佐賀知事:再稼働容認意見促す…九電やらせ、発言が誘発

2011年7月30日 20時29分 更新:7月31日 0時7分

九電の前副社長らにやらせを示唆するような発言をしていたことについて会見する佐賀県の古川康知事=佐賀市で2011年7月30日午後3時12分、竹花周撮影
九電の前副社長らにやらせを示唆するような発言をしていたことについて会見する佐賀県の古川康知事=佐賀市で2011年7月30日午後3時12分、竹花周撮影

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る説明番組を舞台とした「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、やらせの発端となる指示を出した九電副社長(当時)らに、再稼働を容認する意見の投稿を促すような発言をしていたことを明らかにした。九電第三者委員会の郷原信郎委員長は同日夜に会見し「古川知事の発言がやらせメール問題の発端になった可能性が十分にある」と指摘した。

 中立の立場で再稼働の是非を判断すべき県トップの事実上の誘導も明らかになったことで、国民の原発不信はさらに高まりそうだ。

 古川知事によると、国主催の番組開催を5日後に控えた6月21日朝、退任あいさつに訪れた段上守・前副社長や大坪潔晴・佐賀支社長ら九電幹部3人と知事公舎で20~30分間面談。番組も話題となり、知事は「自分に寄せられる意見はほとんど反対意見ばかりだが、電力の安定供給の面からも再稼働を容認する意見も経済界にはあるように聞いている。この機会を利用し、そうした声を出していくのも必要」という趣旨の発言をしたという。

 九電が公表した報告書によると、3人はこの後、佐賀市内の飲食店で会食した際、番組への意見投稿を増やす必要性で一致。部下らが「やらせメール」の発信などを指示した。

 古川知事によると、今月8日に九電の松尾新吾会長から知事公舎での面談について問い合わせを受け、13日にそうした発言をしたことを伝えた。九電は翌14日に「やらせメール」に関する報告書を公表したが、知事との面談内容は一切伏せられていた。郷原委員長が27日に知事に面会を求め、公舎での面談について尋ねたこともあり、30日に緊急会見を開いたという。知事は「軽率のそしりを免れないが、やらせを依頼したことはない」と釈明。「世論を形成しようとしたわけではない」と語った。【竹花周】

 ◇やりとりメモ、社員にメール

 九電第三者委員会の郷原信郎委員長は30日夜に会見し、大坪潔晴・佐賀支社長が段上守・前副社長の指示で、知事公舎で古川康知事と面談した際のやりとりをメモにしていたことを明らかにした。中身は「メールなどで(再稼働への)賛成意見も集まるようにしてほしい」という趣旨の内容だったという。郷原委員長によると、このメモは九電本社の課長級社員から、やらせを依頼したメールに添付される形で九電原子力部門の社員約100人に行き渡っていた。社内の一部では、再稼働を求める意見の投稿が知事の要請と受け止められていた可能性があるという。【福永方人】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

 

おすすめ情報