東京都立川市の警備会社「日月警備保障」立川営業所から約6億円が奪われた事件で、警視庁立川署捜査本部は31日、指名手配していた指定暴力団山口組系暴力団元幹部、佐久間努容疑者(37)を強盗傷害容疑などで逮捕した。滞在していた栃木県内の短期賃貸マンションから奪われた金の一部とみられる現金約6000万円を押収した。捜査本部は現金運搬役とみられる佐久間容疑者が、発見されていない現金の行方について知っているとみて追及する。逮捕者は計6人となった。
逮捕容疑は5月12日午前3時ごろ、実行役らと共謀して営業所に侵入し、男性警備員(36)に刃物などで重傷を負わせ現金約6億円を奪ったとしている。佐久間容疑者は調べに「強盗はやっていないし、知らない」と容疑を否認している。
捜査本部によると、マンションにあった現金約6000万円については「よく知らないワタナベという男にもらったが、時期は覚えていない」と説明。実行役とされる渡辺豊被告(41)=強盗傷害罪などで起訴=とみられる。また「日月社ってなんだ」と話しているという。
佐久間容疑者は事件数日後に組を破門され、6月上旬に横浜市内で目撃されて以降、足取りが途絶えていた。捜査本部は7月5日に指名手配し、パソコンや携帯電話の履歴から、栃木県内のマンションを事件後に契約していたことを突き止めたという。
31日朝に捜査員約10人がマンションの一室に踏み込み、1人でいる佐久間容疑者を発見。回転式拳銃2丁と実弾28発も見つかり、捜査本部は銃刀法違反容疑でも現行犯逮捕した。「自殺するためだった」と供述しているという。
奪われた現金は伊藤彩人被告(25)=犯人隠避罪で起訴=の関係先から押収した約700万円と、渡辺被告が出頭時に所持していた約500万円しか発見されていなかった。捜査本部は残りの現金の回収を急ぐとともに、グループが日月社の内部情報を事前に知っていた可能性があるとみて調べている。【山本太一、内橋寿明】
毎日新聞 2011年7月31日 19時22分(最終更新 7月31日 23時33分)