「マリナーズ0‐8レイズ」(29日、シアトル)
マリナーズのイチロー外野手(37)が、米ロサンゼルス近郊の自宅で自殺した伊良部秀輝さんへの思い出を語った。日本やメジャーで何度となく好勝負を演じてきた間柄。特別な存在の突然の死に、イチローの感情があふれ出た。
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かつてしのぎを削った好敵手、伊良部さんの突然過ぎる死。日本だけでなく、メジャーでも対戦を経験しているイチローは「ただただ残念です」とポツリと言った。
『日本最速男VS天才打者』。対戦成績は41打数12安打、8三振。オリックスの主砲だったイチローとロッテのエース、伊良部さんの対決は90年代半ばの日本プロ野球界の目玉だった。「こっち(大リーグ)には球の速いピッチャーはたくさんいますけど10年以上やってても伊良部さんの一番速い球がものさしになる。それはずっと変わってない」と言い切った。
パ・リーグ代表としてそろって選出された球宴では背筋が凍った。「バッターを殺したいぐらい憎い。頭に当てようがなにしようが俺は抑えたい、って言うのを聞いた時に恐ろしい人だなと思いましたね。それぐらい勝負に対する思いが大きかった人。命をかけるのは俺たち、バッター側だな、と。あの言葉は一生忘れないですね」‐。
メジャーでは02年に2度対戦して4打数1安打。日本時代以来、6年ぶりに対峙(たいじ)した同4月13日の試合後には一緒に焼き肉を食べている。「投球フォームの力説が始まって、野球についての考え方も含めて話が止まんなくなっちゃったんですよ。熱い思いをもった人でした」
自身は無安打でチームは完敗した夜。「その独特な振る舞いとはまったく裏腹な内面のこまやかさを持っていました」。あふれる思いが止まらなかった。
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