事件【話の肖像画】被曝者医療の真実(中)国際被曝医療協会名誉会長・長瀧重信 +(2/2ページ)(2011.8.3 02:59

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【話の肖像画】
被曝者医療の真実(中)国際被曝医療協会名誉会長・長瀧重信 

2011.8.3 02:59 (2/2ページ)

 --健康被害の有無は今後、補償にも関係してきます。原爆症訴訟などは科学的な因果関係が不明なまま決着したりしますが

 長瀧 被曝者の補償をどう扱うかは科学にとっても大きな問題です。私自身は補償のために科学を曲げるべきではないと思っています。科学は後世に伝わるものだから。だけど、補償は人間の愛情が基本で、科学だけで決めるものではないとも思います。

 --科学的根拠がないことまで補償する必要はないのでは?

 長瀧 科学的な決着がついていないところでも困っている人がいます。そういう場合も補償すべきです。ただ、補償の理由に科学を持ち出すのは反対で、あくまで人間愛が補償の基本だと思います。

 --福島の事故では校庭の放射線量をめぐって、年間1ミリシーベルトか20ミリシーベルトかで議論になりました

 長瀧 現状では、1なら安全で20なら危険という科学的な事実は証明されていません。放射線防護の考え方と、それによって作られた法律を正しく理解することが大切です。

  〈この問題では、内閣官房参与だった小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東大大学院教授が4月29日に辞表を提出し、記者会見で20ミリシーベルトを「とんでもなく高い数値」と涙ながらに訴えた〉

 --小佐古教授の発言で「20ミリシーベルトは危ない」と思った人は多いのでは

 長瀧 非常に大きな影響があったと思います。しかし、疫学的には年間100ミリシーベルト以下の被曝は人体への影響は認められていません。認められていないというのは、受動喫煙や野菜不足、運動不足など他の発がんリスクから独立して、放射線の影響だけを疫学的に認めることはできないということです。生物学的研究では、100ミリシーベルト以下でも影響する可能性があるという論文はあります。しかし、同じように影響がないという論文もある。一致した見解はありません。(平沢裕子)

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チェルノブイリ調査団の一員としてベラルーシの病院で住民を診察する長瀧重信さん(右から2人目)=1990年8月(長瀧さん提供)

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