涼宮ハルヒのお化粧

どうも～、悪堕ちスレでカス子支援を見て、来るものがあったので書いてみました。今思うと精神世界の描写っているかなあ… コメントお待ちしております

夜の校舎にぱっと懐中電灯の光が浮かんだ。
守衛だろうか？

いや、この校舎は既に廃校になった学校の校舎であり、内部に人が入ることは一般的な観点からはおススメされないし、ほぼ必要もないはずである。
懐中電灯を持っているのは黄色のカチューシャを付けた少女―涼宮ハルヒであった。
彼女にとっては上記の一般的な観点はどうでもよく、この廃校舎に纏わる不思議、すなわち噂話のほうが重要であった。

曰く、「夜な夜な奇妙な合唱が聞こえてくる」というものである。
本来ならばこうした噂話など霞むほどにエキセントリックな立場にいるはずの彼女だが、周りの者たちの努力の甲斐あって？彼女自身にとってみれば世間一般基準でいう普通、引いては退屈な日常を送れている。

しかし、不思議探しは日常の事だが今回はいつもと違う部分が多々あった。
まず、彼女は一人で行動していること。これはたまたま彼女が団長を務めるＳＯＳ団のメンバーを驚かそうと思いついた為である。
また、決定的なのは、この校舎に待ち受けている者は、別世界からやってきた者であり、その者が発するエネルギーによってこの校舎は、たとえ彼女の周りにいる宇宙人であっても探知不能な状態になっている。
彼女はまだ自分の置かれた状況を知る由もない。

「廃校舎で人もいないのに声ってやっぱり幽霊よね！決定的瞬間を見逃さないようにしなきゃ」
状況を知る由もないため、あくまでも意気軒昂な彼女であった。

その時
「♪～…」
微かだが歌声のようなものが聞こえた。
「こっちね！待ってなさい幽霊！」
ストッパーが誰一人いないこの場では彼女に自重は期待できないだろう。声のする方へダッシュする。

[newpage]

歌声の源になっている教室
ここでは奇妙な光景が広がっていた。中心部に椅子に座っている、口元をヴェールで覆ったアラビア風の衣装を着た美女が一人。またその周りには様々な学校の制服を着た少女たちが立っている。

しかし、ここで奇妙なのは、美女がアラビア風の格好をしていることではない（一般的には十分変だが）。
それは少女たちの方であった
みな、虚ろな目、白いカチューシャをしている。そして何より、その唇と目元は艶やかな紫の化粧をしている。

これは近年の流行なのか？　いやそうではない、彼女らはアラビア風の美女によって無理矢理「お化粧」され、その奴隷の悪魔聖歌隊となっているのである。

「おほほ、みんな綺麗よ」
悦に浸っている美女。彼女にとってはこうした少女たちの屈服した姿を見ることは娯楽の一つである。彼女の周りにいる少女たちの中には無表情ながらも涙の跡がある者もいる。どの娘たちも、ふと路地裏から聞こえた歌声に無意識の内に釣られた所を捕らえられ、無理矢理紫の口紅を塗られ、この校舎に連れ去られたのである。

この美女の正体を我々は知っている。
そう、妖力の民ゴーマ族の一人、歌唱拳使いの口紅歌姫。ただ、補足するならこの美女の姿こそ彼女の元々の姿なのだ。歌唱拳を身につけ、妖力を修めた後、ゴーマの秘儀を経て得た姿こそ　―彼女に言わせればより美しい、普通人の感覚では怪人―　あの口紅をあしらった姿である。

彼女は現在、まだ異世界に滞在するのに十分な妖力はない、そこで妖力の消費を抑えるため元の姿に戻っているのである。そして攫ってきた娘達に、アイシャドウを施し、完全に洗脳する隠れ家としこの廃校舎を利用している。

そんな美女の悦楽を知る由もなく、いきなりピシャリ！と教室の扉が開く。
「さあ観念しなさい！今日こそあなたたち幽霊を…てなんだ部活？の練習じゃない！まったくもう！」
いきなり捲し立てるハルヒ。なぜこの時妙に思わなかったのかは今や永遠の謎である。
さすがに硬直していた口紅歌姫だが、すぐに目の前に悪魔聖歌隊候補が来たことに喜んだ。
「うふふ、可愛いお嬢さん」
「何よ！面白そうだけど幽霊じゃないからもう帰らな…きゃ！」
素早くハルヒにつかみかかる口紅歌姫。人間の姿を取っていても、彼女は武術の達人であり、加えて万能の力ともいえる妖力も扱える。あくまでその存在以外は普通の女子高生の範疇にあるハルヒが抵抗できるはずもなかった。

「あなたももっと綺麗にしてあげるわ～お化粧よ～」
「なによその趣味の悪い口紅！嫌っ！」
組み伏せられたハルヒの唇に迫る紫の口紅。
「嫌！嫌！嫌！…!！」
「オホホホ！お化粧～」
助けが来るはずもなく、口紅は彼女の唇をなぞり、唇は濃い紫色に染め上げられた。

「フフフ、いい声で聖歌を歌ってくれそうね」
口紅歌姫はハルヒを離し、余裕たっぷりに椅子に座った。この後、多少睨みつけたり、涙を流す娘も多いが、大抵はそのまま気絶して「お化粧」の奴隷となる。

「…！…！」
しかし、ハルヒはそのまま気絶せず立ち上がると、じっと口紅歌姫を睨みつけた！

「あら！なかなか我慢するのね、楽にしたらすぐにもっと綺麗になれるのに」
かつてない事態を楽しむ口紅歌姫、意外と落ち着いているのは、目の前の娘の頭の中では、いま元々の理性と「お化粧」への誘惑が渦巻いている状態と見て取ったからだ。

しかし、一時間後
「…！…！…！」
まだハルヒは粘っていた。
「ちょっとお嬢さん！なんでそんなに耐えられるの！？」
さすがに焦り始める口紅歌姫。だが…
「まあいいわ、もっとお化粧を濃くしてあげましょう」
ハルヒの唇に再び紫の口紅が施される。さらに艶やかな紫色に染め上げられる唇。しだいに抵抗が弱弱しくなったのを見届けると

「さあ、私の悪魔聖歌隊！歌いなさい！」
「「「♪～♪♪～」」」
命令と共に、一斉に誘惑の聖歌を歌う悪魔聖歌隊。また口紅歌姫自身も歌いだした。
「♪～♪♪～♪～」
ヴェール越しに悪魔聖歌隊より一層艶やかなゴーマの聖歌が流れ出す。そして、ついに…

「…！……」
ハルヒは気を失った。

[newpage]

暗闇の中、さまざまな物、者が浮かんでいる空間
現実世界ではない、涼宮ハルヒの精神の中といった方がいいのだろうか？

「あれ…どこよここ！」
その中心部に浮かぶ彼女は眼を覚ました。そこにスッと鏡が飛んでくる。

「ちょっとな、何よ！この顔！」
鏡に映った顔に愕然とするハルヒ。彼女の唇と目元は艶やかな紫に彩られている。

「これじゃ変態じゃない！誰よこんなことしたの」
「あら、呼んだかしらお嬢さん」
いきなり頭が紫の口紅の怪人のビジョンが浮かぶ

「綺麗よお嬢さん。そうだ！毎日退屈なんでしょう、こんな思い出は要らないわね。もっといいものをあげるわ…」
「ふざけないで！…あれ…い…嫌！」
怪人が口を開くと、そこから譜面　―ゴーマの聖歌のものである―　が飛びだし、浮かんでいた彼女の思い出を破壊していく。さらに真っ黒だった空間は紫に染め上げられていった。

「さあお嬢さん」
「あなたは、どうしたいの」
「そしてわたしはあなたの何かしら」

「……もっと綺麗にしてください！」
「聖歌も頑張って歌えるようにします！」
「だからもっとお化粧してください！…ご主人様！」
虚ろな目で誇らしく服従するハルヒ。彼女を知った者が見たら目を背けるであろう光景である。

現実世界
目をあけるハルヒ、既に口紅に加えて同じく紫のアイシャドウを施され、目は虚ろである。
「さあ」
「着けなさい」
悪魔聖歌隊の証である白いカチューシャを差し出す口紅歌姫。
ハルヒは躊躇わず今まで着けていた黄色のカチューシャを投げ捨て、それを着ける。
ここに悪魔聖歌隊に新たな一人が加わった。

「なかなか手古摺ったわね、帰ったらたっぷり可愛がってあげるわ」
「その前に服従した証を見せてもらおうかしら」
スッとハルヒに向けて足を出す口紅歌姫

「舐めなさい」
ハルヒは彼女の足先を丹念に舐め始めた。

ここにいるのは、涼宮ハルヒという少女ではなく、「お化粧」に屈服した口紅歌姫の奴隷であった。

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投稿者胡瓜

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投稿日2011年07月25日 21:43

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