に女の顔があるのに気づいた。
女の舌が、正助の鼻を丹念に舐め上げていた。
「ああ・・もう、夜が明けます。
このいたちめの悦楽の罠はお気に召されましたか。
罠の御恩は、罠でお返ししてさしあげるのが道理ですゆえ・・
では、あの時わたしを逃がして下さったように、いざ、わたしの罠より解き放ってさしあげます」
女は正助の股へ、豊かな胸を寄せた。
二つのたわわな乳房が、そそり立つ一物を挟み、くるみ込んだ。
揉みしだかれてゆれ動く柔らかな乳房の間で、正助のそれはまるで、逃れようと必死にあがいているかのように見えた。

女の尻が再び正助の顔に狙いを定め、ばす、と一発を放った。
しかし正助の鼻に感じられたのはあの猛烈な悪臭ではなく、甘く情欲をかきたてる女の性の香りだった。
正助は股の間に、激烈な衝撃を感じた。
一夜かけて耐えがたいほどにふくれ上がった正助の男の性が、堰を切って溢れ出そうとしていた。
やがてその瞬間が訪れ、正助は獣のように叫び、手足をおもいきり突っ張らせた。
目もくらむような快楽の大波が一息に押し寄せ、そして・・・・

ガタン、ガラガラガラ。
鉄の転がる音に驚いて、正助はとび起きた。
早朝の青白い光が差す家の中を、正助は見回した。
吾作が、いびきをかいて眠っていた。
囲炉裏の火が消えていた。鉄鍋が、掛け金からはずれて落ちてしまっていた。
女の姿はなかった。
正助の鼻はまだ、家の中に漂う異様な臭いを嗅ぎとっていたが、それは屁の臭いではなく、何かが焦げた臭いだとすぐに知れた。

「夢・・・」
正助は、ぼんやりとつぶやいた。
ふと自分の爪先が真っ黒に汚れているのに気づいて、鉄鍋の底を蹴ったのだと悟った。
正助は鉄鍋を覗き込んだ。鍋の底には、黒く焦げ付いた粥のなれの果てが一面にこびりついており、正助は自分が昨夜、粥を火にかけながらいつのまにか寝込んでしまったことを悟った。
正助は自分の胸に白い粥が飛び散っているのに気がついた。
いや、よく見ればそれは粥ではなかった。
正助は手拭いでそのどろりとしたものをぬぐい取った。
胸とみぞおちとへその下をぬぐい、最後に股の間をぬぐった時、正助の背骨を痛みにも似た快感がつらぬき、夢の最後がありありと思い出された。
正助は、冷たい水で鉄鍋を洗い、手拭いを洗いながら、思った。自分は一人前の男になった。
そして同時に、自分の身がついに、性という、逃れがたい人生の罠に捕らえられたことを、少年は悟った。



   終

いらっしゃいませ!

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皆様こんにちは。SBDと申します。
私の拙いブログをご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
なお一応、当ブログはアダルトな内容を含みますので、18歳未満の方は申し訳ありませんが閲覧をお控え下さいませ。

この度DLsite.comさんで作品を販売するにあたり、アダルト記事可(たぶん・・・)なブログスペースがオマケで付いてきましたので、活用させて頂こうと思い
ブログ、はじめました。
まだうまれたばかりで何もないところですが、少しずつコンテンツを増やしていければなと思います。

当サークルの処女作となる「サイレント・バット・デッドリー ver.M」が、晴れて本日発売の運びとなりました。
購入には入会必須やクレカ必須などの縛りも特にありませんので、いかがわしい映画館でいかがわしい映画を一本観るみたいな感覚で、お気軽に(?)どうぞ。
今後とも当ブログを御愛顧頂ければ幸いです。
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