福島や宮城など4つの県ですべての牛の市場への出荷が停止するなか、3日、各地の畜産農家などが東京電力の本店前に集まり、出荷の停止などで受けた被害を直ちに賠償するよう訴えました。
これは、全国の農家などでつくる団体が緊急に行ったもので、福島県や宮城県、それに岩手県の畜産農家やコメ農家などおよそ350人が参加しました。東京・千代田区の東京電力本店前には、出荷停止の対象になっていない千葉県の農家が飼育する肉牛や、餌の稲わらを載せたトラックが止められ、参加した人たちが肉牛の出荷停止や風評などによるすべての被害を直ちに賠償するよう訴えました。このあと農家の代表30人ほどが東京電力の担当者と会って要請文を手渡しました。これに対し、東京電力の担当者は「肉牛農家の皆様には大変なご迷惑をかけ、申し訳なく思っている。被害について国や自治体が行っている調査の結果を踏まえて適切に対応していきたい」と話していました。肉牛を巡っては、肉から国の暫定基準値を超える濃度の放射性セシウムが相次いで検出された福島、宮城、岩手、栃木の4つの県で、すべての牛が市場に出荷できなくなっています。福島県で肉牛農家を営む菅沼知恵さんは「出荷停止で収入が絶たれ、すでに経済的に破綻しているのに東京電力はなかなか賠償金を支払わず、兵糧攻めを受けている気分です。いったいどこまで待たせるのかと怒りが込み上げてきます」と話していました。