☆ ちょっといい話 ☆
2011.06.01
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松本順氏の心に響く言葉より…
晋の趙(簡主)王の近臣が
「陽虎(ようこ)という人間は、巧みに国政を私するといわれています。
そのような人物をどうして宰相に任じたのですか」
と諫言した。
すると、簡主は、
「陽虎は国政を私しようと隙をうかがい、予の方はそうさせまいと油断なくこれを監視する。
要は国政を奪われぬだけの力が予にありさえすれば、陽虎も私利を得ることはできぬ道理ではないか」
といった。
事実、簡主は明君たるにふさわしい術を駆使して、陽虎をうまく統御したので、陽虎はけっして悪いことをせず、誠意をもって主君に仕えたので、簡主の勢力はますますのびることができ、ついに天下の覇者の地位にまで登ることができたのである。
善人は、悪いことをせず、まじめであるから安心して使えるという長所はあるが、これに対してアクの強い人間は監視をすることを怠ると悪いこともやりかねないが、その反面優れた能力を発揮するという長所もある。
簡主は悪名高き陽虎の良い点を見抜いて、その良い点を大いに発揮させることができたからこそ大きな成果をあげることができたのである。
ということは簡主の人を測るモノサシのスケールがたいへん大きかったということを物語るものにほかならない。
ところが、人を測るモノサシの小さい人は、とかく小さな善人の良さだけしか見ることができず、せっかく有用な人間がいても、その良さを見抜き、これを発揮させることができない。
ものには必ず両面性があって良い点ばかり悪い点ばかりということはない。
すなおな人間はたいへん扱い易いという良い点があるが、あまりすなおでありすぎて他人からも影響されて考えがちょくちょく変わるということから、頼りにならないという欠点がある。
強情な人間は、強情だからなかなかこちらのいうことを聞こうとしないと欠点はあるが、いったんこちらのいうことを受け入れてやってくれるということになると、いったことを守り通すということでたいへん頼りがいがあるという良い点がある。
このように長所の反面が短所であったり、短所の反面が長所であるというふうに、ものには必ず両面があるから、そのどちらを見るかによって、人物の評価が大きく変わってくる。
見る人のスケールが大きいと、相手の長所を見ることができるようになるものである。
スケールが小さい人は、欠点を見てしまうものである。
『人を見抜く』PHP文庫
坂本龍馬は西郷隆盛を評して、
「彼の人は、まことに茫漠(ぼうばく)としてとらえどころがない。
小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る釣り鐘のようだ」
と言ったという。
人は、自分のモノサシでしか他人を評価できない。
何の経験も知識もない小学生が大人を評価できないのと同じだ。
人も同じだが、物事にはいい面もあれば悪い面もある。
しかし往々にして、我々は目立つ方を見てしまう。
目立つ方は、多くが欠点であり、それは少数派だからこそ目立つ。
他人を見るとき、欠点しか目に付かない人は、スケールの小さい人。
欠点もあるが、長所も同じように見える人はスケールの大きな人。
自らの人間の幅を広げ、少しでもスケールの大きな人になりたい。
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