2日午前5時25分ごろ、北海道八雲町元町の介護施設職員の男性(52)方から出火、木造2階建て住宅延べ約220平方メートルを全焼し、2階の焼け跡から1人の遺体が見つかった。道警八雲署は、行方不明になっている高校2年の次女(16)とみて確認を急いでいる。同居する高校3年の次男(17)が「自分が1階居間のじゅうたんに火をつけた」と放火を認めており、同署は殺人と現住建造物等放火などの容疑で逮捕状を取った。3日未明に逮捕する。
同署の調べに対し、次男は「自分が周りと打ち解けられない性格になったのは家族のせいだ」などと話しているという。知人によると、次男は進路について家族と意見が食い違い、悩んでいた時期もあったといい、同署は家庭内でのトラブルの有無などについて事情を聴いている。
道警によると、男性方は男性と妻(53)、両親、2男2女の8人暮らしで、出火当時は全員が自宅にいた。男性が上半身にやけど、長女(24)が手を骨折する重傷。男性の父(79)と母(77)、長男(27)も煙を吸うなどして軽傷を負い、5人が病院に搬送されたが、命に別条はないという。
現場はJR函館線の八雲駅から北西約1キロの住宅街。近所の人が外に布団を敷くなどして、2階に取り残された男性の両親が飛び降りて逃げ出すのを手助けしたという。
次男は公立高校に通い、剣道部に所属。同級生らによると、漫画やゲームが好きで、周囲には「将来は声優になりたい」と話し、専門学校への進学を希望していたという。同校の教頭は「真面目で『キレる』こともなかった。信じられない」と話していた。【岸川弘明、佐藤心哉】
毎日新聞 2011年8月3日 北海道朝刊