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人権侵害救済機関:法務省外局に設置 「3条委員会」、政府から独立図る

 江田五月法相は2日の閣議後会見で、人権侵害救済機関の創設に向けた基本方針を発表した。人権救済に当たる人権委員会は法務省の外局とし、政府からの独立性を高めるため国家行政組織法に基づく「3条委員会」とする。調査拒否に対する制裁規定も設けず、任意調査が基本とした。政府は早期法案提出を目指すが、賛否両論があるとみられ時期の見通しは立っていない。

 民主党は09年総選挙のマニフェストで、同機関を内閣府の外局とする方針を示した。しかし党の検討チームが今年6月、「既存組織を活用することで新制度にスムーズに移行できる」と法務省外局案を提示。法務省の政務三役も了承した。地方組織は全国の法務局を活用する。3条委員会には公正取引委員会や中央労働委員会などがあり、独自の人事権や規則制定権を持つ。

 自民党などの政権が02年に提出した人権擁護法案(03年廃案)は、救済を申し立てられた側が調査拒否した場合には過料の制裁規定を設けたが、「権限が強すぎる」などの反対意見があった。民主党政権は「調査は当事者の理解を得ながら進める必要がある」として制裁規定を除いた。メディアの取材・報道を規制する条項も「自主的取り組みに期待する」として設けない。

 03年の廃案後も新規立法化を目指す動きはあったが、調査権限や独立性、メディア条項などを巡り国会内外で激論が交わされ、法制化に至っていない。法務省幹部は今回の方針を「対立軸の少ないソフト路線となった」と説明するが、組織形態や救済手続きの在り方を巡って異論が残るとみられる。【石川淳一】

毎日新聞 2011年8月2日 東京夕刊

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