コラム パーツとツールの達人
第8回 プラグの基礎知識とDCプラグ
これまで紹介したように、従来のDCプラグには数多くの種類があるだけでなく、サイズが違っていてもつながってしまう場合がありました。しかも、どちらの端子を+にし、どちらをーにするかが自由であるなどの曖昧さがあり、それがトラブルのタネとなっていたのです。そこで、徐々にDCプラグにも規格が求める声が高まり、誕生したのが「EIAJ極性統一プラグ(以後、極性統一プラグと略す)」なのです。
この規格は、JEITAによって1989年に策定されました。1992年に一部の改訂が行われ、現在では「RC-5320A」という規格番号で管理されています。この規格の最大のキモは、極性統一プラグという名前の通り、内側の端子が+、外側がーと規格で決められている点にあります。つまり、これを使用している機器は必ず、いわゆる「センタープラス」になっているわけです。
| 番号 | 対応電圧(V) | 定格電流(A) | 外径(mm) | 内径(mm) |
|---|---|---|---|---|
| #1 | ~3.15 | 2 | 2.35 | 0.7 |
| #2 | 3.15~6.3 | 2 | 4 | 1.7 |
| #3 | 6.3~10.5 | 2 | 4.75 | 1.7 |
| #4 | 10.5~13.5 | 2 | 5.5 | 3.3 |
| #5 | 13.5~18 | 2 | 6.5 | 4.3 |
またこの規格では、サイズによって#1~#5までの計5種類が用意されています。そして表2のように、使用する電圧によってサイズを選択するように規定されている点も重要なポイントでしょう(定格電流はいずれも2A)。そのため、同じプラグを使用しているACアダプタは、ある程度近い電圧のものということになります。もちろん。それが他の機器にも適合することを意味するわけではありませんが、とりあえずは誤接続したとしても、出火などの重大な事故につながる可能性は低くなります。
プラグの外観は、#1~3までは従来のものとほぼ同じです。しかし、#4と#5のみはプラグ側の内側にある+端子が突起になっており、プラグ側がオスコネクタとなります。つまり、これまでのものとはオスメスが逆になっているわけです。またこれまでは、先端の絶縁部分が従来品は黒、極性統一プラグは黄色になっているものが多かったため、これで見分けている人も居ました。しかし現在では、極性統一プラグでも絶縁部分が黒や白になっているものもあるため、色の違いだけで判断することはできません。
ただし、極性統一プラグを使用している機器は、マニュアルや機器に所定のマークを表示する義務も別に規定されています。図2が極性統一プラグで使用されるマークです。つまりこの、極性を菱形で囲ったマークが入っている機器は、極性統一プラグを使用していることになるわけです。さらに前記のように、極性統一プラグは使用する電圧によってサイズが決まっています。そのため、マークと電圧を見れば、何番のプラグを使用しているのかが一目瞭然なのです。
ところで、ショップに行くと#6として販売されている極性統一プラグもありますが、先の表には載せていません。これは、厳密に言えば#6がRC-5320Aの規格には含まれていないからです。ただRC-5320Aでは、最も大きな#5が最大で18Vまでと規定されているため、24Vを使用する車載用機器などで使用できないという問題がありました。そのため、12/24Vの車載機器で使用することを前提とした規格も求められることとなり、「RC-5322」として別個に策定されたのです。つまり、このRC-5322で規定されたプラグが、#6となっているわけです。したがって、#6では定格電圧が24Vであり、定格電流は#1~5までと同じく2Aとなっています。
電子工作では、基本中の基本アイテムであるDCプラグですが、いろいろな意味でこれに泣かされた経験を持つ人は少なくないと思います。現在では、極性統一プラグを使用している機器が増えているのは確かですが、従来型のDCプラグや特殊プラグを採用している機器の方が相変わらず多数派です。せっかく規格があるのに残念なことではありますが、それが実情なのです。利用する側としては、もう少し極性統一プラグが普及して欲しいと感じることも多々ありますが、自分勝手な流用や誤接続などの危険がある以上、やむを得ない面もあるでしょう。したがって電子工作の基礎知識として、これまでに紹介したようなDCプラグに関する情報を覚えておく必要があるのです。