低所得層の子どもたち、つらく寂しい夏休み(下)

 仁川市に住む小学5年生のチョンさん(11)は、先月19日から夏休みに入ったが、1日10時間ほどコンピューターゲームやテレビを見て過ごしている。母親(40)は基礎生活(生活保護)受給者で、就業支援プログラムを通じて仕事をしている。このため午前8時30分に母親が仕事に出掛けると、33平方メートルの家に一人取り残されたチョンさんは、ゲームに熱中するしかない。チョンさんは「近所の児童センターは小学4年生までしか利用できないので、行くところがない。学校の特別授業はお金が掛かるし、興味のある科目もないので申し込まなかった」と話す。

 日雇い労働者の父親と二人で暮らす中学3年生のキムさん(15)=ソウル市瑞草区=は「1日に3時間は数学と英語の問題集に取り組むが、勉強時間以外は一人で小説を読んだりインターネットで色々なサイトを見たりして過ごしている。夏休みは、勉強で分からない問題があっても聞ける人がいないので困る」と語る。

 子ども財団「延寿総合社会福祉館」の社会福祉士、ソ・ユンヒさんは「低所得層の子どもたちは、学年が上がるにつれて、孤独に過ごしてきた長期休暇期間が累積されるため、学習意欲や将来の目標を失ってしまうケースが多い」と指摘する。

 全北大児童学科のイ・ヨンファン教授は「小学校低学年のための支援施設を増やし、低所得層の児童・生徒がプールや図書館など地域社会の公共施設を活用できる仕組みを整える必要がある」と話した。

夢の木カード

 長期休暇中に低所得層の児童・生徒が食事に困る問題を解決するため、ソウル市が2009年に導入した食事補助カード。加盟店になっている食堂や一部のコンビニで使用できる。カードの利用金額は1日当たり8000ウォン(約600円)までに制限されている。ソウル市以外に、京畿道や仁川市などでも同様の制度が導入されており、蔚山市では低所得層の児童・生徒が食堂で利用できる食券を配布している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る