2011年6月1日 21時40分
NHKが、放送受信料の支払いを拒否した男性ら3人に未納分の支払いを求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は男性側の上告をいずれも棄却する決定を出した。決定は5月31日付で、東京都内の2人に計約19万3700円、札幌市内の男性に約17万7000円の支払いを命じた2審判決(10年6月と同11月)が確定した。NHKが起こした同種訴訟で最高裁まで争われて確定するのは初めて。
都内の2人は、NHKの不祥事を理由に04年3月まで払っていた受信料を拒否。1審・東京地裁判決(09年7月)は「元々(本人の)自由意思で受信料契約を交わしている」などとして04年4月~09年3月までの60カ月分の支払いを命令。東京高裁は更に10年1月までの料金を上乗せして支払いを命じた。
札幌市内の男性は「妻が無断で自分名義の受信契約を結んだ」として03年12月以降の支払いを拒否。1審・札幌地裁判決(10年3月)は「男性が妻に代理権を与えた事実はない」としてNHK側の請求を退けたが、札幌高裁は「受信料契約には夫婦の連帯責任が発生する」と逆転判決を言い渡していた。
NHKは「いずれの事案も主張が認められたと受け止めている。今後とも受信料の公平負担の徹底に取り組みたい」とコメントした。【伊藤一郎】