やらせ依頼:動員者10人が肯定発言…四国電の例文通りに

2011年7月30日 22時7分

 経済産業省原子力安全・保安院による四国電力への「やらせ依頼」問題。06年に愛媛県伊方町で開かれたプルサーマル計画に関する経産省主催のシンポジウムで、あらかじめ仕込まれていた質疑や動員の詳細が30日、四電報告書や同省資料などから分かった。四電から質問を依頼された動員者のうち10人が「安心した」「原発は地域発展につながるものであってほしい」など、四電から示された例文に沿って発言。中には四電社員が壇上の四電副社長に質問する場面もあった。

 シンポは06年6月4日、伊方町民会館で開かれ587人が参加。保安院の依頼もあり、四電は伊方発電所、宇和島支店、八幡浜営業所と、四電エンジニアリングなど関連会社4社に、それぞれ目標人数を割り当てて動員。その結果、ほぼ割り当て通りの計313人が参加を申し込んだ。地元の漁協や老人クラブなどの団体にも、申し込みはがきを配って参加を呼びかけた。

 そのうえで、四電社員2人、関連会社員8人、団体の19人の計29人に、質問例文集を渡すなどしてシンポでの質問も依頼。全体の質問者15人の3分の2にあたる10人(四電2人、関連3人、団体5人)が実際に質問した。

 その結果、「(環境保護団体の)グリーンピース創始者が原子力推進を唱えている」(関連)、「伊方原発は大きなトラブルもなく安心」(団体)、「賛否両論はあるが、やはり必要」(四電)など、いずれも原発推進姿勢の例文の内容に沿っていた。四電社員の「プルサーマル導入で原子炉の機構や運転は変更されるのか」との質問には、太田克己副社長が「従来のウラン燃料と取り扱いは同じ。設備・運転方法は全く変わりません」と答えていた。

 これに対し同社の西崎明文・原子力本部付部長は「誤解を与えかねないものがあったかもしれないが、議論誘導の意図はまったくなかった」と強調している。【中村敦茂、藤田文亮】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

 

おすすめ情報