基地外の一日の話
2011-05-14
今日は一日色々あって疲れました。と、いうのもですね、朝早くに起きてメンタルクリニックへ行ったんですよ、一駅離れた。ガタンゴトンってね、揺られるわけで。予約の時間より早く着ちゃったんですが、待ち時間も少なくて済みましたよ。「パソコンの右下から監視されてるような気がして」って言うと、「アイコンとか文字がぐらぐら泳いだりしない?」って言われて、「ああ! ありますよそういうの!」って答えて、ふふふん、鼻歌、「気分が落ち込んだ時に頓服みたいな形で飲むようなものありゃしませんかね」って言ったらレキソタン2mgが増えまして、今それを飲んだんですが、おおっとなんだかテンションがあがってきたぞ! ジプレキサザイディス10mgとロヒプノール1mgとマイスリー10mgとレキソタン2mgを飲んだ。ごくりと。
そいでもっての、そいでもって、ネットの友人であり歩いて数歩のところに住んでいるH雇い氏とぴーひゃらぴーひゃらしてたら、同じくネットの友人のA雪(正確にはAではないのだが僕はそう呼んでいるので便衣上ここでもそう呼ばせていただく)がこっちに来るってもんで、僕は初対面だから500mlのチューハイを呑みながら「よう!」まあとりあえず部屋に上がりゃんせ、一発わかばをキメた後、(自主規制)カラオケに行くことになりまして、二時間コースの980円!
僕はラップしかほとんど歌やしまへんで。
で今帰宅してこうして文章を書いてるわけです。これも小説『自殺志願者』の内容になるんで本当は書きたくなかったんだが、日記と小説の区別が付かないので、まあ別にいいかあと思ったわけですわ。
特別に坊ちゃん文学賞に出す小説の冒頭だけ晒してあげましょう。
文明の発達にはありがとうと言いたい。誰に対して言えばいいのかわからないので、とりあえずありがとうと言っておく。
エアコンからは涼しげな風が流れ、部屋の温度を一定に保ってくれる。それだけでは足りないので扇風機もセット。その快適な部屋でアイスをかじりながら、冷蔵庫で冷やしておいたアイスコーヒーを飲む。場合によっては父親のビールを拝借してもいいだろう。外へ出れば遠慮を知らない太陽の照り付けが、甘え切った体を苛め抜く。風なんか吹いちゃいない。だから僕は夏が嫌いだ。海へ行ったってプールへ行ったって、水に入っていれば涼しいけれど、一歩外へ出れば暑いだけだ。あっ、その前に一緒に行く人がいない。
そこまで暑さを感じない春頃は、原付にまたがって色んな所へ行ったりもしたんだけれど、夏に入るとさすがにそんな気力も無くなってしまい、暑い日々が過ぎるのを涼しい部屋でごろごろとしながら待っていた。
高校の夏休みが始まって一週間経ったある日のこと。僕はやはり快適な部屋で、氷が浮かぶアイスコーヒー片手にインターネットにいそしんでいた。いつもなら静かなのだが、今日は弟の誠が友人を連れてきているようで、一階から騒ぐ声が聞こえてくる。その音の中に、階段を昇ってくる音が入ったのを感じ、僕は慌ててパソコンのモニタの電源を落とした。母親だろう。「勉強しろ」と言われる前に、「志望大学に絶対受かる!」と表紙に書かれた参考書を手に取った。そのうたい文句が本当かどうかは、読んでいないのでわからない。
母親がノックもせず扉を開けた時には、既に僕は参考書を睨みながらノートを取る、受験生へと変貌していた。
「ちょっといい?」
「どうしたの?」
今はそれどころじゃないと言った風に、参考書から顔を離さずに返事をする。母親は机に新しいアイスコーヒーを置きながら、「勉強中のところ悪いんだけど」と言った。
「どうしたの?」
同じ言葉で答える。
「進学するつもりなの?」
「ま、一応ね」
「そう。勉強の合間に、取っておきなさいって、お父さんが」
新しいアイスコーヒーを一口飲んだ。やっぱりブラックが一番だな。
「何を?」
「車の免許よ」
何だそんなことか。「残念ながら進学せずに働いてもらうことになったから」みたいなことを言われるのかと、内心びくついていた。
僕が住む田舎の街では、親から教習へ行けと言われるのは当たり前のことだった。公共機関が使いにくく、車を持っていないとどこへも行けない山に囲まれた田舎。大抵のクラスメイトも、暇な夏休みの時期に免許を取りに行くようだった。しかし僕は、卒業すれば都会に出る予定だし、そこには公共機関が十分なほどに行き届いている。自転車か原付があれば十分過ぎるだろう。駐車場もいらないし燃費も良い。
けど、ちょっと待てよ。「原付があるからいいよ」という言葉が出そうになるのを慌てて飲み込み、もう一度アイスコーヒーを口に運んだ。母親はいつの間にか座布団を敷いて床に座っている。
大学へ行ってから取るのもいいけれど、別に今持っていて邪魔というものではない。それに車はエアコンという画期的で素晴らしい文明が備え付けられているではないか! それに屋根もある。わずらわしい季節を直に感じることも無いし、変わりやすい天候にうんざりすることもない。
「でも車買うようなお金無いしね」
心の中では、ここにいる間両親の車を借りようと考えていたが、一応そう言っておく。
「私のか父さんの車使えばいいじゃない」
僕はしめたとばかりの満面の笑みで頷いた。
そいでもっての、そいでもって、ネットの友人であり歩いて数歩のところに住んでいるH雇い氏とぴーひゃらぴーひゃらしてたら、同じくネットの友人のA雪(正確にはAではないのだが僕はそう呼んでいるので便衣上ここでもそう呼ばせていただく)がこっちに来るってもんで、僕は初対面だから500mlのチューハイを呑みながら「よう!」まあとりあえず部屋に上がりゃんせ、一発わかばをキメた後、(自主規制)カラオケに行くことになりまして、二時間コースの980円!
僕はラップしかほとんど歌やしまへんで。
で今帰宅してこうして文章を書いてるわけです。これも小説『自殺志願者』の内容になるんで本当は書きたくなかったんだが、日記と小説の区別が付かないので、まあ別にいいかあと思ったわけですわ。
特別に坊ちゃん文学賞に出す小説の冒頭だけ晒してあげましょう。
文明の発達にはありがとうと言いたい。誰に対して言えばいいのかわからないので、とりあえずありがとうと言っておく。
エアコンからは涼しげな風が流れ、部屋の温度を一定に保ってくれる。それだけでは足りないので扇風機もセット。その快適な部屋でアイスをかじりながら、冷蔵庫で冷やしておいたアイスコーヒーを飲む。場合によっては父親のビールを拝借してもいいだろう。外へ出れば遠慮を知らない太陽の照り付けが、甘え切った体を苛め抜く。風なんか吹いちゃいない。だから僕は夏が嫌いだ。海へ行ったってプールへ行ったって、水に入っていれば涼しいけれど、一歩外へ出れば暑いだけだ。あっ、その前に一緒に行く人がいない。
そこまで暑さを感じない春頃は、原付にまたがって色んな所へ行ったりもしたんだけれど、夏に入るとさすがにそんな気力も無くなってしまい、暑い日々が過ぎるのを涼しい部屋でごろごろとしながら待っていた。
高校の夏休みが始まって一週間経ったある日のこと。僕はやはり快適な部屋で、氷が浮かぶアイスコーヒー片手にインターネットにいそしんでいた。いつもなら静かなのだが、今日は弟の誠が友人を連れてきているようで、一階から騒ぐ声が聞こえてくる。その音の中に、階段を昇ってくる音が入ったのを感じ、僕は慌ててパソコンのモニタの電源を落とした。母親だろう。「勉強しろ」と言われる前に、「志望大学に絶対受かる!」と表紙に書かれた参考書を手に取った。そのうたい文句が本当かどうかは、読んでいないのでわからない。
母親がノックもせず扉を開けた時には、既に僕は参考書を睨みながらノートを取る、受験生へと変貌していた。
「ちょっといい?」
「どうしたの?」
今はそれどころじゃないと言った風に、参考書から顔を離さずに返事をする。母親は机に新しいアイスコーヒーを置きながら、「勉強中のところ悪いんだけど」と言った。
「どうしたの?」
同じ言葉で答える。
「進学するつもりなの?」
「ま、一応ね」
「そう。勉強の合間に、取っておきなさいって、お父さんが」
新しいアイスコーヒーを一口飲んだ。やっぱりブラックが一番だな。
「何を?」
「車の免許よ」
何だそんなことか。「残念ながら進学せずに働いてもらうことになったから」みたいなことを言われるのかと、内心びくついていた。
僕が住む田舎の街では、親から教習へ行けと言われるのは当たり前のことだった。公共機関が使いにくく、車を持っていないとどこへも行けない山に囲まれた田舎。大抵のクラスメイトも、暇な夏休みの時期に免許を取りに行くようだった。しかし僕は、卒業すれば都会に出る予定だし、そこには公共機関が十分なほどに行き届いている。自転車か原付があれば十分過ぎるだろう。駐車場もいらないし燃費も良い。
けど、ちょっと待てよ。「原付があるからいいよ」という言葉が出そうになるのを慌てて飲み込み、もう一度アイスコーヒーを口に運んだ。母親はいつの間にか座布団を敷いて床に座っている。
大学へ行ってから取るのもいいけれど、別に今持っていて邪魔というものではない。それに車はエアコンという画期的で素晴らしい文明が備え付けられているではないか! それに屋根もある。わずらわしい季節を直に感じることも無いし、変わりやすい天候にうんざりすることもない。
「でも車買うようなお金無いしね」
心の中では、ここにいる間両親の車を借りようと考えていたが、一応そう言っておく。
「私のか父さんの車使えばいいじゃない」
僕はしめたとばかりの満面の笑みで頷いた。
自殺の話
2011-05-12
いやぁね、ちょっと聞いてくださいよ。僕はね、自殺志願者なんです。急ですみません。ええ、いきなりこんなことを言うのもおかしいですよね。それは自分でもわかってるつもりなんです。僕の背中にはね、日中常に死神がぴったりとくっついてるんですよ。そんなあからさまな目で僕を見ないでください。わかってるんです、わかってるんです、自分でも自分自身がおかしいってことが。でもね、これが事実なんですよ。その事実をわかってください。わかってくれない人はたくさんいました。一番身近でいえば僕の家族でしょうか。僕の家族はそのことをぜんぜん理解しちゃくれませんでした。挙句言ってはいけないような言葉まで僕に浴びせて、いやぁ、あれは辟易としました。殺意さえわいたかもしれません。でも、別にそんな過去のことはどうでもいいんです。過去のことをぐちぐち言うのは女々しいですからね。おっと、女々しいといっても別に女性差別をしているつもりはありません。それ以外に適切な言葉が見つからなくて、ええ、はい、確かに僕ばかりがしゃべっていますが、もうすぐ終わるのでちょっとだけ僕に時間をください。僕にしゃべる時間をください。ええ、はい、もう帰らないといけない、はい、わかってます。でも僕に五分だけ時間をください。今僕は死ぬか生きるかの瀬戸際にいるんです。ごめんなさい、脅しではありません。そう捉えられたというなら謝ります。駄目なんです、もう、ここ最近、ずっと死にたいんです。死ぬということはイコール救いなんです、僕の中では。生きるということは苦痛でしかありませんからね。そんな苦痛を味わいながら(おもむろにポケットから煙草を取り出してそれに火を付けた)生きていて何が楽しいというんです? 僕には(煙を吐き出した)わかりませんよ。だったらさっさと死ねと? ええ、まあそうなんですよね、それが正論ですよ。でも(煙を吸い込んで、吐き出す)僕にはできない。なぜだろうか、と考えると、やはり怖いんですよね、死というものが。後はやはり(煙を吸い込んで、吐き出す)悲しむ人がいるからでしょうか。僕みたいな人間であっても、悲しむ人はそれなりにいるんですよ。数えたりなんざしませんが(煙を吸い込んで、吐き出す)たぶんまあ少なく見積もっても十人はいるでしょう。友人や家族、親戚、たぶんもう少しいるでしょうが、一応少なく見積もった数を言っておきます。あなたも悲しみますか。これを読んでいるあなたも悲しみますか。悲しみませんか。どっちですか、僕がたとえば今これを書き終えてから(吸い終えた煙草をもみ消す)首を吊ったとして、悲しみますか。僕は僕自身が死んだとして悲しむのだろうか。自分の死というものに悲しみの感情を抱くのでしょうか。ねえ、教えてくださいよ、ねえ
男の手記はここで終わっている。男が死んだのかどうかは私にはわからない。が、私だけが持っていても仕方がないと感じたため、ここにこうして公開することに決めた。それが私のこの男に対する唯一できることだと思ったからだ。もしもこの男のように自殺願望があるならば、これを読んでどうかそれを思いとどまっていただきたい。
私は別に自殺志願者を増やそうと思ってこの手記を公開したわけではない、と、一応述べておく。
男の手記はここで終わっている。男が死んだのかどうかは私にはわからない。が、私だけが持っていても仕方がないと感じたため、ここにこうして公開することに決めた。それが私のこの男に対する唯一できることだと思ったからだ。もしもこの男のように自殺願望があるならば、これを読んでどうかそれを思いとどまっていただきたい。
私は別に自殺志願者を増やそうと思ってこの手記を公開したわけではない、と、一応述べておく。
山口ひかりの話
2011-05-11
僕は高校生の頃にHaloしたさにXboxを購入し、そして当然のようにXbox360を購入したのだが、Xbox360をインターネットに接続していると、ゲームプレイ動画や紹介などをする番組、インサイドXboxというのを無料で鑑賞することができる。そこに出ていたのが山口ひかりだった。あまりの可愛さに倒れそうになって、コントローラは汗ばんだ手のひらによってぐずぐずに濡れていた。アイドルとは思えない過激なトーク、そしてそれにギャップを感じるような可愛いフェイス。僕は完全に虜になってしまった。そこに同じように出演しているファミ通Xboxの編集者ローリング内沢に嫉妬さえ覚えたものだ。日中ひかりちゃん(と呼ばせていただく)のことを考えて、身悶えて、ころころ変わる髪の色に禿げの心配をして、ああ、もう、ひかりちゃん! 僕と付き合ってくれないか!
ゲームをせずにインサイドXboxのバックナンバーを見続けていた日もあった。
しかしそんな楽しい日々も終わってしまった。ひかりちゃんとローリング内沢のインサイドXboxが遂に終了を迎えた。しかし最終回にも関わらず、なぜかひかりちゃんの出演が無い。そういえば、と記憶を手繰らせる。ここ数回ずっと出ていなかったではないか! どうなっているんだインサイドXbox! 早速グーグルで検索をしてみる。な、なんと、我らがひかりちゃんは、事故によってリハビリ中だということがわかった。ああ、麗しのひかりちゃん。まさかそんな大変な目にあっていたとは! しかしインサイドXboxでその姿を見れずとも、他の媒体で見ることはできるだろうと、安易な気持ちで日常を過ごしていた。
そんなある日――というよりも今日――一番最悪なニュースが飛び込んできた。な、な、な、なんと! あのひかりちゃんが、芸能界を引退するというニュースを小耳に挟んだ。まさか、まさか、まさかそんな、あるわけが、くそう、どういうことだ! 早速僕はグーグルでブログを検索し、最新記事を読んだ。悪夢が現実のものとなった――
山口ひかり、芸能界引退。
僕は生きる意味を失ったような気がして、ああ、人生とはこんなにも辛く悲しく厳しいものなのか。それをやわらげてくれる一種の清涼剤だったひかりちゃんが、まさかの芸能界引退だとは……頭がくらくらとして、僕は助けを求めるかのように煙草を手に取った。もしこれが単なる悪夢ならば、時期的には一ヶ月遅れのエイプリルフールであれば、どれだけ良かっただろうか。悲しくて、やるせない。
(なんていうことだ! こんなことが現実に起きていいのか! おい! なあ! 神様よぉ、いるんだったら返事しやがれ! こんな、こんな酷いことが起きて……それでもまだじっとしているだけなのか!)
ゲームをせずにインサイドXboxのバックナンバーを見続けていた日もあった。
しかしそんな楽しい日々も終わってしまった。ひかりちゃんとローリング内沢のインサイドXboxが遂に終了を迎えた。しかし最終回にも関わらず、なぜかひかりちゃんの出演が無い。そういえば、と記憶を手繰らせる。ここ数回ずっと出ていなかったではないか! どうなっているんだインサイドXbox! 早速グーグルで検索をしてみる。な、なんと、我らがひかりちゃんは、事故によってリハビリ中だということがわかった。ああ、麗しのひかりちゃん。まさかそんな大変な目にあっていたとは! しかしインサイドXboxでその姿を見れずとも、他の媒体で見ることはできるだろうと、安易な気持ちで日常を過ごしていた。
そんなある日――というよりも今日――一番最悪なニュースが飛び込んできた。な、な、な、なんと! あのひかりちゃんが、芸能界を引退するというニュースを小耳に挟んだ。まさか、まさか、まさかそんな、あるわけが、くそう、どういうことだ! 早速僕はグーグルでブログを検索し、最新記事を読んだ。悪夢が現実のものとなった――
山口ひかり、芸能界引退。
僕は生きる意味を失ったような気がして、ああ、人生とはこんなにも辛く悲しく厳しいものなのか。それをやわらげてくれる一種の清涼剤だったひかりちゃんが、まさかの芸能界引退だとは……頭がくらくらとして、僕は助けを求めるかのように煙草を手に取った。もしこれが単なる悪夢ならば、時期的には一ヶ月遅れのエイプリルフールであれば、どれだけ良かっただろうか。悲しくて、やるせない。
(なんていうことだ! こんなことが現実に起きていいのか! おい! なあ! 神様よぉ、いるんだったら返事しやがれ! こんな、こんな酷いことが起きて……それでもまだじっとしているだけなのか!)
飴を舐める話
2011-05-10
僕はなんとはなしに大家さんから以前いただいた黒糖のど飴はちみつ入りを手に取り、気分ではなかったが、封を開けて口の中へ放り込んだ。すぐに薄荷の味が口の中に広がり、その後に続いて黒糖の味がやってきた。喉の奥に薄荷の風味が入り込み、舌で弄ぶと歯に当たってカチカチと音を立てた。あまりに動かしていたせいで唾液が大量に出、それが喉に入り、思わず何度も咽てしまった。少しの空腹感はあれど、食べるものはスパゲティ以外に何も無い。そう、空腹感を紛らわすために飴を舐めたといってもいいだろう。甘さと薄荷が相反しながら口の中に広がる。僕はこの一部始終を記録することに決めた。また唾液が喉の奥に入り込み、咽てしまった。何度も舐めていると、徐々に飴が小さくなっていくのがわかる。
さっきまで窓を閉めているにも関わらず道路工事の音が聞こえていたのに、夕方の六時を過ぎるとそれも消え、キーボードを叩く音しか聞こえない。飴を舐めたまま、コップに残っていたブラック珈琲を飲んだ。安物の粉だからか、とてもまずい。甘い飴とも合わないようで、僕は飲んだことを後悔した。
ふと開けたままにしておいた窓の外を見ると、もう日が暮れていて、外は真っ暗になっていた。またパソコンに目を移し、キーボードを叩く。飴を少しかんでみた。音を立てて飴が二つに分かれた。僕は幼少時から飴を最後まで舐めることができなかった。我慢が出来ないのだ。つい噛んで粉々にしてしまう。今日もそれに習うかのように、遂に噛んで粉々にしてしまった。飴は口の中から消えたものの、薄荷と黒糖の甘みは消えることは無い。咽たせいで少し喘息の発作が出てしまっていた。我ながら情けないと思う。
煙草が吸いたくなったので、一度口の中の味をリセットするため、まずい珈琲の粉をコップに入れ、ぬるくなってしまった湯を注ぎ込んだ。それを一口飲んだ。やはりまずい。その上にぬるい。しかし黒糖の甘みは消えた。後は薄荷の味だけだ。しかし何口飲んでも薄荷の味は消えない。仕方が無いので諦め、昨日買ったセブンスターを取り出し、それを銜えて火をつけた。数時間ぶりの煙草だった。煙を大きく吸い込み、思い切り吐き出す。煙はパソコンの画面のぶち当たり、分かれるようにして上へと昇っていった。四口ほど吸い込んで、先に溜まった灰を灰皿へと落とす。そしてまた煙を吸い込んだ。吸い込んだ衝撃で灰が一欠けら、敷いたままにしておいた布団の上に落ちた。痰が絡み、僕は一度だけ咳きをした。僕は何かを飲みながらではないと煙草が吸えない性質なので、まずい珈琲を口に入れた。やはりまずい。何度飲んでもまずい。どうすればこの珈琲は美味くなるのだろうか。銜え煙草をしながらキーボードを叩き、この珈琲を美味くする方法を考えた。しかし何度考えても堪えは出ない。これを珈琲として売り出した店が悪いのではないだろうか。やはり一瓶で百円の珈琲は信用してはいけないのだろう。キーボードを叩くのに夢中になってしまい、煙草を吸うのを忘れていた。大きく吸い込んで吐き出す。短くなると同時に、微かな熱を唇に感じた。もうこれ以上吸えなくなったので、ガラス製の灰皿でそれをもみ消した。何もすることは無いし何も考えることも無い。
今日は何も無かった。そして明日も何も無い。面接を受けたが、電話が無かったため、不採用ということだろう。仕方が無い。また明日、別の仕事の面接を受ける。と、ここで思い出した。そうだ、明日は面接があった。それ以外には何も無い。そして金も無い。ここ一週間何も無かった。これからも何も無いだろう。土曜日に病院へ行った。薬の量が増えた。それ以外には何も無い。そしてこれからも何も無いだろう。
さっきまで窓を閉めているにも関わらず道路工事の音が聞こえていたのに、夕方の六時を過ぎるとそれも消え、キーボードを叩く音しか聞こえない。飴を舐めたまま、コップに残っていたブラック珈琲を飲んだ。安物の粉だからか、とてもまずい。甘い飴とも合わないようで、僕は飲んだことを後悔した。
ふと開けたままにしておいた窓の外を見ると、もう日が暮れていて、外は真っ暗になっていた。またパソコンに目を移し、キーボードを叩く。飴を少しかんでみた。音を立てて飴が二つに分かれた。僕は幼少時から飴を最後まで舐めることができなかった。我慢が出来ないのだ。つい噛んで粉々にしてしまう。今日もそれに習うかのように、遂に噛んで粉々にしてしまった。飴は口の中から消えたものの、薄荷と黒糖の甘みは消えることは無い。咽たせいで少し喘息の発作が出てしまっていた。我ながら情けないと思う。
煙草が吸いたくなったので、一度口の中の味をリセットするため、まずい珈琲の粉をコップに入れ、ぬるくなってしまった湯を注ぎ込んだ。それを一口飲んだ。やはりまずい。その上にぬるい。しかし黒糖の甘みは消えた。後は薄荷の味だけだ。しかし何口飲んでも薄荷の味は消えない。仕方が無いので諦め、昨日買ったセブンスターを取り出し、それを銜えて火をつけた。数時間ぶりの煙草だった。煙を大きく吸い込み、思い切り吐き出す。煙はパソコンの画面のぶち当たり、分かれるようにして上へと昇っていった。四口ほど吸い込んで、先に溜まった灰を灰皿へと落とす。そしてまた煙を吸い込んだ。吸い込んだ衝撃で灰が一欠けら、敷いたままにしておいた布団の上に落ちた。痰が絡み、僕は一度だけ咳きをした。僕は何かを飲みながらではないと煙草が吸えない性質なので、まずい珈琲を口に入れた。やはりまずい。何度飲んでもまずい。どうすればこの珈琲は美味くなるのだろうか。銜え煙草をしながらキーボードを叩き、この珈琲を美味くする方法を考えた。しかし何度考えても堪えは出ない。これを珈琲として売り出した店が悪いのではないだろうか。やはり一瓶で百円の珈琲は信用してはいけないのだろう。キーボードを叩くのに夢中になってしまい、煙草を吸うのを忘れていた。大きく吸い込んで吐き出す。短くなると同時に、微かな熱を唇に感じた。もうこれ以上吸えなくなったので、ガラス製の灰皿でそれをもみ消した。何もすることは無いし何も考えることも無い。
今日は何も無かった。そして明日も何も無い。面接を受けたが、電話が無かったため、不採用ということだろう。仕方が無い。また明日、別の仕事の面接を受ける。と、ここで思い出した。そうだ、明日は面接があった。それ以外には何も無い。そして金も無い。ここ一週間何も無かった。これからも何も無いだろう。土曜日に病院へ行った。薬の量が増えた。それ以外には何も無い。そしてこれからも何も無いだろう。
生まれて初めて芸能人を見た話
2011-05-09