アシアナ貨物機墜落:3分前に「どうにもならない」と交信(下)

 これまで有力な事故原因としては、やはり貨物室での火災が挙げられている。貨物には、リチウムイオン電池40.6キロ、塗料0.23リットル、アミノ酸溶液5リットルなど、いわゆる「注意貨物」が含まれていた。このうち、リチウムイオン電池が発火した可能性が指摘されている。問題のリチウムイオン電池は、関西空港から日本の航空機で仁川空港に到着し、上海に向かうアシアナ航空の貨物機に積み替えられた。

 アシアナ航空は「日本から空輸された貨物を、外観検査を行った上で事故機に積み替えた」と説明。国土海洋部は「規定上、包装を開封せずに外観確認だけを行うのは問題ない」としている。リチウムイオン電池が火災の原因と判明すれば、貨物を発送した日本側にも一定の責任が生じる可能性がある。

 これについて、電池の専門家は「これまで航空機で起きた火災事故の大半はリチウム電池(リチウムが電池内部に固体状態で使われている電池)が原因で起きたものだが、今回墜落したアシアナ機に積まれていたリチウムイオン電池(リチウム電解液が使われた電池)は、リチウム電池とは異なり、自然発火する可能性が極めて低い」と述べた。外部から大きな圧力が加わるか、直接火を付けない限り、発火する可能性はかなり低いとの指摘だ。

 また、事故機が空中爆発を起こしたのか、あるいは海に墜落したのかについても、まだ明らかになっていない。墜落したアシアナ機は仁川空港から上海空港まで2時間の飛行を予定していたが、離陸後1時間で事故を起こしたため、燃料が相当量残っていたとみられる。専門家は「火災が原因だとすれば、空中爆発した可能性がある」との見方を示している。

 行方不明者の捜索と機体の残がいを収集する作業を行っている海洋警察庁の関係者は「事故機の残がいが最初に発見された場所は、不明者の行方が分からなくなった地点から東にやや離れたところだ。機体の残がいはあちこちに分散している」と語った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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