一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月13日のLPSA芝浦サロン・無言の激励

2011-07-16 00:22:37 | LPSA芝浦サロン
13日(水)は、LPSA芝浦サロンに行った。金曜以外でサロンに行くのは極めて異例だが、13日は船戸陽子女流二段が担当である。マイナビ女子オープン一斉予選対局に臨む船戸女流二段に、無言の激励をするつもりだった。しかし今月サロンに行くのはもう5回目。本当にどうしようもない。
仕事を終え、田町へ向かう。ところが乗っていた山手線が数分間遅れ、イライラしていたら乗り越してしまった。田町へは山手線と京浜東北線が並行して走っているが、私の乗る方はいつも遅れる。不愉快極まりない。
「小諸そば」へは寄らず、午後6時すこし過ぎ、サロンに入る。水曜日だから会員は少ないとフンでいたが、案の定ふたりしかいない。ミスター中飛車氏と見知らぬ人―初めての客だ。駒込サロンでは常連の会員ばかりだったが、芝浦サロンでは単発の客がかなりいる。彼らをどうレギュラー化させるかが、LPSA女流棋士の腕の見せ所である。
手合い係の大庭美樹女流初段に一言断りを入れ、指導対局の席に着く。きょうの船戸女流二段は中近東風?の涼やかな服装。まったく、船戸女流二段は何着服を持っているのだ。
右ナナメ向かいに、初めての客が座っている。前に扇子を置き、腕に覚えがありそうだが、船戸女流二段はかなり駒を落としている。とすると彼は級位者だが、彼は盤に集中しており、かなりの将棋好きと見てとった。その右隣にはミスター中飛車氏。彼もいつも、盤上没我だ。
私の将棋が中盤になったころ、初めての客氏の将棋が終わった。船戸女流二段がどうしようもない局面に見えたが、勝敗がどうなったかは分からない。もうダメだ、という局面から上手は妙な手をひねり出してくるから、油断がならないのだ。
初めての客氏が席を外し、書棚の前に腰を下ろして棋書を読んでいるところで、私の将棋が終わった。彼の意向次第で、私は彼と将棋を指すか、船戸女流二段とのおかわり対局を指すか、になる。と、船戸女流二段が
「もう1局行っちゃいますか」
と私に聞く。じゃあ指しちゃいましょう、ということでおかわり対局に入る。初めての客氏もそれにならい、おかわり対局となった。
彼は、ミスター中飛車氏が連れてきた客だった。今月はサロンキャンペーンで、初めて来場した客は、1日料金が半額になる。この機会にサロンを訪れる客が増えればいいが、どうなるか。
初めての客氏は、六枚落ちだったようだ。角道を開けたのち飛車先の歩を突いたので、船戸女流二段が
「それでもいいんですけど…」
と、定跡講座を始めた。駒落ちの教示は植山悦行七段がじょうずで、駒込サロンでは手合い係の仕事の合間に、初心者に教えていたものだった。やがて植山七段は去り、サロンのシステムも変わって、いまは初心者に将棋を教える先生はいなくなった。
船戸女流二段は初めての客氏に、六枚落ちの定跡を実戦形式で教える。六枚落ち定跡を知っている女流棋士は意外と少ないと私は見ているが、船戸女流二段はその数少ないほうで、いまは先生が生徒に指導をするがごとく、懇切丁寧に教えている。まさに水を得た魚、船戸女流二段の本領発揮であった。
ミスター中飛車氏もおかわり対局に入ったようだ。サロンキャンペーンの続きだが、新規の客を紹介した会員には、おかわり対局半額の特典があるのだ。しかしそんな特典がなくても、中飛車氏もおかわり対局を所望したであろう。
蛇足ながら、私たち一般会員にも今月は特典があって、サロンに来るたび押されるポイントが、今月は2倍になる。きょうは一挙に6つ押された。
2局目も私は早指しで、初めての客氏より早く終わってしまった。
簡単に感想戦を行ったが、ちょっと気になったのは、お互いの大局観が大きく違っていたこと。こちらが勝勢に近い優勢と見ていた局面を、船戸女流二段は、自玉が穴熊だからまだ難しい形勢、と捉えていた。
本人が反論しないのをいいことに、ここに書いてしまうが、あの形勢判断は私のほうが正しい。これは船戸女流二段に限らないが、LPSAの一部の女流棋士は、穴熊を過信しているところがある。
16日のマイナビ一斉対局では、船戸女流二段は清水市代女流六段と対戦するが、もし船戸女流二段が穴熊を採用するならば、冷静に形勢判断をしたほうがいい。船戸女流二段と清水女流六段のご健闘を、お祈りいたします。
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7月8日のLPSA芝浦サロン・「島井咲緒里」を堪能する

2011-07-12 00:58:09 | LPSA芝浦サロン
8日(金)のLPSA芝浦サロンは、島井咲緒里女流初段の担当だった。
この日も定時(現在は午後4時半。情けない)に仕事を終え、田町に向かう。今月から芝浦サロンに行く回数を減らすつもりだったが、ジャンジャンマンデー、ワインサロンと、ふつうに参加している。どうしようもない。
「小諸そば」で二枚もりを食し、午後6時少し前、サロンに入る。が、指導対局の席には誰もいない。きょうは金曜日、しかも島井女流初段の担当だというのに、これはどういうことだ!?
奥を見ると、Tod氏と、これは珍しい、Kit氏が対局していた。それを見物している、見慣れぬ方がひとり。客はこれだけである。
もう少し人が来るだろうと思いきやそれはなく、島井女流初段と私だけの指導対局が始まった。「チョコレート勝負」の第4局である。
すでに駒が並べられている盤があったが、島井女流初段は別の駒箱から駒を出した。せっかくだから最初から並べましょう、というわけだ。
島井女流初段が「王」を置くと、私が「玉」を置く。島井女流初段が「左金」を置くと、私もそれにならう。まるで、公式戦を指すがごとくだった。
それでも一応会話らしきものはあって、16日(土)のマイナビ女子オープン一斉予選対局での対戦相手を聞くと、相川春香アマ(10月から女流3級)とのことだった。
島井女流初段は、先日の女流王座戦で山口恵梨子女流初段相手に居飛車を指し、惨敗した。あの将棋を見ると甚だ心もとないが、「勝てます」と励ますしかない。
この指導対局、掲載の順番があるので、紹介は後日に回すが、二転三転のむずかしい将棋で、最後は私が負けた。刀折れ矢尽きたので、潔く投了したのだ。ところが局後の検討によると、このどうしようもない局面から、下手にもまだ手段が残されていた。今回は先行して、その投了局面を下に記す。

上手・島井女流初段:1五歩、3四歩、3八と、4八金、6四歩、8一桂、8四歩、8五桂、8六成銀、9二香、9三歩、9四王 持駒:飛、角、銀、歩4
下手・一公:1七歩、1九香、2四香、3三歩、4六銀、5五歩、5六銀、6三金、6七金、7二竜、7六歩、9六角、9七歩、9八玉、9九香 持駒:金、桂2、歩3

▲7二飛成に△9四王まで。ここで私は投了したのだが、さらに未練がましく▲8五角と指す手が有力だった。仮に△8五同歩だと、そのあとで感動的な手順が出てくる。ちょっと研究してみるのもおもしろいかと思う。
さて、ふだんは感想戦をあまりしない私だが、ほかに会員がいなかったのと、私自身がもう少し島井女流初段といっしょにいたかったので、今回は熱心に行った。
意外に思われるかもしれないが、私は島井女流初段とあまり話したことがない。最も話しているのは船戸陽子女流二段である。これは自他ともに認めるところ。そこからグッと下がって藤森奈津子女流四段、中井広恵女流六段、石橋幸緒女流四段、あたりか。島井女流初段はそのずぅっと下だ。
それだけに、将棋盤を挟んでいるとはいえ、LPSAアイドル担当の女流棋士との、「本物の会話」は新鮮だった。島井女流初段は意外と早口で、弁舌も滑らか。何より手をよく読んでいて、その読みの量に、私は舌を巻いた。頭の回転もよく話術も巧みで、話していて、とても楽しかった。
対局が終わったのは7時半ごろだったと思うが、感想戦が終わったのは8時20分ごろ。約2時間20分、まさに「島井咲緒里」を堪能した感じで、これは3,000円(回数券使用時の1回分の料金)を払った甲斐があった。
そしてこの時点で、「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の1位は、再び彼女になった。けっこう、きょうのポイントは高い。前回は「4日天下」だったが、今回の1位は長期になりそうである。
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LPSA芝浦サロン・船戸陽子女流二段8・クリスマスイブの大勝負

2011-07-06 00:06:48 | LPSA芝浦サロン
昨年12月17日(金)のLPSA芝浦サロンは中井広恵女流六段の担当だったが、私は長崎県を旅行中で、対局は叶わなかった。残念だが、縁がなかったということだ。
翌週24日(金)のクリスマスイブは、船戸陽子女流二段の担当だった。この日は夜に「駒込ジョナサン研究会」があったが、私はもちろん、船戸女流二段に指導対局を受ける。旧LPSA金曜サロンのメンバーはジョナサンに直行だろうが、むしろその方が好都合だ。展開によっては船戸女流二段を飲みに誘い、こっちはこっちでハッピークリスマスを過ごすつもりであった。
昨年は仕事もヒマでこの時期の金曜日は休みだったが、年末は忙しくなり、金曜日の休みも終了。女流棋士会スーパーサロンの、藤田綾女流初段の指導対局は受けられなかった。せっかくのクリスマスイブだったのに、残念。
仕事を終え、芝浦サロンに入る。この日の船戸女流二段はクリスマス仕様で、サンタクロースの衣装だった。さすがに船戸女流二段、TPOをよく心得ている。そんな船戸サンタは、いままで見たコスプレの中では最もセクシーで、クラクラした。だがその10日後、つまりLPSAの新年会で、さらにセクシーな船戸女流二段のチャイナドレス姿を目にしようとは、このときは予想もしなかった。
肝心の指導対局だが、旧金曜サロン組の中では、すでにW氏が指導対局を受けたが、もうサロンを後にしていた。フフッ、それでいい。飲みに誘うのに、ほかの会員はいないほうがいいのだ。
船戸女流二段と、2010年最後の指導対局に入る。去年の船戸女流二段との戦績はここまで9勝9敗。お互い勝ち越しを懸けた、大勝負だった。
私は四間飛車から9手目に▲1六歩と突く。船戸女流二段はそれを受けず△3二王だったので、私は▲1五歩と突き越し、藤井システムに構えた。
船戸女流二段はそれでも△1二香と上がり、穴熊を明示する。私は居玉のまま、見よう見まねで▲2五桂と跳ねた。形は藤井システムでも、全然読みが伴っていない、上っ面だけの仕掛けだ。ただ、本譜は船戸女流二段が素直に応じてくれたので、思いのほかうまくいった。

上手・船戸女流二段:1二香、1三歩、2二王、2三歩、2四角、3一銀、3三金、3四歩、4三金、4四歩、5三銀、5四飛、6三歩、7三歩、7四桂、8一桂、9一香、9三歩 持駒:歩
下手・一公:1五歩、1九香、2五桂、2七歩、3六歩、3七銀、4五歩、4九金、5六銀、5七歩、5八金、5九玉、6五歩、6八飛、7六歩、7七角、8八歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩

ここで▲5五銀と出て飛車を殺し、優勢になったと思った。以下は緩んだところもあったが、何とか勝ち。対船戸戦、年間の勝ち越しを決めた。
時刻は9時に近い。私は室内で時間をつぶし、ほかの会員が帰るのを、ひたすら、待つ。旧金曜サロンのアフター常連組はいないので、私を食事に誘う会員はいない。しかし、誰から声が掛かるか分からない。私は自身の気配を消す。
やっとみんな帰った。ついに、船戸女流二段を、飲みに誘うときが、来た。ああ、なんだか、ドキドキする。
覚悟を決めて、船戸女流二段の前に、進む。こんなところで、もうひとつの大勝負が待っていようとは!
「ふ、ふな、ふなとせんせい、きょ、きょうはふたりで…のみにいきませんかっ?」
私は勇気を振り絞って、訊く。対して船戸女流二段は、こう言った。
「……。みんなで飲みに行こう?」
「……」
うん、そうであろう。まあ、そうであろう。私の気持ちを傷付けない模範回答である。淡い期待を抱いていたが、さすがに無理筋だった。
一公、クリスマスイブに玉砕する。明日は七夕。
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7月1日のLPSA芝浦サロン

2011-07-03 00:19:59 | LPSA芝浦サロン
7月1日(金)は当初、LPSA芝浦サロンに行く予定ではなかったのだが、先日のジョナ研のときにW氏が行くと言っていたので、私も行くことにした。
ところが1日の夕方W氏から電話があり、所用でサロンには行けなくなったとのことだった。それは残念だが、W氏が行かないから私も行かない、ではふたりが怪しい仲になってしまうので、私はそのまま行くことにする。
ところでW氏によると、当ブログの行きすぎた記述に対して、某所からクレームがあったそうだ。このブログは全国的にマイナーで地味なものだが、その内容にケチをつけるとは、ずいぶんな物好きがいたものだ。
午後5時すぎにサロンに入る。この日は前半がピュアピュア中倉彰子女流初段、後半がミルキー中倉宏美女流二段の担当だ。部屋の手前では、彰子女流初段が、3面指しをしていた。その中にはHi氏の姿があった。Hi氏は茨城からの遠征。自宅からサロンまでは2時間55分もかかるそうで、その熱心さには頭が下がる。
Is氏、Tod氏は自由対局中。めずらしくS夫氏(S夫妻の旦那様という意味)がいらしたので、対局を申し込む。私が飛車角を落として開始。前回は完敗だったので、今回は△5五歩止めを指してみた。具体的手順は、△5四銀〜5五歩〜5二金〜5三金〜5四金。下手に▲4六銀〜7七銀〜6六銀〜4八飛から▲5五銀右と来られると私が不利だったが、下手はそう指せなかった。
途中でFuj氏も見え、6時からの宏美女流二段の指導対局は、何と6面指しになった。
宏美女流二段とはワイン勝負7局目。何度も書くが、芝浦サロンで12戦し、私が5勝ならセーフ、宏美女流二段が8勝ならワイン進呈となる。現在の星は言えぬが、もう負けられぬ戦いであった。
本局の結果だけ書くと、227手まで、私の勝ちとなった。途中、くじけそうな局面はあったが、何とか踏ん張った。終局後、宏美女流二段が
「投げてくれると思ったのに…」
「アツイ…」
とつぶやいたのが印象的だった。宏美女流二段は持ち時間なしながら指し手は的確、本当に強いと思った。
このあとは、Fuj氏と練習将棋。Fuj氏は先日の社団戦で3戦全勝、隠れた実力者だ。私とは過去1回戦い、私が負けている。本局は持ち時間5分の超早指し戦だった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲5八金右…。先手の作戦がよく分からぬが、結局矢倉模様に進んだ。私は中飛車に振る。△5五歩▲同歩△4四銀。この仕掛けは、昭和54年、大内延介八段と中瀬奈津子女流初段の「NHK将棋講座」に出てきた手を参考にしている。先手は▲7九角型なので、より有効だ。数手進んだ局面が下。

先手・Fuj氏:1七歩、1九香、2六飛、2九桂、5八歩、6六歩、6七金、6八角、6九玉、7六歩、7七銀、7八金、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:銀
後手・一公:1一香、1三歩、2一桂、2三金、2四歩、3二玉、3四歩、4三歩、4七成銀、5二飛、5五角、5六歩、6一金、6三銀、6四歩、7四歩、8一桂、8四歩、9一香、9三歩 持駒:歩3

△2二の角を、勇躍△5五角と飛び出した局面。この局面に至る途中、▲4六角をいじめるために△4五銀と打ったのだが、ここは△5五銀と打ち、▲6八角なら△6五歩とするのだった。本譜は△3六銀〜△4七銀成とパクパク歩得したが、結果的に成銀が遊び、存外効果がなかった。
実はこの将棋、ここから19手で終わる。
▲5六飛△1九角成▲5二飛成△同銀▲7九玉△6五歩▲3七歩△8二香▲8八玉△8五歩▲6五歩△3九飛▲6四歩△6二歩▲6三歩成△同銀▲5三銀△2九飛成▲4二飛まで、Fuj氏の勝ち。
△1九角成と香を取ったところでは優勢を信じて疑わなかったが、先手は飛車を交換してから▲7九玉が落ち着いた手だった。その前の▲5二飛成で▲5三銀は、△5一飛で、次に△5二歩を見られる。
△6五歩は気が利かないが、つい突いてしまった。しかし△8五歩はハッキリ不急の手。ここは△2九馬とか△3九飛とかし、早く桂を入手すべきだった。
▲6四歩に△6二歩も弱気。▲6三銀を気にしたからだが、ここはほかの手を指し、▲6三銀には△4一銀と引いて我慢するのだった。
本譜は▲5三銀とされて一気に受けなし。この手で▲5三飛を考えていたのだからおめでたい。
どうも最近の私は、読みに本腰が入っていない。どこか浮ついている。精神的な面と肉体的な面と、両方改善する必要がある。
放課後は、Is氏とお茶をした。
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LPSA芝浦サロン・松尾香織女流初段4・マッカラン勝負ラスト1(後編)

2011-06-20 01:05:04 | LPSA芝浦サロン
私は受けることを諦め、前の手を継承して、▲3二とと入る。しかしこれがまたも緩手。一手の価値がまったくなく、ハッキリ形勢を損じた。この忙しいときに、何という危機感のなさか。
松尾香織女流初段は予定どおり△6五歩と突き、バタバタと手が進んだ。
「陽子ちゃん、ちょっと良くなったみたい」
船戸陽子女流二段が様子を見に来ると、そのたびに松尾女流初段は、船戸女流二段に現在の心境を吐露する。私はというと、序盤のアドバンテージがとっくにフイになって、やや諦めムードになっていた。
私の▲8五香打に、松尾女流初段、△7一桂。ここで私は▲5八歩と、5七の金を助けた。3九の角で取られそうだっただけに、これは大きな一手だった。またもやる気が出てくる。
松尾女流初段、△6六歩▲同金を利かして、△3四角。一見よさそうな角で、次に△6六角成がある。そこで私は▲8八玉と角筋を避ける。いまは辛抱するしかない。
松尾女流初段、それでも7五の地点で角を切って金を取り、△7六銀と打つ。好調のようだが、この金は5七の地点で、タダで取られていたはずだった。それが角金交換の形になり、楽しみが出てきた。
私は▲7八銀。さらに▲9八角、▲7九桂、▲5九桂と、松尾女流初段の攻めに、なりふり構わず受けた。
私はさっきから頭に血が上り、興奮状態である。松尾女流初段はほんのり上気し、色っぽい。やはりシナモノが懸かっていると違う。しかし女流棋士に真剣に指していただき、私はひそかに感動していた。
△9五歩と来た。私は穏やかに▲同歩。どこかで反撃したいが、やっぱり▲1一竜が△5一歩で遮断されているのが痛い。先の▲5七歩の前に、▲5二歩△同香の交換を入れたのが余計だったと、いまさらながらに悔やまれた。
松尾女流初段、頃はよしと△6八成銀から△6七歩成と殺到する。▲6七同銀△同金。それが下の局面である。ここで私の指した手が問題だった。

上手・松尾女流初段:1三歩、1八竜、2七歩、3四角、3五歩、4三歩、4四銀、5一歩、6一金、6七金、7一桂、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9五香、9六歩 持駒:金、銀、歩
下手・一公:1一竜、1七歩、3二と、4七歩、5八歩、5九桂、6四歩、6八金、7五歩、7六角、7九桂、8五香、8六歩、8八玉、9九香 持駒:銀、香、歩2

この時点では、私の持ち時間もかなり少なくなっていた。そこから時間を割いて、私は▲6七同金。これが、ここまでの粘りをあたら棒に振った、大悪手だった。6八の金は動かさず、▲5八歩とともに防波堤でなければならなかった。
松尾女流初段は当然、△5八竜。
「あっ!」
私は叫ぶ。この王手をうっかりしていた! てっきり、△6七同角成▲同角と進むものと思っていたのだ。
本譜は王手だから何か合い駒をするしかないが、▲6八香や銀では△6七角成で、次に△6八竜がある。それゆえ仕方なく▲7八香と受けたが、受けになっておらず、△9七金▲7七玉△8八銀とされ、ここで私の投了となった。そしてこの瞬間、松尾女流初段へのマッカラン進呈が決まった。
投了以下は、▲6六玉△5五竜までの詰み。戻って▲6七同金では、▲6七同桂右が正着だった。上手が△6六金ならば、▲9四香がとりあえず詰めろになる。感想戦ではこのあたりをかなり突っつき、△9七歩成〜△9三歩や、玉の逃げ道を開ける△6三桂!という手まで出たが、明確な結論は出なかった。よって▲6七同桂右と指せば、松尾女流初段が秒読みだったこともあり(ただし秒読みは1分だった気がする)、勝負はどう転んだか分からない。
年末のこの時期に臨時の出費は痛いが、松尾女流初段との2010年は、10戦して2勝しか挙げられなかったのだから仕方がない。結局、松尾女流初段が強かったということだ。
後日、私はマッカランを購入し、松尾女流初段にプレゼントした。賭けに負けたんだから当然だが、この1年間、指導をしてくださった御礼でもある。松尾女流初段にはたいそう喜んでいただき、今年のバレンタインデーには、お返しのお菓子をいただいた。松尾女流初段には、あらためて御礼を申し上げたい。
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