スポーツに打ち込む高校生たちに見てとれる震災の爪痕。
今回のショーには、小さな子どもたちから、年輩の方々まで、幅広い年齢の人々が招待されていた。
「初めて見ることが出来て感動しました」
「楽しかったです」
そんな言葉の中に、おそらくは高校生だろう、「自分も部活、がんばろう」というつぶやきも聞こえた。
被災した高校生たちにとっても、3月11日以降、部活動に励むにも苦しい時間が続いてきた。
実感したのは、6月から7月にかけてのことだ。その間、東北各地の高校の部活動の様子を取材する機会があり、指導する先生や選手、関係者の方などから、いろいろな話を聞くことができた。
避難所生活を続けながら全国高校総体出場をつかみ、避難所でともに暮らす人々に祝福された空手部の選手。
屋外プールを使用できない事情を理解しながら、納得のいく練習をしたいから使わせてほしいと訴え、それがかなわず最後の夏に悔いを残した水泳部員たち。
転校などで人数が足りなくなってしまい、「北東北全国高校総体」出場のための予選となる県大会に出られなかった無念をかみしめた、様々な部活の生徒たち。
皆それぞれに困難をかかえながら、打ち込んできた活動を全うしようとしていた。それでもどうにもならない状況にあった高校生も沢山いたのだ。
被災者への思いを込めた羽生のジャンプが「未来」を作る。
昨シーズン、シニアデビューを果たし、国際大会で華々しい活躍をした羽生も高校2年生だ。
自身の体験やクラスメートたちの状況から、そうしたやるせなさを、身をもって知っていただろう。だからこそ生まれた彼の格別の熱意は、被災した同じ高校生たちにたしかに伝わったのではなかったか。「自分もがんばろう」という言葉に、そんな思いを抱いた。失った時間は取り戻すことができない。でも、未来の時間は作ることができる。そんなこともよぎった。
リンクをあとにし、八戸市内の中心部に戻る。
すると、通り沿いをランニングする選手たちがいた。校名の入ったバッグを手に、バスを降りてホテルに入っていく選手たちを見かけた。翌28日の北東北総体開会式へ向けて、各地からやってきた高校生たちだった。
緊張の面持ちの中にも、手にした晴れ舞台への意気込みがうかがえる。
悔いの残らない大会でありますように。
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