ニセ左翼暴力集団・中核派の本質と「ワールドアクション」と称する策動について
2003年12月26日 日本共産党千葉県常任委員会
はじめに
ニセ左翼暴力集団・中核派が、青年の高まる平和へのエネルギーをかすめ取ろうと、「ワールドアクション」と称する策動を広げている。中核派の機関紙「前進」8月11日付が、「これまで日共の影響化で苦闘してきた青年労働者…が、その枠をこえてワールドアクションを闘い」とのべているように、その矛先は、日本共産党や民青同盟に向かっている。
しかし、かつてのようなニセ左翼集団との激烈なたたかいを経験していないだけに、党や同盟の側に警戒感の弱まりがあり、一部ではあるが、彼らの策動を許している。「ワールドアクション」の策動は、きわめて巧妙であり、「中核派がからんでいる」ですまさず、彼らの本質とその政治的・理論的誤りをしっかりつかみ、対応をする必要がある。
一、ニセ左翼暴力集団・中核派の本質
中核派とは、日本トロツキスト連盟―革命的共産主義者同盟(革共同)―をたどり、分裂に分裂を重ねた革共同全国委員会中核派のことである。千葉県では、かつて千葉大学に巣くっていたこともあるが、いまや「動労千葉」などごく一部を拠点とする、ニセ左翼暴力集団の一派(セクト)である。
1、「反帝闘争」「世界革命」と左翼を装い、党や同盟への攻撃・破壊をめざす集団
中核派の「規約」では、「労働者階級の事業をわい曲、抑圧しつづけてきた反労働者的な日共をのりこえ、闘う労働者党をきずきあげる」とのべている。「動労千葉」の機関紙でも、「真の労働者階級の政党をつくりあげなけれならない」とのべ、日本共産党の解体と、彼らによる「党」づくりを公然と主張している。
攻撃の内容として、物理的・暴力的なものは、この間はみられないが、党の綱領路線への攻撃は、全面的にやられている。中核派のホームページの「既成政党批判」では、綱領改定案を攻撃する連載をはじめ、日本共産党攻撃の論文が55本あるが、民主党は10本、公明党1本、自民党はゼロである。世界の進歩の流れの否定、日本帝国主義自立論、日本の対米従属の否定、選挙戦への中傷・揶揄などであり、「ワールドアクション」の主張にもつらぬかれている。
また、彼ら特有の歪んだ理論を運動のなかに持ち込み、広範な国民・青年の団結を破壊し、分裂を持ち込む役割を果たしている。
それがもっとも特徴的に現れているのは、「9・11と連帯して闘う側に立つのか、それとも米帝を主導力とする『反テロ戦争』の側に立つのか」(「前進」02年9月16日付)というものである。これが、広範な国民の団結を破壊することはいうまでもない。また、このたたかいを帝国主義打破のたたかい、反帝闘争に流し込もうとしていることも、広範な人々の「世界の平和のルールを守れ」という一致点をこわすものである。「ワールドアクション」も、表現は弱いが同様の主張をしている。
2、なによりも、無差別の暴力・テロ・リンチを重ねてきた殺人者集団
中核派ホームページにある「革共同とは」では、「非合法・非公然体制および革命軍と自衛武装体制をもって闘う」と、公然とのべている。6・70年代には、暴力による大学支配、日本共産党員や民青同盟員への襲撃事件をくり返してきた。
また、ニセ左翼集団内の派閥争いでおこなってきた暴力・殺人事件は、すさまじいものである。77年だけで、革マル派4人を車ごと焼き殺した事件をはじめ、内ゲバ事件が39件、10人が死亡、45人が重軽傷をおっている。「朝日」によれば、「45年(1970年)から10年間の死者は実に77人、中核派によるもの42人、解放派20人、革マル派14人」とのことである。
暴力・殺人は、内部抗争にとどまらず、火炎瓶や自動発火装置によるによる放火、ビル爆破など手段を選ばず、一般市民にも多数の死傷者を出している。
「動労千葉」委員長が、「『テロにも戦争にも反対』ということをきっぱりと拒否する」とのべ、中核派「全学連」が、「11・29ゲリラ戦闘(日本人外交官2人の殺害)は正義の闘いである」というのも、彼らが「テロ容認」であることを語っている。「ワールドアクション」も、テロを当然視する態度である。
3、日本の支配層・権力機関に泳がされた、謀略をこととする集団
自民党による泳がせ政策は、当事者による証言で明らかである。
中曽根元首相、「彼らの暴走が反射的に市民層を反対に回し、自民党の支持につながる作用を果たしている」(69年)。保利元官房長官、「三派系全学連は泳がせておいた方がいい。そうしないと全学連は日共系一本にまとまる。その方が危険だ」(67年)。
ニセ左翼集団の側も、警視総監や公安担当の検事正らと面会し、「なみなみならぬ温かい感情と同情心に感謝」とのべたり、右翼の大物が「物理的な援助(資金援助のこと)もしよう、右翼の暴力から守ろうと約束」したことなどを63年TBS放送で証言。
そもそも、何十人もの殺人を犯している集団にもかかわらず、その検挙率は3割にとどまり、一般刑事事件の9割と比べても異常に低い。「内ゲバ事件は犯人が特定しにくい」と言い訳をしているが、犯行を「予告」し「戦果」を誇っている集団であり、活動家数もたかが数百人に過ぎない。明らかに、泳がせているとみなければならない。
彼らの利用価値は、@国民の運動や革新的なエネルギーをそらし分断する、A「あれが共産主義だ」と党や同盟への攻撃に利用する、B暴力事件を口実に、民主運動への規制や言論・集会の自由への制限をおこなうなどである。
二、中核派の誤った主張と「ワールドアクション」の共通性
中核派の政治的主張の根本は、一国社会主義革命を否定し世界同時革命論に立つトロツキズムである。ここから派生してくる、でたらめな妄論、謬論をふりまいているが、その中心点は「ワールドアクション」の主張に反映している。そうした彼らの誤りを正確につかみ、知らせていくことが大事である。
彼らも、「中核派だ」と批判されることを想定し、「中核派っぽいからとか、民青や共産党の批判だからとか、そんな理由で…ビラなどに目を通さない」(「共産党員・民青同盟員有志」ビラ)などと、「伏線」を張っている。問題は「中核派っぽい」ことではなくて、政治的・理論的な誤りを運動に持ち込み、国民・青年のエネルギーをそらし、運動に被害を与える犯罪性にある。
1、国民の団結・共同を破壊する徹底した反共主義
中核派の「反帝反スタ」のスローガンとは、「世界同時革命を裏切ったスターリニスト官僚の破壊・打倒をぬきに、社会主義革命は不可能だ」とするもので、「反帝」をかかげつつ、実際は「反スタ」つまり日本共産党の破壊・打倒が優先するという理論である。
「ワールドアクション」の主張をよくみると、「イラク派兵反対」を叫びながら、現に運動の先頭にたっている日本共産党を、巧妙に攻撃する仕掛けになっている。
11・9(総選挙投票日)労働者決起集会への参加呼びかけのなかでは、「今回の総選挙には、私たちの選択すべきものは何一つありません」、10月13日付ビラでは「既成の政党にも選挙にも、私たちの意志を預けることはできません」と、自民・民主などとひとくくりに、日本共産党も含めて攻撃するやり方である。これは、「動労千葉」の機関紙10月31日付と、まったく同じ構図の攻撃となっている。そこでは、「共産党も…翼賛勢力の一角に転落」とか、「真の労働者階級の政党をつくりあげ(る)」とか、いっそう露骨である。
また、「ワールドアクション」のホームページで紹介されている「日本共産党員・民青同盟員有志」名のビラは、有事法制やイラク特措法を「力づくで止めようとはしなかった」、「戦争に加担したな」、「今の共産党では、戦争を止めるどころか、日本を変えることさえできません」とまでいって攻撃している。
同ビラは、綱領改定案に対して、「事実上、天皇制、自衛隊を現時点で認めてしまう始末」と攻撃しているが、これも中核派の党綱領改定案攻撃とまったく同じ内容である。
2、帝国主義間の争い一色にえがく世界情勢論
世界同時革命論の「教条」から出発する彼らは、世界は常に帝国主義間の争いが激化し、帝国主義戦争が必ずおこる、その混乱のなかで革命がすすむという、「第三次世界大戦待望論」というべき立場である。「前進」では、「帝国主義の世界戦争突入を国際的内乱に転化せよ…日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」(02年12月16日付)などといっている。
だからイラク戦争の経過をめぐっても、中核派は、「独仏などの強烈な反対はこの米帝の動きが…帝国主義的世界政策にとって大打撃となるがゆえの反対」と描き、「ワールドアクション」も同様に、「米・英・日と仏・独を中心とする二大陣営に分裂し、イラクの利権や支配権をめぐって真正面から激突」(10月22日付ビラ)と、帝国主義(さすがにこの用語は使っていないが)間の争いとしてしか描けないでいる。
ここには、世界の平和秩序を築く運動の前進のなかでかちとられた、「人類史の上でも画期をなす巨大な変化」(綱領改定案)は目に入らない。フランスやドイツ、ロシアが果たした役割も、アメリカの先制攻撃の正当化を許していない国連の役割も、目に入らない。したがって、どうすればアメリカの横暴を阻止できるのか、まともな展望を示すことはできない。
それどころか、「世界の帝国主義はとうとう第三次世界大戦に突入したのです…『国連憲章がある』『平和憲法がある』…とあさっての方を見て希望に胸をふくらませている」(有志ビラ)と、党攻撃の材料にさえしている。これも中核派の「米帝のイラク攻撃を国連の力で止めることができるかのような幻想」、「『歴史の歯車は平和の方向へと確実に前に向かって動いている』というのは完全なデマゴギー」(「前進」02年12月16日)という「論」の引き写しである。
3、対米従属を無視する日本帝国主義自立論
上記の立場からは必然的に、世界同時革命の一翼を担う社会主義革命をめざすのだから、日本は自立した帝国主義であるという「教条」が出てくる。イラクへの自衛隊派兵について、「前進」は「日帝自身が非抑圧民族虐殺戦争に乗り出そうというもの」(02年9月16日付)とのべているが、「ワールドアクション」もこの立場にたっている。
「イラクの主要な産業を日本の大企業のもとに従属させ、支配し、石油などのイラクの資源を強奪する」(10月22日付)、「日本も血を流す戦争をやって権益を確保し、拡大するために自衛隊を派兵しようとしている」(10月13日付ビラ)など、自立帝国主義論にたった主張である。また有事法制をめぐって、「朝鮮半島が、イラク・中東とならんで、アメリカ・日本・EUといった『大国』の利害対立とぶんどり合いの焦点…有事法制を制定し、北朝鮮への侵略戦争に国家の総力をあげて参戦」というまでになっている。
これは同時に、対米従属を押しつけるアメリカを免罪し、日本の現状認識を狂わせるものである。中核派は、「日帝のイラク侵略戦争について…日本政府の米帝への従属的態度とかいった問題としてとらえてはならない」(「前進」02年12月16日付)といっているが、広範な国民・青年が、「こんなにアメリカいいなりでいいのか」と考え出しているときに、「これは、単純に『アメリカ言いなり』ということではありません」(10月13日付ビラ)、「(共産党は)『小泉政権はアメリカの言いなり…』などといい、決して日本政府自らが北朝鮮を起点にアジアへの侵略をくり返そうとしていることを伝えようとしない」(有志ビラ)というなど、国民・青年のエネルギーの正しい発揮をそらす妨害者そのものである。
4、暴力革命唯一論とテロ容認
中核派は、世界同時革命の一翼を担う日本の社会主義革命は、「プロレタリア独裁」でなければならず、「プロレタリア独裁だから、平和移行はありえない」という、二重三重にゆがんだ立場である。「革共同とは」で、「プロレタリアートの武装蜂起によって帝国主義国家権力を暴力的に打倒」と公言している。こうして、暴力革命唯一論の立場から、自らもテロ・暴力事件を引き起こし、それに無反省であり、テロを容認・賛美している。
また必然的に、日本の民主的な改革への事業や選挙・議会闘争などは、彼らのいう「内乱、内戦――蜂起のすさまじいたたかい」(「前進」83年12月26日付)という革命路線への裏切りであり、大衆を眠り込ませるものであり、ここでも、それを指導している日本共産党は、打倒の対象となってくる。彼らが、口を開けば「決戦」「危機」をいうのも、彼らの暴力を「革命の発火点」にするという、主観的な願望にすぎない。
「ワールドアクション」も、慎重な言い回しながら、テロ事件にふれつつ「アメリカやイギリス、日本などに対して、イラクの人々の怒りが向けられるのは当然」(11月26日ビラ)、「私たちが本当に闘うべき相手は、『テロ』でもなく、『イラク』や『北朝鮮』でもない」(10月22日付ビラ)などと主張している。
また、「人類の歴史を動かしてきたのは、一握りの政治家でもなければ、議会でも選挙でもありません」(10月22日付ビラ)と主張し、「大虐殺」などの言葉で国民・青年を脅しつけ、「大行動」だけを一面的に強調している。ここには、「平和の流れの新しい特徴は、『政府、団体、個人の国際的共同』が現実のものになっている」(大会決議案)ことがみれない、急進主義の誤りがある。
三、もぐりこみ作戦を許さないために
1、中核派の「新戦術」
1960年代、ニセ左翼集団は青年学生運動のなかで一定の影響力をもち、社会党をはじめ、彼らを「同盟軍」とみる傾向があった。しかし、日本共産党と民青同盟の原則的なたたかいのなかで、「統一行動の発展を阻害する団体」として、国民的な運動への参加を許さなくなった。また、ニセ左翼集団内での分裂・抗争が激化し、内ゲバ事件を頻発させるなかで、まったく国民には足場を持たない勢力に凋落していった。
しかし、80年の「社公合意」以来、社会党・総評が右転落し、日本共産党との統一行動に背を向ける一方で、彼らを引き入れる流れが強まった。また、彼ら自身も、みずからの凋落傾向とゆきづまりのなかで、91年には「5月テーゼ」路線として、「革命的大衆行動の組織化と労働者細胞建設を機軸とした党活動への転換」と、大衆運動と組織建設を軸に生き延びようとしている。
その戦術は、@暴力隠し、Aセクト隠し、B要求実現ポーズ、C平和運動へのもぐり込みなどである。「ワールドアクション」は、まさにこの新戦術の柱となっており、三里塚闘争、国労闘争、狭山闘争など以上の高い位置付けが与えられている。
国民・青年のたたかいが高揚するとき、必ずそれへの介入・攪乱をはかるのが常套手段である。平和や民主主義への危機感が高まり、その打開の展望を模索しているとき、党と同盟がふさわしい役割を発揮しなければ、彼らの策動を許すことになる。
2、国民・青年のエネルギーにふさわしく
イラク派兵反対の世論は、7割前後になっているが、そうした人々が日常的に声を上げているわけではない。お互いに、「自分は反対だけど、みんなは賛成?、無関心?」とみてしまう傾向、そこからくる焦燥感もある。
それだけに、「みんなで大いに声をあげていこう」と激励し、幅広くたたかいを呼びかけることが、きわめて重要である。H病院で「ワールドアクション」のポスターをはった青年は、「なぜポスターをはがすのか? 反戦のために何かしたのか」と「反論」したが、そういわれないような、思い切って攻勢的なたたかいを提起することが重要である。
また、「有志」のよびかけでは、「民青や共産党の枠をこえた行動が必要」、「県委員会や中央委員会の指導がなくたって」などとのべ、「共産党の運動は狭い、言われたことしかやらない」といわんばかりである。
党の中央決定に立ち戻り、「たたかいの組織者」としての役割を自覚し、すべての国民・青年を対象にした、草の根からの運動を大きく広げる必要がある。
3、つけこまれるスキをつくらない
@彼らの政治的・理論的誤り、幼稚さは明白だが、その大もとには、平和の国際秩序をどうすれば作れるのかという、科学的な展望をもてない弱点がある。彼らの誤りを正確に暴露し、大衆的にたたかいの展望をしめしてこそ、中心メンバーとシンパ層を切り離すことができる。党と同盟が学習を深め、「理想にたいする理論的・政治的確信を全党のものに」(大会決議案)し、イデオロギー闘争を担える力を身につけなければならない。
A彼らの「反スタ」論は、官僚主義批判と渾然一体となっている。党員や同盟員のなかに、反上級機関的な気分、民医連でいえば反理事会的な気分があれば、そこにつけ込んでくることが少なくない。適切な批判とともに、そういう気分を党内、同盟内で率直に出し合い、解決できる作風も大切である。
B運動とたたかいには、粘り強い不屈性が必要だが、彼らの特徴として、性急に結果を求めることがある。様々な会議などで、結果だけを問題にするのでなく、小さな変化や成長、うまくすすまないときの悩みや疑問が気軽に出せて、みんなで考えていけるような、「理性と人間性」ある活動スタイルに努力するが求められる。
|