賠償枠組で国の責任明確化へ 政府が追加負担検討
2011/07/22
国会審議中の原子力損害賠償支援機構法案に関連し、政府が「国の責任の明確化」の具体化に向けて追加的な真水支援の検討に入ったことが21日までに明らかになった。自民党など野党は法案審議の中で、政府の賠償枠組み案では国の真水負担が極めて限定的であり、国の責任を一層明確化するよう政府・与党に迫っている。このため、事後の国庫納付(返済)を原子力事業者に課さない形で、賠償額の一部を国が負担する案が浮上している。
同法案65条では、事業者の負担額が膨らんで安定供給や国民生活・経済に支障をきたすと認められる場合、予算で定める範囲内で原子力損害賠償支援機構に国が必要な資金を交付できると規定。関係者によると、国の責任の明確化にあたっては(1)65条の積極適用(2)福島第一原子力発電所の廃炉費用の国による負担(3)賠償への税投入--の3点が想定されている。
ただ、財務省は財政規律の観点から真水負担に慎重。一般会計ではなく、エネルギー対策特別会計を用いた真水支援が有力視される。原子力関連の研究開発費などの予算組み替えによって、最大で年数百億円を賠償に振り向けることも政府は視野に入れている。
自民党や公明党は、国策として原子力を推進してきた経緯を踏まえ、賠償枠組みでは国が一層の責任を負うべきと主張。与野党の法案修正協議では国の責任が焦点となっている。電力業界も国の責任と負担の明確化を要望している。
原賠機構は電力会社などから負担金を集め、東京電力に資金を交付。福島の事故では賠償が巨額となるため、政府から無利子の交付国債も渡される。交付国債の現金化後は事業者が負担金によって国庫納付していく。この現行案では国の真水負担が交付国債の利子分など少額にとどまる。
また、東電が支払う「特別負担金」と他の電力会社も負担する「一般負担金」を区分管理することも自民党は求めている。しかし、明確に区分すると東電が債務超過に陥る見込み。明確な区分を避けつつ、一般負担金の額を当初は低く抑え、事故の検証や賠償総額の確定がある程度終わった段階で、負担のあり方を見直す案も政府内にある。 (本紙1面より)
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