政府および政権与党の民主党が統合医療政策の再スタートに向けて動き出している。もともとは民主党が政権交代時にマニフェストとして掲げていた医療費削減と患者の治療の選択肢拡大を目的とした政策であり、民主党の議連「統合医療を普及・促進する議員連盟」会長の鳩山由紀夫氏が首相当時、「統合医療の積極的な推進を検討する」と表明。厚生労働省内に「統合医療プロジェクトチーム(PT)」を発足していた。同PTは、西洋医療と効果的に組み合わせられる漢方、健康食品、鍼灸、ヨガ、ハーブ、カイロプラクティック、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、アロマテラピー、音楽などの各療法に対し、安全性と科学的根拠の検証を行なうとし、統合医療の導入に大きく動き出すものと、業界団体が大いに期待していたものの、昨年(2010年)4月の会合を最後に会合は行なわれておらず、足踏み状態となっていた。
しかし、昨年暮れあたりから統合医療政策に動きがみられた。内閣官房が昨年11月、厚生労働省に対して統合医療に関するエビデンスの集積を目的に、統合医療と保険診療の併用を認めるよう要請したほか、大学医学部の設置や既存医学部の定員増と、統合医療を担う専門的人材の体系的な育成を推進するよう文部科学省に求めた。一方、厚生労働省では、厚生労働省科学研究の結果を踏まえて、検討会を含む統合医療PTの再始動の準備を進めている。さらに民主党の議連「統合医療を普及・促進する議員連盟」でも今年(11年)5月、約2年ぶりに役員会を開き、鳩山由紀夫元首相を会長に再選。療法別の小委員会も改組されるなど、統合医療推進に向けた新たなスタートを切ろうとしている。
統合医療については混合診療の問題や、各療法の安全性を指摘する日本医師会などは導入に反対の姿勢にあるなど難題も多い。業界筋からは「一部に効果があるかも分からない疑似医療を施すところもあるため、一定の安全性と有効性のエビデンスの基準を作らなければいけない」としている。欧米やアジア各国でも統合医療の導入が進み、統合医療は国際的な潮流になっている。
また7月に行なわれた民主党の議連総会で、震災を受けた福島県相馬市長で内科医師でもある立谷秀清氏が、 「被災者へのマッサージ療法が被災者の身体と心に有効だった」と、統合医療の効果について述べていたという。再始動する統合医療政策の今後の取り組みが注目される。
【小山 仁】
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