同胞企業家の挑戦
毛髪クリニック「リーブ21」
本社・大阪市
社長 盧勝正さん (58)
幼少時の素朴な疑問を生業に
顧客との信頼関係が何より
「抜けた髪は、必ずまた生えてくるもの」との信念で、77年8月の創業以来、日本の発毛産業を引っ張ってきた。一般的に、はげ頭に鬘(かつら)、あるいは育毛剤をとかく結びつけがちだが、それらに頼らないで「頭部にとどまらず体全体の健康を見据えた脱毛原因の解消」に努める。
特許取得済みの「高周波、低周波を用いたマシーン」を使って頭皮全体の活性化を図る一方、スタッフが顧客としっかりかかわりながら食事の指導をしたり、体質改善が必要であればそれに見合ったプログラムを提供したりもする。
「髪のために何かを塗ったら、何かを飲んだら、では間違い。たとえば円形脱毛の原因の多くはストレスにあり、そこんところをきっちり踏まえた全体的なケアが必要」と説く。
その分、鬘販売のような「売ってなんぼ」の世界ではない。顧客数の増加が即、販売高につながるというわけでなく、「一年以上の施術コースで発毛しなければ、お客さんに費用の全額を返金」。なかにはスタッフが顧客との間に信頼関係が築けず効果が出ない場合もあるため、精神面での社員教育の徹底を経営戦略の柱に据えている。
現在、本社のある大阪中央区を拠点に全国54カ所に営業店舗を構え、従業員は507人。九五年以降順調な業績推移をみせ、2003年9月期には前期比約20億円増の107億円を見込む。「日本では約1,400万人が脱毛で悩んでいる。そこまでいかなくても、抜け毛や分け目が広がっていると悩んでいる人なら、その倍はいる。この事業はこれからが成長期。種をまいて、今やっと二葉が出た段階かな」
山口県で生まれ、脱毛症の友人などに違和感を覚えた幼児体験が毛髪とかかわるそもそものきっかけになった。「はげ頭はかわいそう。それには必ず原因があり、何とかなるはず」と思い続け、独学で創業準備に取り組んだ。幼いころの素朴な疑問を生業につなげた、数少ないケースだ。企業家としての心得について、「何はさておき、まずお金もうけありきではだめ。その事業を展開するにあたって人々にどれだけ喜ばれ、社会に役立っているかを考えなければ。私は、お金をもうけるということよりも事業を成功させることを優先的に考え行動している。そうすればお金も自ずとついてくるのでは」
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