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HOME相談の広場労務管理についてRe: (不払い)賃金支払請求権の放棄について

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労務管理について

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(不払い)賃金支払請求権の放棄について

著者
迷える子羊? さん

最終更新日:2011年04月09日 14:19

被使用者が使用者に「賃金支払請求権」を有するとすれば、
その「権利」は、権利者(被使用者)本人が放棄することは、
理論的には可能と思います。

そこで、
実労働と実際の賃金支払い対象とした労働時間に
ズレ(齟齬)が生じていたことが発覚しました。

会社としては、支払意志はあり、支払う余力もあるので、
請求されれば払うという立場で、
当初は、不払い分を調べていたのですが、
しかし、当の本人も、会社も、(請求権のある2年前の)
齟齬の検証ができないのです
(覚えていないので。ただし、タイムカードの記録はあります)

それで、両者が面倒になってしまい、
会社が被使用者に
「過去2年分の不払い賃金は請求しません」
という念書を書かせました。
この念書が、真に被使用者が(強要されることなく)
任意に提出したかは不明です。

こうした場合、
実務上の取り扱いとして、
たとえば、仮に当局の臨検が入ったりした場合に、
その「念書」の存在をもって、
「『齟齬』があっても問題ない」と主張することに
問題はないでしょうか?

私見としては、
理論的には放棄可能な権利だとしても、
力関係の強い使用者に弱い労働者が提出したとすると、
「任意性」に疑いをもたれる可能性(リスク)が高く、
そのような対応自体「李下に冠を正す」ことになる気がして。
仮に任意で提出されたものでも、「痛くない腹を探られる」
ことになりませんか?

また、社内に同様のケースが多数出てきた場合に、
そのような念書が沢山出てくることにも問題はありませんか?

本人の問題といえばそれまでなのですが、
やはりいったん精算すべき気がします。

あまりうまく説明できずに
質問になってないかもしれませんが、ご回答をお願いします。

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Re: (不払い)賃金支払請求権の放棄について

著者
社労・暁(あかつき) さん

最終更新日:2011年04月09日 16:29

労働者が本当に、自由な意思でサインしたことを会社が証明出来るのなら別ですが、それは難しいでしょう。
労働者の任意放棄を認めた有名な判決(シンガー・ソーイング・メシーン事件東京高裁1969,8,21、最高裁1973,1,19)でも、(結局は4対1で、この任意放棄を有効としたのですが、)反対意見では、
「ただ、形式上いかに合意による相殺の形態をとるにせよ、労働者の在職中の相殺契約は事実上労働者の自由意思が抑圧されて結ばれる可能性が強いから、労働者保護のためその効力を否定しなければならないであろう。」
と言っています。

つまり、労働者にはサインしない自由があり、本来なら納得できないならサインはしないであろうものが、在職中であるが故にその後職場でどうなるか、を量りにかけるとその放棄を認めたのだろう、という推認をした裁判官が4人に1人居たということです。

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関連質問

著者
迷える子羊? さん

最終更新日:2011年04月17日 23:55

暁先生、ご回答いただき、有難うございます。


早速、シンガー・ソーイング・メシーン事件判決と
判例評釈等の文献を調べてみました。

なるほど、本事件では、最高裁判決に対する批判
(特に、証拠に対する評価)も多く、
放棄の任意性は厳格にすべきという見解がかなり多いことを
知り、大変勉強になりました。

ところで、
実は、その後、本件(質問の件)について動きがありました。
図々しい限りですが、追加で関連の質問をさせてください。

会社側がその後(これまでの経緯は、主質問のとおり)、
やはり、
「さすがに、念書だけじゃまずいだろう。清算しよう。」
と前向きな展開になってきました。

会社としては、請求権のある過去2年分の労務記録を見直して、
労働時間とみなされる部分(未払い賃金)については、
支払う姿勢になっています。

そこでなのですが、
その未払いが発生している
「過去2年の賃金未払い労働時間」を計算したところ、
(労基法36条の特別条項付き36協定を締結済)
36協定の時間外労働時間の上限を超過してしまうことが
判明しました。

理論的には、
「36協定の時間外労働時間の上限を超過すれば、
労基法36条の例外規定が適用されず、結果的に
労基法32条違反になる。」
ということなのかと思います。

しかし、今回は、

・労務管理が不十分であった会社
・自発的に時間外労働を申告しなかった社員

双方に問題があったというのが、労使共通の見解であり、
「おおごとにせずに解決したい」というのが、
労使お互いの認識です。

単に、未払い分を支払うだけでは、
前述の「労基法32条違反になる。」
というのは免れないとしたら、
どういう対応が考えられるのでしょうか?

具体的には、仮に未払い賃金を支払った後に、
労基署の臨検等が入った場合にも、
一応の抗弁ができるような対処法はあるでしょうか?

かなり突っ込んだ質問になってしまい、申し訳ございませんが、
何卒ご教示ください。

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Re: 関連質問

著者
社労・暁(あかつき) さん

最終更新日:2011年04月18日 09:04

>会社としては、請求権のある過去2年分の労務記録を見直して、労働時間とみなされる部分(未払い賃金)については、支払う姿勢になっています。
⇒支払ってください。
その上で、就業規則の見直し、改定、労使協定の締結、等により
・労務管理が不十分であった会社
・自発的に時間外労働を申告しなかった社員
の問題が繰り返されないよう周知徹底します。

>「おおごとにせずに解決したい」という労使双方の認識がある
とのことですから、内部告発は現時点では考えにくく従って、労基署からの臨検・是正勧告も想定しにくいところですが、
もしあったとしても、上述のように適正な対処がしてあれば、是正報告書としてその内容を提出できると思います。
是正報告書は労基署からの是正勧告書に違反法条項、違反事項、是正期日が明記されてきますので、それに対応した記載をすればよいのです。

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