blog.machibuse.com

Jul 18 / 10:40pm

本格的・銭湯の話

先日、初めて「街の銭湯」に行った。

国道沿いにある結構大きめの銭湯だけれど、今まで旅館やホテルの温泉くらいにしか行ったことのなかった僕にとって新鮮なものだった。普通に入浴券を買って、脱衣所で服を脱いで、タオルを持ち風呂へ向かう。

ここまでは良かった。

それで、体を洗う場所を見てみると、なんとシャンプーやボディーソープなどあって当然の備品がない。おかしいな、自分で持ってこなけりゃいけないの?いやそんな訳無いよなあ、と思ったら、ちょうど入ってすぐ左の所に段になった物置のような所があり、そこにはカゴに入った入浴道具セットが綺麗に並んでいた。

あれ、これを持っていけってこと?でも種類がどれもバラバラなのが不自然だな・・・。あー分かった成る程、買った人に合わなかったシャンプーやボディーソープを近所から集めて、カゴに詰めて、リサイクルしてるってことか!地域ぐるみでこういうことをやっているんだな、銭湯は地域密着型っていうのはこういうことか・・・

とか(本当に)納得しながらその中の一つ、シェービングフォームや洗顔フォームまで入ったものを選んで、意気揚々と体を洗いに向かった。

その中の柿渋シャンプーを使って気持ちよく頭を洗い、次はボディーソープを手に取ろうとしたら、カゴが消え去っていた。それで三つくらい横に離れた席を見てみると、金髪でマッチョな(見た目30くらいの)DQNっぽい男が僕のカゴを持っている!

「共有品の利用マナーを守れない奴なんだな、これだからDQNは!だいたいカゴなら他にも沢山あるのに全く・・・」と思い、頭を洗っていたそいつから思いっきりカゴを奪い取って持ち場に戻ろうとした。そしたら、何か突然「てめぇ何のつもりじゃゴラ」と低く大きな声で、血走った目で突然呼び止められる。

びっくりしたけど、僕は完全に前述の通りの理解をしていたので、確かに体は震えていたけれど「は?」と返した。何も悪いことなんかしていない!

「は?じゃねーよ、おい、ちょっとそこ座れよ。座れって言ってんだよ、早よしろやゴラァ!」と言い床を指さす。

少しざわついていた銭湯が完全に静まりかえった。

ここでやっと状況を理解した僕は(震えた声で)「あの、もしかして貴方のものですか?」と言うと、「座れって言ってんだよ」としか返さなくなった。

座ると何が良いのか全く分からないけれど、たぶんパンチかキック、あるいはその両方を喰らう可能性だって十分にあった。

もう平謝りするしかない。「ごめんなさい、本当に申し訳ないです」「座れよ(低い声で)」「えっと、銭湯に来たのが初めてでして、ルールが分かりませんでした。共有品かと思いまして、本当に申し訳ないです」

運の良いことに、ここで舌打ちと共に解放された。僕はもはや浴槽に入ることも出来ず風呂場を後にし、脱衣所で再開することをただひたすら恐れながら全速力で着替えた。

確かに「常識が無い」の一言で済ませられる問題かもしれない。
だけど、例えば「番台にてシャンプー・ボディーソープを事前に購入するか、あるいは持参して下さい」の張り紙が入り口にあったり、カゴの置いてあった段の上かどこかに「私品」と一言書いてあれば、完全に防げた問題だと思う。

やっぱり僕は悪くない。完全に常識に依存したデザインをやった銭湯の側に問題がある。そう思って初めての、もう二度と来ることはないであろう場所を後にした。

恐ろしいところだった。

0 comments

Leave a comment...