【オスロ斎藤義彦】ノルウェー連続テロ事件でテロなどの疑いで逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は25日、オスロ地裁に出廷、爆破テロと銃乱射の犯行を認めた一方、無罪を主張した。さらに「二つの細胞組織と協力して行った」と共犯がいることを主張した。警察当局は単独犯との見方を示していた。動機は「イスラム教徒の侵略からノルウェーと西欧を守るため」で、移民導入を進めた労働党の「将来の党員募集を阻害するため」に、若者を殺したと説明した。
25日に記者会見した地裁判事によると、地裁は容疑者が供述で「二つの細胞組織との協力」に触れたことを重視。容疑者が「他(の組織)に影響を与え、捜査を妨害する」ことがないように、「警察はさらに捜査しなければならない」と述べた。共犯がいる場合、極右テロが組織的に行われたことになる。
ただ同じ日に会見した警察は「本人は二つの細胞組織の存在を主張しているが、矛盾した情報もあり捜査をしている」と述べた。警察は他の個人や組織を摘発していない。
判事によると、容疑者は連続テロを行ったのは「できるだけ多くの人間を殺害して、誤解のない強いメッセージを受け取れるようにする」ためと主張した。その目的は、イスラム教徒がノルウェーや西欧を「植民地化」することに反対するためだと述べた。
また容疑者は「大量に移民を導入」し「国を裏切った」として労働党を非難。組織維持を妨害して、党に「損害を与える」ことを狙ったと説明し、テロで労働党は「対価を払った」とした。
今回の聴取は勾留延長に関するもので、地裁は4週間の延長を認めた。勾留中は面会や新聞の閲覧を禁じた。メディアの冒頭取材が認められず、非公開で行われた。
警察によると、被害者の個人情報を精査した結果、爆破テロでの死者は7人から8人に増えた一方で、乱射での死者は86人から68人に減り、合計死者数はこれまでの93人から76人となった。
毎日新聞 2011年7月26日 東京朝刊