民主党は増税から逃げるつもりなのか。東日本大震災からの復興と財政健全化の両立に責任を果たそうとしているとは思えない。
政府は29日、被災地の復興に向けた基本方針を決めた。今年度の第1次・第2次補正予算を除くと、当初5年間の「集中復興期間」の事業費は13兆円程度となる。その資金を復興債の発行や歳出の削減、国有財産の売却などで捻出する。
日本の財政悪化は深刻だ。確かな復興財源を示さなければ、市場の信認を得られない。政府が復興債の償還費用を手当てするため、10兆円規模の増税を求めるのはやむを得ない。もちろん無駄な支出を徹底的に見直すのが条件である。
しかし民主党が土壇場になって増税に抵抗した。次の選挙が心配なのだろう。政府も党の反発を抑えきれず、10兆円増税の文言を削除した。これでは秋までに増税の具体案を決められるかどうか不安になる。
民主党は社会保障と税の一体改革でも、消費税増税の年限をあいまいにさせた。震災復興や社会保障の支出を膨らませるだけで、財源に責任を持たないのは問題だ。
増税の設計については慎重に検討する必要がある。政府内では所得税や法人税の増税が浮上している。被災した個人や企業を除外しやすいという理由が大きい。一体改革の消費税増税と切り離す狙いもある。
所得税は課税最低限を下回る年収の世帯が納税を免除されるため、増税の負担が特定の個人に偏る恐れがある。法人税の増税は企業の競争力強化という政策課題に逆行しかねない。一方、広く薄く負担を求める消費税の増税は経済への負荷が比較的小さいといわれる。消費税増税をはじめから排除すべきではない。
29日にはB型肝炎訴訟の和解金に充てる増税を盛り込んだ基本方針も決めた。一連の増税を総合的に検討し、日本経済の活力を損なわない税目や時期を詰めるべきだ。
復興事業の進め方にも気がかりな点がある。各省庁ごとに事業計画をまとめるのでは、官僚が取り組みやすい既存の施策ばかりに予算を配分しかねない。実際、被災地の復興に直接関係のない項目も少なくない。復興に向けた体制整備の遅れが響いているのではないか。
住宅地の高台移転などを迅速に進めるには、土地利用手続きを一本化する必要もある。各省庁が所管する法律の枠を超えた仕組みが要る。農地の規模拡大や漁港の集約化なども、従来の縦割り行政を見直さないと進まないだろう。
民主党
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