有森裕子団長に直撃インタビュー

有森裕子団長に4月29日〜5月1日に行われた日本選手団合宿にて、日本選手団団長としての心境、また今大会について語ってもらいました。

有森裕子団長

——今回、オリンピック発祥の地アテネにスペシャルオリンピックス日本(SON)の日本選手団団長として入られますが、どのような思いですか。

最初にアテネに行ったのは世界選手権の解説で、2回目がアテネオリンピックの解説です。そして3回目の今回も選手ではないけれど、日本選手団の団長としてアスリートと共に参加できることを幸せだなと思います。特に今回は、アテネでSONのアスリートの頑張る姿が見られるのですごく嬉しいです。アテネはオリンピックの発祥の地であり、競技者、アスリートを生んだ町でもあるので、今大会に参加するアスリートたちにはそういうスペシャル感も力に変えて欲しいと思います。

——日本選手団のアスリートの調子はどうですか。

(2010年11月に行われた)スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・大阪のときよりも、世界大会の日本選手団に選ばれたということで日々向上しているのが、言葉や表情に見られました。特にチームプレーで言えば、お互いに声を掛け合っているし、掛け合う言葉もネガティブではなくポジティブで、仲間をより高めようという気持ちをもったやり取りが頻繁に行われていて、世界大会に向けて心を一つにしているというところが見られたので、大会が楽しみだなという気持ちです。

——世界大会に参加するということで、合宿から緊張しているアスリートも見受けられますが。

緊張は誰だってするもので、オリンピックに出場する選手も何か大きなことに立ち向かうときは緊張するんです。そして緊張することは悪いことではなく、悪いのは緊張を自分の中で悪いものとして取って、自分自身のパフォーマンスができなくなることです。緊張するということは、今自分が緊張できるほどの経験をしているという証です。それはとっても幸せなことなので、緊張できる経験にチャレンジしていると喜んで欲しいですね。緊張を味方に変えた人が最高のパフォーマンスをできるので、その緊張とはうまく付き合って、この緊張はすごい選手の証なんだと思ってくれれば良いかなと思います。

有森裕子団長

——有森団長はオリンピックに2度出場していますが、今回世界の舞台に立つ日本選手団のアスリートに何かアドバイスをお願いします。

今日もアスリートたちには何度も言いましたが、本番だけうまくやろうと思うのではなく、毎日練習していること、経験していることが最終的に本番でできるようになるので、今までの良い経験、悪い経験を振り返り、何でこういった結果になったかなどを勉強することが非常に大切です。1日1日をうまくやろうとか、失敗したからダメだとか、そういうことではなく、毎日の積み重ねが結果に結びつくので大会まで毎日一生懸命練習して欲しいですね。

有森裕子団長

——団長として、日本選手団のアスリートにどういった思いで大会に臨んで欲しいですか。

まずこういう経験(世界大会参加)ができることをすごく幸せだと思って欲しい。そして、東日本大震災で日本の皆さんが大変な中で世界大会に参加できるということに感謝をもって、その感謝を力に変えて頑張って欲しい。自分たちの元気、チャンスはそういった人たちの応援からなるということを忘れないで欲しいですね。

——被災した日本として世界大会に参加しますが、有森団長自身どういった思いで大会に臨みますか。

現在、日本の皆さんが大変なときに世界大会に参加することはどうなのだろうかなど、いろんな複雑な思いがあったのですが、一番大事なのは、その行動がプラスになるものなら止めてはいけないと思いました。私たちが世界大会に参加しないことはアスリートにとっても、そのアスリートを支えた人たちにとってもプラスにならない。ということであれば世界大会に参加すべきだと思いました。そして、世界大会でのアスリートの頑張りが日本にいる人たちの勇気、元気を促すものであるように現地で頑張りたいです。そしてそれは、SONの日本選手団が日本の皆さんにできることで、素晴らしいことだと思っています。
また、世界の人たちには、日本はこういう中でも頑張っているんだ、大丈夫なんだという姿をアスリートの一つ一つの競技の中で見せて、伝えていけたらなと思います。そして、日本選手団のアスリートを見て、より日本という国を好きになって、また応援してくれる、そんな仲間を増やせたらなと思っています。

有森裕子団長


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