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西日本の電力不足は真っ赤な嘘だった - 国家戦略室の資料を読む
7/29の官邸会見のタイミングに保安院のやらせの報道を同期させたのは、菅直人の巻き返しかと直感したが、どうやらその見方は楽観論のバイアスの勇み足だったようだ。週末のテレビ報道を確認すると、海江田万里が保安院の分離独立を朗々と言い上げる場面があり、この動きが官僚主導のものだという真実が一目で分かる。今度の「保安院の独立」は、経産官僚の手による焼け太りの工作の一環であり、来年度予算の概算要求の政治でもそれを固めたという意味だろう。おそらく、内閣府から原子力委と原子力安全委を抜き出し、保安院と一体にして、巨大な原子力官庁を創設する魂胆だ。仙谷由人が官僚と画策する「原発の国有化」が具体化して、被害賠償や安全対策を国が全て請け負い、電力会社の経営の負担から切り離す思惑だろう。事件や事故を起こし、国民に損害と苦痛を与える度に、官僚はこうして焼け太りする。実際に、菅直人と民主党の原発政策の姿勢は後退に後退を続けていて、7/13には「脱原発依存」だったものが、7/29には「減原発」にまで押し返された。7/13の時点では、10年後に脱原発だったが、7/29の国家戦略室の
発表
では、40年後の2050年が「ベストミックス」の目途となり、脱原発の中身は完全に姿を消した。その間に、前原誠司が20年かけて脱原発だと言い、馬淵澄男が50年先の課題を論じても意味がないと言い、政権の中で脱原発の芽を潰す反動のプロセスが進行した。
「
減原発
」、すなわち40年後のベストミックスを言っている玄葉光一郎は、原発維持派を自認し、再稼働に意欲的な姿勢を表明し、週末の報道で財界に秋波を送ったが、「
中間整理
」と同時に発表した「当面のエネルギー需給安定策」の
試算
は、来年春の全基停止と来年夏の原発なしのピーク時対応を想定した内容になっている。政府の方針として、全基停止でも来年夏は対策で凌げるというメッセージが発信されている。この点は重要だ。戦略室が出してきた
9.2%
という電力不足の数字は、明らかに政治的に微妙な意味を含んでいて、裏を読めば、本当はこれほど不足することなく、十分にカバーできているという状況が透けて見える。官僚と新自由主義者の玄葉光一郎は、もっと不足分を大きく打ち出し、再稼働なしでのピーク時対応の困難をアピールしたかっただろう。調査して数値を積み上げたところ、供給能力が十分に余りすぎて、こういう鉛筆の舐め方で着地するしかなかったのである。9.2%という数字は、3割依存という定説や電力不足の警告を聞かされ続けた一般国民にとっては、意外に感じられる軽いものだ。その率直な感想が、7/28夜のテレ朝の
報道
で吐露された。玄葉光一郎がテレビで言っていたとおり、この計算の前提は、史上空前の猛暑だった昨年の電力需要を100としている。2009年のピーク時出力1億8千万KWがベースなのである。
具体的に国家戦略室の資料を見てみよう。サイトに上がっている
PDF
を開いて、パワーポイント資料の3頁目に着目すると、驚くべき意外な数字が載っている。そこには、中西日本の今夏の電力需給が+1.0%と書かれている。中西日本とは、中部電力以西の60hzの電力周波数の地域の意味である。中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄の7電力会社の管区全体だ。何と、そのエリアにおいて、今年は供給不足ではなく、猛暑の昨年のピーク時需要に比しても供給電力は十分なのだ。政府の公式発表がそう言っている。これは、西日本(60hz帯)においては節電も省エネも何も必要ないという断定と宣言だ。3分の2の原発が停止している現状で、昨年の猛暑のピーク時を超える電力供給が可能という意味である。一体、あの関電や九電の騒ぎは何だったのだ。中国電力の三隅火力発電所(浜田)が故障で停止し、関西の電力は逼迫してピンチだと言っていた
報道
は何だったのか。西日本の電力会社の原発依存率は、週刊ポストの
情報
では、関西電力が45%、四国電力が42%、九州電力が41%である。この高い依存率のため、今夏の電力不足は西日本で深刻になると言われ、東京電力から逆に
融通
を受ける異常事態になっていた。ところが、蓋を開ければ、この政府のデータである。これなら、東京電力は西日本に電力を融通する必要は全くない。西日本の電力不足は真っ赤な嘘だったのだ。国民は騙されていた。
国家戦略室の資料では、関西電力については、-3.9%の不足だと示している。関電だけは不足だ。しかし、四電と九電の管内では不足は生じず、逆に関電の不足分を補う電力を一部送電してやっている。そういう事実が明白に証明されている。原発に4割を頼る四国と九州で、再稼働の停止は何も影響しておらず、原発に代わる電力生産を見つけ出し、現時点ですでに埋め合わせているのである。事実上、四国と中国と九州は脱原発が成っている。そう言えば、玄海をめぐる攻防のとき、あれほど需給逼迫で再稼働だと喚き散らした九電が、企業と住民に節電要請をしておらず、政府も九電に指導していない。4割分の電力が手品のように一瞬で掘り出された。まさに埋蔵電力。四電と九電が4割分の電力をどこから持ってきたのか、積み上げの詳細を突き止める必要があり、野党(社民・共産)は国会で質問をしてもらいたい。また、関西の電力不足についても、ここで事実が明確に判明したという意義がある。
関電
は15%の節電が必要だと言い続け、
橋下徹
は「原発を動かしたい口実で脅し」だと
反駁
、節電目標は5-10%だと言っていた。嘉田由紀子も、関電の「予測の水増し」を批判していた。国家戦略室が-3.9%という数字を出したことで、この論争に決着がついたことになる。関西の電力不足が東日本以上に深刻だという風説も、この数字を見れば嘘だったことが歴然だ。関電の不足は-3.9%、東電の不足は-8.8%、東北の不足は-6.6%。
東電は西日本に融通する必要がない。もう一つ、国家戦略室の資料
データ
の中で注意すべき点を指摘したい。それは、5頁目の自家発電に関する情報だ。この部分こそ、今回の調査と発表で最も関心が集中した要点で、埋蔵電力の中身に関わる内容である。結論としては、案の定、政府は自家発電の供給能力を曖昧にし、積み上げをフィックスさせていない。ここに提出した情報は、従来から経産省が菅直人に報告してきたままの数字で、何も新しい調査と分析が入ってない。逆に、「追加的に売電可能」な電力を、前の162万KWから128万KWに減少させ、「埋蔵電力などない」とする官僚の主張を裏づけた
データ
になっている。経産官僚の巻き返しと反動が奏功した報告結果が際立っていて、マスコミと玄葉光一郎はこの点を嬉しそうに強調している。だが、図表をよく見てみよう。自家消費目的設備は3445万KWとあるが、その中の自家消費分については、戦略室は数字を記入していない。ここが味噌なのだ。この図表を見て単純に判断すると、自家消費目的設備3445万KWのうち、電力会社への売電分が452万KW(7月)で、すなわち残りの差し引き2993万KWが自家消費分だという計算になる。しかし、実はそうではなく、数字にはカラクリがあるのである。戦略室の発表資料が、自家消費分の数字を明記しなかったのには理由がある。ここには、設備の稼働率の前提が入っていない。自家消費目的設備3445万KWのうち、どれだけが実際の自家消費分かは、設備の稼働率によって変動する。
つまり、設備は今でもフル稼働しておらず、自家消費分を上回る電力生産の余力があるのだ。昨年の自家発電(IPP+PSS)の稼働率は、ピーク時で設備能力の半分だったという情報が業界で流れている。その重要な問題が、この戦略室の資料では周到にオミットされていて、調査も言及もされておらず、数字に反映されてないのだ。自家発電分の数値をさりげなく空白にしたのは、官僚らしい抜け目のない情報工作の仕業に他ならない。6頁目を見ると、言い訳のように、「5373万KWのうち、どれだけ活用可能か」とか、128万KWとした売電可能分について「一部推計を含む」とあり、「精査中」とまで書かれている。この留保の表現は、おそらく玄葉光一郎の指図によるもので、国会で野党から質問され追及されたときに、コミットを曖昧にして逃げるための政治用のアリバイ道具だろう。要するに、真の売電可能分は128万KWではなく、もっと大量に埋蔵されているのであり、この「売電可能分」の言葉には官僚独特の定義と意味が隠されているのだ。6頁目以降を見ると、「非常用自家発電2300万KW」とか、実際には大量の埋蔵電力が存在し、それが供用されてないだけだという真相が浮かび上がる。資料全体を眺め見て、強く印象づけられるのは、日本の電力設備が余っていて、製造業が自家発電で消費電力を賄い始めている趨勢と現実である。電力会社の価格が高いから、コストの論理で自前の方向にシフトしていたのだろう。1年後、果たして自家発電設備容量(常用)は、今の5373万KWからどれほど増加しているだろうか。
テレ朝の報道などでよく紹介される情報として、IPPやPSSが売る電力の方が東電よりずっと安価で、そちらにリプレイスすることで、年間の電気料金を何%節約したという自治体などの
事例
がある。この証言が事実なら、それは、火力で原発を置き換えるとコストが年間
3兆円
嵩み、利用料金が2割上がるという説明と矛盾するものだ。何故なら、自家発電業者(IPP・PSS)の大半はLNGで電力を生産しているからである。火力にするとコスト増という言説には、この観点から大いに疑う必要があるだろう。そもそも、火力(LNG)の電力コストが高く、原発(電力会社)の電力コストが安いのなら、製造業者はどうして自家発電で電力を自前するインセンティブが生じるのか。電力会社から安い電力を購入した方がよく、その方が採算上有益ではないか。この問題は、原発で生産する電力の原価の高さと関係しているようにも思われる。当の原発村の司令塔である
経産省
でさえ、東電からではなく
丸紅
から電力を購入し、文科省と内閣府と総務省はエネットから電力を購入している。官庁ほど低価格な電力をPSSから買い、LNGの電源に依存している実態がある。霞ヶ関は国民に先がけて脱原発していて、その代替エネルギーはLNGなのである。戦略室の資料の6頁目を見ると、(1)常用自家発電の発掘、(2)非常用自家発電の活用、(3)揚水と蓄電の夜間活用で、9.2%の電力不足など十分にカバー可能だという実情が窺い知れる。(1)の発掘とは、要するに電力会社の送電線との接続であり、事務的な手続きと微々たる工事に過ぎない。脱原発は事実として進んでいる。
原発に依存しているという言説も、再稼働しないと電力不足だと喚く主張にも、実は何も根拠がない。
by
thessalonike5
|
2011-08-01 23:30
|
東日本大震災
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