2011年6月4日 10時43分 更新:6月4日 11時43分
北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんについて、ジャーナリストの田原総一朗氏(77)がテレビ番組で「外務省も生きていないことは分かっている」と発言したことを巡り、有本さんの両親が慰謝料を求めた訴訟で、双方の本人尋問が3日、神戸地裁であった。田原氏は「外務省幹部に私が『北朝鮮は亡くなっている前提でしか交渉に応じない』と伝えると、幹部も『私もその線しかないと思う』と話した」と証言、「政府の姿勢を批判するための発言だった」と理解を求めた。
田原氏は発言の根拠として、外務省幹部4人に07年11月に取材した内容などを説明。幹部の回答を「意外だった」と振り返り、「(経緯などを)説明すればよかった。申し訳ない」と謝罪した。一方「(自分は)生きているか分からない」と話し、取材で外務省が死亡を確認したかどうかなどを詰めていないことを認めた。
田原氏の発言は09年4月で、両親は同年7月「虚偽の発言で著しく感情を害された」などとして1000万円の慰謝料を求めて提訴。訴訟で両親側は「虚偽発言であることを立証する証拠」として取材の録音テープの提出命令を出すよう地裁に申し立てた。地裁は昨年10月、提出を命じたが、田原氏側の即時抗告を受けた大阪高裁が地裁決定を取り消し、提出されていない。