天安門事件22年:ハチに刺された小鳥 じっとひざまずく

2011年6月4日 21時18分

 【北京・米村耕一】中国当局が民主化運動を武力で弾圧した1989年の天安門事件から4日で22年が過ぎた。天安門広場周辺では同日午前から警察車両が出動し、抗議活動を警戒した。当局は中東・北アフリカで相次ぐ民主化運動が飛び火しないよう人権活動家らの監視を強め、今年に入って法的手続きなしに拘束したのは100人以上。「天安門事件以来で最悪」といわれる締め付けを続ける。

 「スズメバチにさらわれ、激しく刺された小鳥は、解放されるためにひざまずくほかなかった」。今年2月中旬から約3カ月にわたって公安当局に拘束された上海市の女性弁護士は、自らを小鳥に、公安当局者をスズメバチにたとえた物語をブログに書き込んだ。5月下旬に解放された際には、それまでの出来事を口外しない▽他の仲間と社会の安定を乱さないなどを約束させられた。「心の中には大地震が起きたようだ」。ブログでこうつづった女性弁護士は、毎日新聞の電話取材に「今後も自分の身に何か起きるかもしれない」と不安げだった。

 民主化運動に加わった劉暁波(りゅうぎょうは)氏がノーベル平和賞を受賞した後、中国当局は民主化要求の封じ込めを強化。これに対する反発と、中東・北アフリカでの運動の余波を受け、国内で政治改革を求める集会の呼びかけがインターネット上で相次いだ。北京の外交関係者によると、これらの流れを警戒した中国政府は「社会を混乱させかねない動きは徹底的に封じ込める」よう指示した。

 著名な現代芸術家で、人権活動にも取り組んだ艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏の拘束も2カ月を超えた。親族の一人は毎日新聞の電話取材に「今は自分も(当局に)マークされており、何も話せない」と語った。

 専門家は、締め付けの背景に公安当局者の過剰反応もあると指摘する。中国共産党創建90年の記念日を7月1日に控え、安定維持に躍起になっているようだ。北京の人権派弁護士の浦志強氏は「言論抑圧は続くが、パソコンや携帯電話などの進歩で言論空間は広がっている。この流れは止められないだろう」との見方を示した。

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