週刊金曜日編集部
「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」の二回目の勉強会が七月七日、衆議院第一議員会館で開かれた。出席議員は鳩山由紀夫前首相、中山恭子元内閣府特命担当大臣、塩崎恭久元官房長官、高市早苗元内閣府特命担当大臣ら一〇人ほど。
会の冒頭、会長の平沼赳夫元経済産業相が「勉強会を始めたら全国から非難囂々のメールがきた。しかしどんなメールがこようとも、日本のエネルギーを考えた時に避けては通れない。地下原発の検討は必要だ」と挨拶した。
会場の空気が凍りついたのは、「原子炉等が想定外の破損事故を起こしても、原子力施設周辺住民に放射線による被害を及ぼさない地下式原子力発電所について」と題して講演した京都大学名誉教授の大西有三氏(地盤工学)が質問を受けた時のことだ。参加議員に国際社会で「核燃料サイクルはどう変わっているか」と問われた際、「核燃料サイクルと言いますと?」と聞き返したのだ。質問議員が慌てて「プルトニウムを取り出してもう一度使うシステム」だと逆に答えると、「私はちょっとあの……我々がやっているのは一番最後に再処理して残った、これ以上は使えない処理です」という珍問答となった。
逆風の中で地下原発の知見を集めようと呼ばれた”専門家”が国の原子力政策の機軸である「核燃料サイクル」を知らなかった。また、研究対象が地下原発ではなく、最終処理場であることが露呈した。さらに、「核燃料サイクル」について解説をくわえたのが(財)電力中央研究所の伊藤洋・研究顧問だったことで、電力業界の存在も色濃い会であることがわかった。議連は、わが国が地下原発に関する知見を有することを盛り込んだ提言を国際原子力機関(IAEA)に送るというが、虚偽に等しく恥の上塗りにはならないか。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、7月15日号)
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