福島第1原発:埼玉に避難の双葉町民 一時帰宅へ向け出発

2011年6月5日 18時49分 更新:6月5日 18時56分

一時帰宅のためバスに乗り込む双葉町民=加須市の旧騎西高校で2011年6月5日午後1時33分、藤沢美由紀撮影
一時帰宅のためバスに乗り込む双葉町民=加須市の旧騎西高校で2011年6月5日午後1時33分、藤沢美由紀撮影

 福島第1原発の事故のため埼玉県加須市の旧騎西高校などに集団避難している福島県双葉町の住民約30人が5日、一時帰宅の集合場所となっている同県猪苗代町に向けて出発した。双葉町民の2度目の一時帰宅は6日行われるが、埼玉県内からの参加は初めて。住民は期待と不安の入り交じった表情で大型バスに乗り込んだ。

 夫と共に一時帰宅する中村富美子さん(69)は、浸水は免れたものの窓ガラスが割れ、ドアも壊れた自宅の状況が気がかりという。「保険証も通帳も持ち帰りたいが、片付けだけで2時間たってしまいそう」と話す。

 1人で一時帰宅する大久保数馬さん(58)は「家族からのリクエストがいっぱい」とリストを作った。貴重品のほか、家族のアルバムや母の補聴器。「新聞を読むための老眼鏡や礼服など、いざという時必要な物も持ち帰れたら」と話した。

 さいたま市で暮らす岩川アキイさん(82)は一時帰宅に合わせ加須市で他の町民と合流。東京都内に住む長女からヒマワリの種を託された。10年前に亡くなった夫が愛し、長男が継いでいた田んぼに「もう稲作はできないだろうけど、せめて」とまくつもりという。先祖代々の位牌(いはい)は家族で話し合い「家を守ってくれるように」と置いてくることを決めた。同行する次男の大工、正さん(58)は「線香だけでもあげたい」と話した。

 加須市には現在、約1000人の双葉町民が生活している。【藤沢美由紀】

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