日本海政令市にいがた 水と土の芸術祭2012

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開催概要

開催趣旨(案)

 縄文の時より、人間が水と土とともに生き、生かされてきた土地――にいがた。日本一の大河信濃川と阿賀野川は、緑濃い山間地より流れ下り、豊かな新潟平野を形づくった。河水は海にひらけて砂丘を成し、日本海に注いで海を富ませ、魚介の幸をもたらした。この自然の恵みに感謝しながら、水と土と暮らしてきた先人たちの記憶が、新潟には色濃く残っている。

 恵み深き大河は、しばしば暴れ、氾濫した。水が運び込む養分で土地は肥えたが、水害によって多くの人が苦しんだ。それでも先人たちはここで生き、この水と泥土と闘った。排水の技術を培い、世界一多くの放水路を造り、現在のように豊かな田園地帯と生活環境を作り上げてきた。

 前回の水と土の芸術祭では、アートや様々な地域プロジェクトが、この水と土の歴史に触れ、その記憶と手触りを魅力的に蘇らせた。特に焦点が当てられたのは、排水と河川土木の歴史であった。腰まで冷水に浸って作業した、亀田郷・芦沼の記憶。東洋一とうたわれた排水機場の誕生と、潟干拓に賭けた人々の想いが再確認された。

 現在も、新潟市域は4分の1が海抜0メートルの低い土地である。ポンプなどの排水機能が停止すれば、多くの土地が水面下に沈んでしまう。このような特性を持ち、大河を擁し、山海に面した新潟の地でこそ、水と土と生きる人類の歴史を掘り起こし、自然と人間との関係を見つめなおすことができるのではないか。

 そして「水と土」のテーマは今、より真摯に取り組むべき時を迎えた。平成23年3月11日の東日本大震災では、多くの尊い命が奪われ、大勢が住む土地を追われた。大津波や原発事故という非常事態に直面した今、近代科学技術への過信が無かったか、我々の意識が再び問われている。現代はいつの間にか水や土から離れ、自然への畏敬の念を失ってしまっていたのではないか。かつての先人たちのように、自らの体と感性で、水と土と改めて向き合う必要があるのではないか。今こそ、自分たちの地域を捉え直し、自然と共生する方策を探ることが求められているのではないか。これらの問いと問題意識に対しても、第二回芸術祭では様々な事業からアプローチしていく。

 祭りは元来、人が地域の自然へ畏怖の念を持って向き合い、精霊に祈りを捧げ、鎮める営みでもあった。未来を生きるための新たな絆をむすび、来し方行く末へと想いを馳せ、共に祈り、遊ぶ。そのような場として、水と土の芸術祭では、次世代の希望と元気を生み出したい。そして子どもたちが生きる未来のための一歩を、この水と土の土地・新潟から踏み出したい。

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