汚染疑い消費者「怖い」 土販売自粛相次ぐ

2011年7月31日 14時35分このエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 放射性セシウムの汚染疑いのある腐葉土が県内でも流通していたことが分かり、にわかに懸念が広がった。30日現在、県内流通分からの検出はないが、家庭菜園など身近な生活の中で使われる園芸商品だけに、消費者や市民グループは不安をあらわにし、販売自粛に踏み切ったホームセンターも相次いだ。放射線の専門家は、原料産地の特定やメーカーによる検査公表など、行政も一体となった早期の安心・安全体制の確立を求めている。

■買い物客

 【糸満】糸満市のカインズホームFCサンプラザ糸満店では、当該商品と、培養土など一部の関連商品を店頭から撤去。「安全性が確認されるまでの間、販売を自粛します」とのお知らせを貼り出し、対応した。

 観葉植物を育てるのが趣味という主婦金城みどりさん=同市=は「腐葉土は触るし怖い。沖縄に放射能に関係したものが来るとは考えていなかった」と驚いた様子。「腐葉土はあちこちのホームセンターで買うが、国も業者もきちんと検査をしてほしい」と要望した。

 八重瀬町の農業の男性(75)は、プランターの土をホームセンターで買うことがあると言い「沖縄は原発事故とは無縁だと思っていたが、こういうことが起こると厄介だ。牛のようにすべてを検査をする方法はないのか」と注文をつけた。

■ホームセンター

 県内では商品撤去、販売自粛の動きが広がる中、国の安全基準が決まっていないため対応に苦慮する店舗もある。

 メイクマンは栃木県の製造・販売業者の商品について、東北や関東など17都県の商品について農林水産省が自粛を要請した25日から販売を停止。製造側の測定では放射性物質は微量しか検出されず安全と判断していたが、販売を見合わせた。17都県以外の原料を使った腐葉土のみを販売している。担当者は「消費者も産地をよくたずね、慎重に選んでいる」と話す。

 ホームセンターかねひでも30日に腐葉土を撤去。問屋への問い合わせでは、取り扱い品には17都県の腐葉土を使った商品はないという。だが「万一の可能性を考えて撤去した」。

 栃木を含む2社の腐葉土を扱っているホームセンターは、検出された放射線量が人体への影響がない毎時0・07マイクロシーベルトで「問題なし」などとする取引先の報告を受け、店頭での販売を継続中。別のホームセンターの担当者は「メーカーの検査結果を信用するしかない。危険ならすぐに撤去するが、国の基準も明確でない中、どんな対応がベストなのか分からない」と戸惑う。

 ほかにも、客の懸念から販売自粛を検討している業者もある。

県独自の検査求め
■市民団体

 福島第1原発事故による放射能の拡散を防ごうと、県内で被災地周辺からの避難者を含む市民が今月、「放射能防御プロジェクト沖縄支部」を立ち上げた。コーディネーターで北海道出身の吉田明彦さん(49)は、汚染が疑われる腐葉土の販売について「本土からの輸送に距離があり、コストが必要な沖縄では流通に時間がかかり、量も少ないと思っていたが、その認識が覆された」と驚きを隠せない。

 同支部は現在、放射性物質を含む恐れのある汚泥肥料の県内流通を止めるよう、仲井真弘多知事に求める署名活動を展開している。

 吉田さんは「今後は汚泥肥料だけでなく、農業や畜産業にかかわる全ての肥料と飼料について、原材料の産地の追跡調査が必要だ」と強調。「稲わらや牛肉、腐葉土など相次ぐ放射能汚染への対応で、農水省の認識の甘さと情報収集力の欠如は明らか。県は独自で検査体制を築き、汚染対策を講じるべきだ」と訴えた。

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