2011年6月2日 23時53分 更新:6月3日 1時19分
菅直人首相は2日夜、官邸で記者会見し、東日本大震災と福島第1原発事故への対応に「一定のめど」をつけた段階で退陣するとの意向を表明したことに関し、「放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止の状態になることが一定のめどだ」と述べた。東京電力の工程表は冷温停止を来年1月と見込んでおり、事実上、早期退陣を否定した。民主党内では月内退陣や数カ月後の辞任を求める声も出ており、退陣時期を巡る党内対立が深まりそうだ。
鳩山由紀夫前首相は同日の代議士会で「震災復興基本法案を成立させ、11年度2次補正予算の早期編成にめどをつけた段階で身を捨ててほしいと申し上げた」と説明。不信任案否決後も記者団に「2次補正の中身は6月いっぱいぐらいに中身が決まる、すなわちめどが立つ」と述べ、月内に退陣すべきだとの考えを示した。
だが首相が代議士会で具体的な退陣時期を明言しなかったことで、党内の混乱は広がった。岡田克也幹事長が「復興法案成立や2次補正編成と退陣は必ずしも直結しない」と鳩山見解を否定したのに対し、鳩山氏は「執行部が平然とうそをつくならば、対応は変わってくる」と反発した。
首相が2日夜の会見で、早期退陣を否定したことに対しても、与党内の反発が相次いだ。国民新党の下地幹郎幹事長は記者団に「あり得ない。国民は首相の退陣発言を信じており、裏切れば日本の政治全体の信頼が失われる」と語った。鳩山グループの議員も「到底理解できない」と首相批判を強めた。
また、会見で首相は、22日までの今国会会期に関し「必要なことは国会でいつでも議論できるようにしてほしいという意見に応えるなら、事実上の通年国会、12月までとなる」と、半年近くの大幅延長に意欲を見せた。
9月に予定されている訪米については「日米関係は個人の関係であると同時に、党と党、国と国との関係だ。どういった形になるにせよ、しっかり責任を持ち、あるいは責任を引き継いでまいりたい」と述べ、自身が訪米する可能性も示唆した。【松尾良、田中成之】