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ドイツ:ナチス副総統の墓撤去…教会が極右「聖地」化阻止

ルドルフ・ヘスの墓があった場所。墓は撤去され、更地になっている=AP
ルドルフ・ヘスの墓があった場所。墓は撤去され、更地になっている=AP
ナチス副総統ルドルフ・ヘス=AP
ナチス副総統ルドルフ・ヘス=AP

 【ベルリン篠田航一】ドイツ南部バイエルン州ブンジーデルにあったナチス副総統ルドルフ・ヘス(1894~1987年)の墓が先月、撤去された。墓は長年、過激な極右集団ネオナチが「聖地」として頻繁に訪れる巡礼先になっていたため、墓地を管理する教会が、巡礼地化阻止に踏み切った格好だ。だがその後、教会関係者らにネオナチから脅迫状が届く事態になり、地元警察は警戒を強めている。

 ヘスはヒトラーの腹心で、第二次大戦後の戦犯裁判で「人道に対する罪」などで終身刑の判決を受け、ベルリンの刑務所に収監された。93歳で獄中自殺したが、ナチス幹部の中では最後まで生存した一人としてネオナチから神聖視され、墓は長年、巡礼先になっていた。

 教会は遺族の承諾を得て先月20日に墓を掘り起こし、遺骨を灰にしたうえで海に散布した。この措置に対し、ネオナチ約250人が先月30日、市内で抗議集会を開催。大きな混乱はなかったが、地元警察はナイフなどの武器を所持していたネオナチ数人を拘束。南ドイツ新聞によると、墓の撤去後には教会関係者らに対し200通の脅迫状が送られてきたという。

 欧州では、先月22日に起きたノルウェー連続テロ事件の容疑者が過激な極右思想の青年だったことから、極右に対する警戒が高まっている。ブンジーデルのベック市長は独メディアに「ノルウェー事件後、極右がこのような動きを見せるのはドイツの恥だ」と語り、ネオナチを非難した。

 ドイツ憲法擁護庁によると、ドイツのネオナチは現在約5000人。

毎日新聞 2011年8月3日 10時43分(最終更新 8月3日 11時12分)

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