益田赤十字病院が産科医不足のため分娩(ぶんべん)受け入れを制限することで、他の医療機関に通院しなくてはならなくなった妊産婦を対象に、益田市は定額制の助成制度を導入する。同様に多くの妊産婦が通院先の変更を迫られる周辺の津和野、吉賀両町はすべての妊産婦を対象に通院への補助を決めた。いずれも9月議会に提出する補正予算案に盛り込む。
市地域医療対策室によると、対象は同病院から他の医療機関を紹介された妊産婦。同病院が妊娠33週目までの健診は継続するため、分娩と出産後1カ月健診を含め計7回の通院を想定。JR益田駅から紹介先の最寄り駅までの運賃をもとに医療機関ごとに算定した1万1000~5万円を助成する。紹介後3カ月以内に市役所か美都・匹見両総合支所に申請する。
一方、津和野、吉賀両町は、受け入れ制限をきっかけとし、「安心・安全に出産できる態勢づくりが定住対策にもつながる」として全妊産婦を対象とした。標準的な妊婦健診、分娩、1カ月後健診を含め計16回が上限。分娩後3カ月以内に申請する「後払い」方式を採る。
津和野町は、妊産婦の最寄りのJR駅から通院先の最寄りJR駅間の往復運賃と、通院先の最寄り駅から医療機関までの往復バス運賃を助成する。吉賀町は、妊産婦が自宅から公共交通機関で移動する運賃相当額を助成する。【江田将宏】
毎日新聞 2011年7月31日 地方版