ソーシャルメディア進化論
【第3回】 2011年8月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
武田隆

【第3回】「2ちゃんねる」は永遠に不滅?!
価値観のソーシャルメディアは、“本音”が語れる場であることが重要

previous page
3
nextpage

実名を晒すことで失われる本音

 最近になってまた、「ソーシャルメディアには実名で参加するべきだ」という主張が目立つようになってきました。そのうちのほとんどは、ソーシャルメディアの経験が不足していることによる「人は実名じゃないと信用できない」という素朴なものです。それらの主張は、属性をとり払った際に現れる個性豊かな本心、個人に帰属しない真剣なオピニオンがあることを知りません。

 このほかにも一部の有名人による主張もあります。それは、自分が誹謗中傷や無責任な意見を受けた際、その発言者を特定し反撃や反論ができないことへの苛立ちから来るもので、「意見を述べるのであれば、実名でせよ。議論にならない」というものです。

 しかし最近になって、このどちらでもない主張も現れるようになりました。その主張は一見、匿名性を否定しているように聞こえますが実際はそうではなく、よく聞いてみるとその否定の対象は社会との断絶にあります。

 つまり、匿名性の“繭”の中にいては社会と無縁なままになってしまう。逆に、実名性を高めると本人到達度が上がる。実名で参加すれば社会との断絶はなくなるであろうという主張です。つまり、「実名は社会とつながる」というものです。

 匿名に隠れる弱さを糾弾する正義を身にまとったこの主張は、個人にとって強引で乱暴な提案になってしまっています。そもそも、個人が実名性を高めた状態でソーシャルメディアに参加することには大きな危険がともないます。

 たとえば、子供の写真やよく行く公園を紹介しただけでも、誰かが子供に名前を呼びかけて接触することはたやすくなります。今後、このような個人の情報開示にともなう事件が多発するだろうと思われます。そのようなリスクを負ってまで、なぜ情報発信をするのか? その動機が問われるようになります。

 実名性を擁護する主張には、個人が抱えるリスクのほかに、もうひとつの重大な問題が未解決なまま残ります。それは、有名人のように自分のまわりに大きなネットワークを持たない個人が情報発信を行っても、社会からの注目を集めることは難しいという現実です。そのままでは社会とつながるどころか、社会と断絶していることを再確認する場になってしまいます。

previous page
3
nextpage
上枠
下枠
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
ぶっちぎり理論38

ぶっちぎり理論38

後田良輔 著

定価(税込):1500円   発行年月:2011年7月

<内容紹介>
四流大卒・TOEIC235の怒られてばかりの現役広告代理店営業マンが、郷ひろみ理論、つむじ理論、大波小波理論など、見えない気配りを見える化!いまや業界平均の1000倍の売上と新規飛込成功率72.6%を誇り、社内外から「ぶっちぎってますね!」と言われる著者がはじめて明かす、3秒で人生を変える武器!

本を購入する
underline
ダイヤモンド社の電子書籍


健診結果が気になりだしたら…
【健診結果が気になりだしたら…】
働く世代のカラダの不調・悩みに、よく効く「読むクスリ」そろえました。
ゴルフ情報サイトOPEN
【ゴルフ情報サイトOPEN】
名門ゴルフ場でプレー 半蔵門ゴルフ倶楽部 名門の条件 東京ゴルフ倶楽部 他
「買い時!」ならば物件探しを
【「買い時!」ならば物件探しを】
新築・土地・中古の物件情報や、住まい探しのノウハウを公開中!

週刊ダイヤモンド

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約14冊分お得です。さらに3年購読なら最大45%OFF。

ハーバード・ビジネス・レビュー

詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。

ZAi

詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Keyword
Information

武田 隆(たけだ・たかし) [エイベック研究所 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

 


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

「ソーシャルメディア進化論」

⇒バックナンバー一覧