2011年6月2日 22時43分 更新:6月2日 23時26分
野党は菅直人首相の「退陣表明」を懐疑的に受け止めている。
自民党の石原伸晃幹事長は2日、NHK番組で「原発問題一つとってもめどは当分つかない。非常にいいかげんだ」と述べ、「一定のめどがついた段階で若い世代に引き継ぐ」とした首相発言を批判。公明党の山口那津男代表は「(内閣不信任決議案を)否決に導くための茶番で、驚きを禁じえない」と指摘し、みんなの党の渡辺喜美代表も「期限を切らないと、(首相を)いつまでも続けるインセンティブが働く。こういう無責任な政治であってはならない」と強調した。
相次ぐ批判には、首相発言によって、不信任案の可決ムードが一気に消し飛んだことへの無念さもにじむ。自民党幹部は「首相が衆院本会議前に『辞任』を表明するケースは想定していたが、時期をあいまいにした辞意でかわされるとは」と落胆を隠さなかった。
不信任案を共同提出したたちあがれ日本の園田博之幹事長は「首相には早いタイミングで辞めてもらう。震災対策でやがて行き詰まる」と記者団に語り、今後も首相の早期退陣を迫っていく考えを示した。
一方、共産、社民両党は今回、不信任案の採決を棄権・欠席し、与野党の抗争から距離を置いた。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「(不信任案に)国民的な大義がなかった」と説明した。
社民党の重野安正幹事長も「未曽有の非常事態に立法府として速やかな対応が求められている。(不信任案をめぐる)この間の推移はそれを裏切った」と記者団に語った。【念佛明奈】