2011年8月3日 2時30分
会社更生手続き中のバイオ関連企業「林原」(岡山市北区)の再建を支援するスポンサーに、化学品商社の長瀬産業が内定したことが2日、分かった。買収額は800億~1000億円とみられ、4日に開かれる債権者集会で正式決定する見込み。
林原のスポンサー選定には食品企業など70社以上が名乗りを上げたが、美術館や博物館、チンパンジー研究など林原が行っていたメセナ事業を含めた一括引き受けが障害になった。5月下旬の2次入札には、韓国最大の食品関連企業「CJグループ」など計4グループが参加。最高額を提示したCJグループが有力視されていたが、7月中旬に行われた最終入札で長瀬産業が競り勝った。
林原は、菓子の甘味料などに幅広く使われている「トレハロース」の生産を国内でほぼ独占。また、抗がん剤の「インターフェロン」などにも強みを持つ。しかし、前社長ら創業一族による事業拡大で経営が悪化。不正経理も発覚し、今年2月に東京地裁に会社更生法の適用を申請し、破綻した。
長瀬産業は、合成樹脂や電子材料など化学品の販売が中心。「トレハロース」など林原の主力商品を取り込み、食品関連事業を強化する狙いがあるとみられる。【井出晋平、大久保渉】