賃金コストの伸びが鈍化
2008年05月14日
オーストラリア連邦統計局が14日に発表した2008年第1・四半期の賃金コスト指数(所定労働時間の時給換算ベース、ボーナスを除く)は、伸び率が市場予想を下回ったことが、ロイター社によって14日に報道されました。賃金コスト指数の伸び率は前期比0.9％(予想は1.1％)で、伸び率は前年同期比では4.1％に鈍化したとのことです。
とはいえ、オーストラリアの高物価・高賃金は、事業を行う際の大きな障壁であることには変わりありません。バブルに沸くオーストラリアは多くのビジネスチャンスを生み出していますが、好景気であれば物価や賃金は上昇していくことは単純な理屈でもありますから、起業には試算を慎重に行う必要があるでしょう。
会社を買って起業する？
2008年05月07日
「海外で起業する」という場合に、日本で一般の会社勤めをしている人たちなら、一から会社を興すことを想像するのが普通でしょう。
ですが会社（または店舗など）オーナーは、転売を考えていることも多く、オーストラリアでは小さなカフェ〜中規模の企業（非上場企業）まで、仲介業者によって売買されることはごく頻繁に行われています。
オーストラリアでは、会社運営は株や不動産と同じく、単なる投資のひとつとして考えられることも多く、手持ちの資金で得られる利回りが多く、対してリスクが少ないと考えられるものが、その時々によって株であったりビジネスであったり、という感覚です。
例えば、カフェを始めるのに十分な資金（設備投資＆回転資金）があると考えられる場合、この人は以下の利益を得られることになります。
1. 利益（カフェの収入から生じる利益）
2. カフェ転売時の転売益
開店から3年間の間、年間5万ドルの利益が得られ、15万ドルで売却したとすると、合計収入は30万ドル(5万ドル×3年＋15万ドル )です。カフェが黒字になるまでに投下した資金が10万ドルだったとすれば、3年間で資金は3倍になったことになります（差し引き20万ドルの利益）。これが株や不動産など、他の投資に比べて有利かどうか、という判断なわけです。この辺の理論的な考え方や計算書式は、日本の書店で売っているビジネス本にも詳しく解説されていますので、参考にされたらいいでしょう。
好きな（やりたい）ビジネスを起業できればそれに越したことはありませんし、ゼロから起業した方が経営は見やすく、分かりやすいものです。他の人が行ってきたビジネスを継承する場合には、どんなリスク（負債・訴訟・悪評など）が潜んでいるか分からず、購入前に様々なリサーチをしても、全てを見通すことは困難です。
ただし、一からビジネスを興す場合には、帳票のひとつひとつを揃えることから、スタッフ・トレーニング、取引先や固定客を十分に得るまでには、何千という工程をクリアしていく必要があるのも事実ですから、売りに出ている既成のビジネスを購入する場合には、時間と苦労をお金で解決できます。
私自身、これまでの7年で3社を登記し、2社をM&Aで購入しました（自分の資金の場合と、別の投資家さんの資金の場合の両方）。一から興す場合と、既存ビジネスを購入する場合には、それぞれにメリットとデメリットがありますから、詳しく検討して決めていくことが大事です。
どんなビジネスが売りに出ているのかというのは、このようなサイトで調べることも可能です( http://www.realcommercial.com.au/cgi-bin/rsearch?a=bhp&t=bus&cu=fn-realcom )。
なお、既存のビジネスを購入する場合、以下の2つの方法が一般的です。
1. 登記してある会社ごと買う（株式の取得）
2. 営業権だけを購入
日本の投資家さんはどうしても会社ごと買う1.の方法を好む傾向があるように思いますが、オーストラリアでは2.の方が一般的です。A株式会社がBカフェとC洋服店を経営しているとして、そのBカフェだけやC洋服店だけを買う、またはその両方とも（B&C）購入するものの、A株式会社は買わない（株式は取得しない）という方法です。この場合には、会社に付随する財産や債権は得られませんが、負債も継承しませんので、隠れた負債の心配をする必要がありません。
いずれにしても、ビジネスの売買には弁護士に書類作成を依頼するのが一般的です。購入を決める前から、弁護士のアドバイスを求めた方が良いでしょう。
会社（ビジネス）の売値は様々ですが、利益の3年分くらいが相場といえるでしょう。ただし、メディアやブランドなど、看板の価値の創出に長い年月を必要とするものや、特別な特許や技術をもっている会社の場合には、数十倍（利益の数十年分）という値の付くものもあります。感覚的にはオークションのようなもので、常識的には税引き前利益の3年分の値段しか付かないビジネスであっても、売主が「10年分でないと売らない」と主張し、買主が「それでも買いたい」というのであれば、売買は成立します。
なお、上記2.の営業権だけを取得する場合には、購入時にオーストラリアの印紙税を支払う必要があり、1.の場合には印紙税は発生しません（ただし、この場合には、印紙税なみの弁護士費用が発生するのが一般的）。印紙税額は州ごとに規定されており、QLD州の場合（本日時点では）、10万ドルの営業権取得で2,350ドル、25万ドルで7,225ドル、50万ドルで15,975ドル、といった具合です。詳しくはこちらで勉強してみてください。（ http://www.business.gov.au/Business+Entry+Point/Business+Topics/Taxation/Taxes+explained/Stamp+duty.htm ）
在オーストラリアの対日本向けビジネスは、いままさに冬の時代といえるでしょう。日本からの観光客数は落ち込んできていますから、廃業する会社があれば、M&Aによって統合される会社もあります。景気が悪いときに会社を買収するのはリスキーだという考え方もありますが、見方を変えれば「現地企業を安く買い叩ける時期」だということもできます。ここのところ、不景気であるにも関わらず、日本の個人投資家さんによる現地企業の買収がチラホラとでてきているのは、そういった背景があるわけですね。
ですが問題は、買収後の運営にこそあります。買収した企業の体質を改善し、利潤を生み出していくアイデアがなければ、折角購入した会社は、赤字を生み出していくだけのお荷物にもなりかねないのです。「買って終わり」ではなく、「買ってからのオペレーションに、どれくらいの青写真を抱けるか」こそが大事なわけです。
起業家さんからの問い合わせ
2007年09月17日
ず〜っとさぼってます。すみません...
この数ヶ月、ビジネスのひとつを売却したりなど、なんだかだらだらと忙しくしていて、ブログはどうも後回しに...
ところがなぜか、どこかで見てくれている人はいるようで...オーストラリアでの起業を目的とした人からの問い合わせが入ったりしています。
ほんとうなら、起業関連のこともたくさん書きたいとは思っているのですが、追いつかない現状にストレスも...個人的に知った人たちからは、起業相談はよく受けていて、コンサルティングもしています。まあ、ほとんどのケースで報酬はお食事程度で済まされていますけど。
ということで、質問があればなんなりと。どんな業界のことでも、会社を興す作業は一緒ですから。
MBA取って起業って？
2007年02月23日
「MBAを取得して、起業したいんです！」という言葉をよく耳にします。
MBAは、“Master of Business Administration”の略で、日本で言えば経営学修士号にあたる学位です。MBAの目的はあらゆる分野において、男女を問わず企業のリーダー(マネージャー)を育てるためのプログラムであり、アカウンティング、マーケティング、エコノミクスの他、ビジネスリサーチの手法、統計学の基礎、ヒューマンリソース、行動理論、心理学などを学びます。MBAを取得したからといって、ある種の仕事が保証されているわけではありませんが、ビジネス系で最高峰の資格とされ企業のTOPクラスで働く多くの方が取得しています（アズフーのサイトwww.aswho.com−オーストラリアで学ぶ、MBAコースより）。
確かにMBAコースは、経営に関連した様々な知識を吸収できる機会となるでしょう。でも、とても乱暴な区切りでいえば、MBAはどちらかというと「企業の雇われマネージャーや社長を目指す」、または「既に起業している人が事業拡張に必要な知識を身に付ける」という目的に適っているといえるでしょう。
スモール・ビジネスを起業したいのなら、むしろ現場での知識を（実践を通して）習得することの方が近道です。MBAコースでは、「これをやったら儲かるよ！」と教えてくれるわけではありませんし、取引先や仕入先を紹介してくれるわけではなく、また企業での日々の業務を具体的にレクチャーしてくれるわけでもありません。学校に行って資格をとっても、その資格をどのように利用するのかを、正しく検討する必要があるでしょう。オートバイに乗るのに、車の免許は必要ないわけですから。
当社の求人です（2）！
2007年02月02日
留学事業の方で、シドニー支店オープンに伴って、求人を始めました。本来なら他の会社さんの求人をいの一番に紹介することを旨としたブログなのですが、折角ですからまたご紹介します。
シドニー支店開店につき、留学コンサルタント募集
ビザの種類、年齢、英語力は問いません。「これなら負けない」という一芸をもった人を募集しています。
オーストラリア（特にシドニー）では、上記のような内容の求人広告をネット媒体に掲載しています。ところが日本人応募者は皆、「自分を伸ばせる環境」や「やりがい」的なことを志望動機として挙げてきます。これはとても不思議なことで、当然皆さん不採用となります。会社としては、「会社の業績を伸ばせる人」を探しているわけで、「応募者のやりがいや応募者の成長」は、結果ついてくるだけです。書類での応募者の振り分けでは、その人の本当の目的は考慮しません。むしろ「自分が、なぜ募集企業を伸ばせるのか」を「具体的に挙げられる」インテリジェンスをみています。会社は社員を伸ばす慈善事業をしているわけではありません。この「会社からの視点」が理解できない人は、商談の際にも「相手企業からの視点」をもてるはずがなく、結果良い仕事ができないわけです。
「やりがい」的なことを書いた方が人事に好かれ、採用の確立が高いというのは、あくまで日本でのこと。日本では人事だけでなく、下手をすると社長まで「君のやる気とやりがいが大事だ」みたいなことをいいますが、これは、「こういった方が上手に社員をこき使える」という意識からの方便ですから、多くの場合本心ではないでしょう。
日本以外の国では、この変な嘘は通用しませんから、経済活動上当たり前の志望をストレートに書くようにした方がいいでしょう。
オーストラリアの大卒雇用枠が13.9%も拡大
2006年11月22日
11月22日付けの「ザ・オーストラリアン紙(インターネット版)」に掲載された記事によると、大卒の雇用数が昨年度対比で13.9%も拡大されたということです。これは最近全国的に実施された、雇用主に対して行われたアンケート調査によるもの。
初任給も6%上昇、平均年収は43,000ドルから45,700ドルとなり、最高初任給は投資銀行系企業の71,400ドルとなっています。
採用側企業によれば、博士号は4,800ドル、MBAは2,400ドル、ダブルディグリー、マスターまたはディプロマ、または関連した職務経験は最低2,400ドル、優等学位は1,000ドルの追加年収を生むと、同記事で紹介されています。
当社の求人です（1）！
2006年09月11日
新卒者用技術独立永住ビザ
2006年08月16日
技術独立永住ビザ（Subclass 136）は、日本での資格や職業経験を生かして申請する永住ビザですが、この“日本での職業経験”がなくても、オーストラリアで2年以上のフルタイム教育課程を修了すると申請することができるのが、新卒者用技術独立永住ビザです。以前にも書きましたが、先に永住権を取ってしまえば、オーストラリアでの就職活動の幅は、格段に広くなります。海外就職には、このように“先に永住ビザを取ってしまう”という選択もあるわけです。
新卒者用技術独立永住ビザ（Subclass 880）
新卒者用技術独立永住ビザ(サブクラス880)は、簡単にいえば、オーストラリアの労働市場で必要とされる人材、つまり若くて技能のある人々を対象に永住権を与えるものです。2002−2003年度には、総計11,490件もの新卒者用技術独立永住ビザ申請が、オーストラリア移民局に受理されています。
詳しいビザの情報は、このサイトに詳述されていますので、ここでの説明は割愛します。オーストラリアの学校に通うことが前提ですから、学校の情報に詳しい現地留学代理店のコンサルティングはMUSTというべきでしょう。
技術独立永住ビザ
2006年08月09日
永住ビザがあれば、会社のスポンサーで就労ビザを取ってもらう必要はありませんし、募集企業やポジションの幅も広がります。今回は、日本での資格や職業経験を生かしていきなり永住権を申請するパターンとして、技術独立永住（移住）ビザの申請を案内します。このカテゴリーでは日本での職業経験に大きな比重がかけられていますが、日本で実務経験がなくともオーストラリアの高等教育機関で2年以上の教育課程を修了した人が申請できる、新卒者用技術独立永住ビザというものもあります（これに関しては次回に案内します）。
技術独立永住ビザ（Subclass 136）
配偶者などの家族や雇用主のスポンサーがなく、個人として申請するための永住ビザです。学歴、資格や実務経験に優れ、オーストラリア移住後に就労を予定する人を対象としたカテゴリーです。オーストラリアでビザ申請の代行業を行っているNBCAという会社のサイトに、要件が細かく説明されています。
■申請条件
�＾焚�6項目の申請条件を満たすこと
- 「年齢」 18歳以上〜45歳未満である
- 「英語力」 IELTSテストで5点以上取得している
- 「資格」 高校卒業以降に取得した学位や資格を保持している
- 「職業」 申請職業が、オーストラリアの専門職業リストに載っている
- 「実務経験」 40点/50点の職業＝過去36ヶ月中24ヶ月以上の実務経験、 60点の職業＝過去18ヶ月中12ヶ月以上の実務経験
- 「技術査定」 申請職業に関する専門機関の技術査定結果の添付
�△修里Δ┐如�ポイント・テストで120点以上を獲得できること。
海外就職→再帰国＆就職
多くの人が海外で就職し、国境のボーダーレス化が当たり前になってきています。ビザの問題さえなければ、東京で就職するか大阪で就職するか、という程度の気軽さはむしろ普通な感覚であるように思えます。
ただ、就職や留学などで海外にいったん拠点を移した人も、その多く（ほとんど）は日本に再帰国し、再就職することになります。アメリカでプレーした新庄が日本に帰ったように、これは歓迎するべきことだと思います。日本以外の国で、日本では学べなかった知識や経験を仕入れ、その英知を持ち帰ってこそ、日本にも将来が開けるというものです。多くの日本の先人達がしたように、僕達もそれに続く必要があります（すみません、永住してしまっている人間がいうのもなんですね．．．）。
折角海外で培った経験は、速やかに日本の企業に落とし込まれる必要があります。ところが多くの日本の企業は「在外期間を就労期間のブランク」としてみています。再就職時には、日本の人事担当を説得できるだけの材料を用意していなければ、折角の経験が認められない、ということにもなりかねないのです（人事担当そのものが海外を知らないことが多いので）。管理人個人としては、海外での職歴、学歴や英語試験の結果よりも、目にみえない様々な経験こそが大事であると思っています。ですが、日本の社会に舞い戻る際には、日本の社会に合わせたキャリアを持ち帰ることは、自衛手段として必要なようです（残念ながら）。
管理人は留学関連のビジネスもしていますが、多くの学生さんたち（管理人の留学部門が扱う生徒数は年間700名程です）は、日本に帰って本意な仕事に就くまでに、半年〜1年程も要しているようです。
そこで、日本再帰国時の「再就職支援サービス」というものを始めています。オーストラリアに来る人は、来豪後なるべく早い時期に（来豪直でも）、登録してもらえたらと思います。日本では人材派遣＆人材紹介に関して、日本全国の提携先人材関連会社から、登録者に合った会社を紹介していますし、キャリア・アップの相談にも応じています。登録、コンサルティング、紹介も、すべて無料です。メールでの問い合わせも受け付けています（job@aswho.com）。
再帰国＆再就職のことはあまり心配せず、思い切って羽ばたいてほしいと思います。